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『紙兎ロペ』 [dvd]

大抵の男性ならば、かかってきた電話に出たときに(いわゆる家電ね)、相手がわけのわからぬことを言ってきて茫然としていると、「ああ、お父さんかと思った」といわれた経験があるはずだ。女性でも、「お母さんかと思った」といわれることがあるらしい(妹談)。人は顔のみならず声まで親に似るのだなあ。


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
紙兎・ロペと紙リス・アキラ先輩のふたりが映画館に行くまでの珍道中を描いたショートアニメ。「ラスイチ」「携帯ゲーム」「海」「闘牛」「赤白ぼうし」「ほおぶくろ」ほか、TOHOシネマズで幕間上映された11エピソードと新作エピソード5本を収録。

そんなことを言い出したのは、本作で紙リスのアキラ先輩がかかってきた電話で田舎のおばさんに父親にまちがわれるというエピソードがあったから。なんかね、家電ということで昭和の感覚が蘇ってきたのだった。

ご存知の通り、本作はTOHOシネマズの本編上映開始時間前に上映されていたショートムービーを纏めたもの。実は当方はこれが上映されているあいだはほとんど同館に行っていないものだから、全15話のうち2話しか観ていない。できればリアルタイムに観たかったものだ。

で、こうやって纏まったかたちで視てみると、紙兎ロペと紙リスのアキラ先輩が話している背景の空間描写が素晴らしいことに気づく。まさに昭和の下町にある風景であり、電柱に電線が複雑に絡まり合っているとか、ヒビを修繕した後の建物の様子とか「あるある! 」という感じだ。

監督の内山勇士は当方と同年代に違いない、と思って確認したら実はまだ30はじめの人らしい。逆に言えば、そのくらいの年代の人だからこそ、ゴミゴミとしつつも懐かしい近過去の昭和の風景の新しさを表現できたのかもしれない。ロペとアキラ先輩のゆるくて脱力した会話も愉しめるショートムービー集。とぼけたおもしろさを好む人にお奨めしたい。


『エグザム』 [dvd]

エグザム [DVD]

エグザム [DVD]

原題: Exam
出演: ルーク・マブリー、ジミ・ミストリー、コリン・サーモン、ナタリー・コックス
監督・脚本・製作:スチュアート・ヘイゼルダイン
製作国: 2009年イギリス映画
配給: クロックワークス


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
国籍も年齢も異なる8人の男女が、たったひとつの雇用枠を賭けて80分間の就職試験に挑むサバイバル・ブレインサスペンス。とある有力企業の最終就職試験に残った8人の受験者たち。試験監督に3つのルールを告げられ、受験者たちが問題用紙を裏返すと…

閉ざされた空間でのサスペンス、というシチュエーションが好きだ。小説でいえば、『 そして扉が閉ざされた 』が傑作。とはいえ、小説内では回想部分も含まれているから、厳密には閉ざされてばかりとは言えないかも(かなり昔に読んだから細かくは覚えていないのだが)。『 ソウ 』あたりも浴室に監禁された男たちと刑事たちの捜査が並行して描かれるから、これまた閉鎖空間のみの物語とは言えまい。

本作の凄いところは、作品内で登場人物たちの回想場面や試験会場以外の映像が一切挿入されないところだ。だから、登場人物たちの素性がほとんどわからないというのがキモ。物語が進んで行くにつれてわかってくる部分もあるのだが、こういう仕掛のサスペンスゆえにそれもはなはだあやしいといったものだ。

物語自体は、閉鎖空間でのサスペンスによくある啀み合いと暴力に収斂されていくから、月並みといってしまえばそれまでだ。また、中盤で提示される世界観が唐突と感じられるのが弱いところか。ただ、上記のような特異さゆえかわからないが、舞台劇を思わせる雰囲気は意外に上品だったりするところが良い。最後に提示されるオチも当方には腑に落ちてしまった。B級サスペンス大好きな人にはかなりお奨めできると思う。


『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』 [dvd]

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原題: The Hangover
監督: トッド・フィリップス
キャスト: ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、ヘザー・グラハム、ジャスティン・バーサ、ジェフリー・タンバー
製作国: 2009年アメリカ映画
配給: ワーナー・ブラザース映画
上映時間: 100分

◆◆◆
もちろん、酔って記憶をなくすことはある。幸いにして酒乱ではないようで、普段より少し陽気でおしゃべりになるくらいだから害のない酔っぱらいだ。それでもね、ハッと気づくと布団のなかで目を覚ますという驚きはできるだけしたくないとは思っている。何をしていたかわからない、という不安は非常にイヤな種類のものだからだ。


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
本年度ゴールデングローブ賞作品賞を受賞したコメディ。結婚式を控えたダグは、悪友3人とラスベガスの高級ホテルでバカ騒ぎする。しかし翌朝目覚めると、部屋は滅茶苦茶な上にダグの姿はなく…

さて、本作は数日後に結婚式を控えた青年のために友人たちが企画したバチェラーパーティーで引き起こされる大騒動を描いたコメディ。と、思って観賞していた当方は、かなり手堅くまとまったサスペンスミステリ映画という感想を持つに至った。

バカ騒ぎの翌朝にラスベガスのホテルのスイートルームで目覚めた男たちは、メチャクチャになった内装・歩き回るニワトリ・バスルームのトラ・抜かれた前歯、そして赤ん坊を発見する。そして、当の結婚式直前の青年が見あたらなくなっているのだ。

まあね、誰だって二日酔い(ハングオーバー)の朝にそんな状況に陥ったりしたらには驚くというものだ。そして、手がかりを探しにそこまで乗ってきたクルマをホテルに頼むと…

そう、本作で当方がおもしろみを感じたのはコメディ部分ではなく、これらの謎がどのようなかたちで収斂していくのか、というミステリ部分だった。でもね、実のところは最終的に明かされる真相自体の驚きは少ないのだ。

それでも、当方が本作を手堅くまとまった佳作と感じたのは、登場人物たちの活き活きとしたところ。特に歯科医の一連のエピソードについては、なんだか妙にジーンとくるものがある。そして、最初はなんだか胡散臭い雰囲気があった3人の友人たちが、終盤に至ってかっこよく思えるようになるのだ。そんな不思議な映画としてお奨めできると思う。



『Cat Shit One』 [dvd]

原作:小林源文
監督:笹原和也
プロデューサー:岡部淳也
製作:株式会社 IDA,株式会社 anima
出演:パッキー(パーキンス) 声:土田大
    ボタスキー 声:日野聡

ストーリー
砂漠のテロ集団に人質が拉致された。
民間軍事会社 キャロット・ミリタリー・サービス所属のウサギの特殊部隊員、パッキーとボタスキーは、双眼鏡越しに遠方の人質達を発見するが、その目前で、逃げだそうとした一匹が銃殺されてしまう。
残りの人質の命も危ないと判断し即座に援軍を要請。しかし、無線から返される到着時刻では人質達の生死は絶望的だ。
『今すぐ俺たちでやるしか無い!』
たった二匹のウサギ部隊は、無数の敵陣へ突入した

ウサギという動物には特に興味はないのだが、ロップイヤーという品種は素直にかわいいと思う。ググってみてください、まるでぬいぐるみのようだから。で、本作の主人公の一人であるパッキーはおそらくはロップイヤーなんだろう。

CGで表現される彼らの動きはかわいらしくも微笑ましくもある。でもね、行動自体は軍事のそれであって、ハードな表現である。だから、そういう類が嫌いな人はかわいらしい主人公たちの造型に惹かれて観賞するのは好ましくないかもしれない。

当方もいざ購入・観賞してみると、主人公たちの姿形のかわいらしさと軍事行動のギャップに引かざるをえなかったというのが正直なところ。

とはいえ、当方の目で見た限りではCGのクオリティは相当に高いと思った。22分の短編映画が1,980円もするのか、という声もあろうが、その価値は充分にある。そんな本作はおそらく直販のみだから、観賞するにはオンラインショップで買うしかないのが勿体ない。


◎原作(?)の第一巻

Cat Shit One VOL.1 キャット・シット・ワン 1巻 (Web comics)

Cat Shit One VOL.1 キャット・シット・ワン 1巻 (Web comics)

※"Cat shit one"とは、「猫の糞一号」の意で主人公たちのコードネーム。

『レギオン』 [dvd]

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原題: Legion
監督: スコットスチュワート
脚本: スコット・スチュワート、ピーター・シュリンク
出演: ポール・ベタニー、ルーカス・ブラック、デニス・クエイド、タイリース・ギブソン、チャールズ・S・ダットン、エイドリアン・パリッキ、ケイト・ウォルシュ
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 100分
配給: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

■■■
最初に言っておかなければならないのは、普通の映画好きはこのような映画をご覧になってはいけないということである。本作は今年の5月に劇場公開、レンタルでは9月にリリースされたから、時期的にはいいだろうということで以下ではネタバレ的にその理由を記しておこう。


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
人類を見限った神々と彼らを守る大天使の壮絶なバトルを描いたアクション。堕落した人類を一掃するために神々が放った天使軍団“レギオン”と、神の命に背いて人類の味方になった大天使・ミカエルが地球の存亡を懸けて戦いを繰り広げる。

プロットは、『ターミネーター』そのもの。真夜中に突如として地上に降り立つ主人公が真っ先に銃器店(武器密輸業者?)で武器の強奪を働くシーンとか、救世主を産むであろう女性を守ろうとするところとか、ラストシーンに至るまでそのまんまといっていいものがある。

そのプロットを味付けするのはゾンビ映画の亜流ともいえる演出。砂漠のど真ん中にぽつんと建つダイナーを舞台に、天使の軍勢(!)に乗り移られたゾンビもどきたちと籠城しての銃撃戦を繰り広げるのだ。人類の存亡を賭けた闘いが砂漠のただ中のちっぽけなダイナーというスケール感でいいのか、と突っこみたくなってしまう。

最終的には、自ら翼を落とした天使である主人公と神から与えられた任務を主人公に成り代わって達成しようとする同僚との大ドツキ合い展開される。そのドツキ合いというのが本当にドツキ合いであって、相対する敵の天使は背中の羽を拡げながら先端がギュンギュン回る金属製のこん棒を振り回したりするのだ。

そうそう、もちろん良いところもあって、歩行器を使っていた老婆が突然凶暴化しダイナーに足止めされていた客の喉笛を噛み切って天井に駆け上がるなんてシーンは出色。また、中盤で登場する顎の異様に伸びるゾンビ化したアイス屋さんなんてのもこれまた傑作シーンではある…orz

いや、久々に無茶苦茶な映画を観た。B級とさえもいえない。というのは、おそらく制作陣は大まじめに作っていると感じられてしまうから。B級にありがちなアソビ心はまったくない、直球一本やり。

そして意外なことに、実は当方は本作を相当に愉しめてしまったのだから困ったものである。とにかく不思議なのはその真面目さ。演出もそうだが役者も大真面目。

主演のポール・ベタニーは『 ファイヤーウォール 』以来とても注目していたのだが、今回もそのかっこよさと生真面目さが光っている。いま調べていてわかったのだが、奥さんがジェニファー・コネリーなんだね。うらやましい。デニス・クエイドももう少しましな作品に出ろよと言いたいくらいに渋い演技。その他、今回初見のケイト・ウォルシュとかウィラ・ホランドとか女性陣の存在感も抜群。

そして先程来申し述べているように、このような題材をなぜかくも真面目に映画に仕立て上げようとするのかというモチベーションが当方には不思議なのだ。勝手に想像したのは、人類と天使が砂漠のただ中のちっぽけなダイナーで闘うのが不思議ではない程度に、「神の怒り」というテーマが身近なものであるのだろうと言うことだ。

これすなわち、世界最大級の宗教国家である米国のお国柄とは言えまいか。進化論を教える教えないのでもめている州があったり、中絶が絶対的な悪であったり、「聖書に書かれた言葉は神が実際に言われたことで、一言一句そのまま解釈すべき」と回答する米国人が米国全体の1/3を占める(2004年時点のギャラップ社の最新米国世論調査)国であったりするのだから。

実際、オオコケしているに違いないと思って確認したら、意外にも制作費26百万ドルに対し興行収入は56百万ドルできちんと稼いでいるのはそんな背景があるからかもしれない。こんなふうに彼我の文化の違いからくるギャップを愉しめるか否かで評価が変わる作品。いや、もちろん考えすぎであり、そんなひねくれた観賞の仕方をするなよ自分、と言いたい。


レギオン コレクターズ・エディション [DVD]

レギオン コレクターズ・エディション [DVD]


『劇場版 ブレイク ブレイド 第二章 訣別ノ路』 [dvd]


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
吉永裕ノ介の人気ロボット漫画を映画化した全6部作の第2弾。ゼス率いるワルキウレス部隊は、迎え撃つクリシュナ群を撃破しつつ王都・ビノンテンへと迫っていた。この襲撃がゼスの本意ではないと信じるライガットは交渉のため単身出撃する。

きちんと追っかけていくかは未定などと書いておきながら、そう時を経ずして鑑賞。TSUTAYA DISCASが自動送品してきたのだからしょうがない。って、上位に登録しておく方が悪いのだが。なんてことをいってるが、本作は予想外のデキの良さゆえに、人にお奨めしたくなる作品。

なんといっても、ゴゥレム同士の格闘戦が本作の見所。これが、今風のCGではなく手書きであるところが良い。『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』のATの描写が少しばかりネムいのに対し、本作の迫力は相当なものがある。

あと感心したのは、原作のちょっとした説明不足部分を補完する脚本だ。過度に説明的になっているわけではないが、「ああ、そういうことだったのね」と理解できるように、ちょっとした親切心が込められているように思う。そう、本作は実に真面目に作られているのだ。

派手さはないし物語の展開もわかってはいるのだが、制作スタッフの良心がそこかしこにみられるゆえに、これからはきちんと追っかけていくようにしたい好シリーズだ。


『劇場版 ブレイク ブレイド 第一章 覚醒ノ刻』 [dvd]

総監督: アミノテツロ
監督: 羽原信義
原作: 吉永裕ノ介
脚本: 十川誠志
キャラクターデザイン: 乘田拓茂
メカニックデザイン: 柳瀬敬之
美術: 小濱俊裕
音楽: 平野義久
出演:保志総一朗、斎藤千和、中村悠一、神谷浩史、花澤香菜、甲斐田裕子、梅津秀行、高橋研二、井上麻里奈、白石稔、河相智哉、菅原正志、緒方賢一、葛城七穂、浅野真澄、土師孝也
アニメーション制作: プロダクションI.G、ジーベック
製作国: 2010年日本映画
上映時間: 50分


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
吉永裕ノ介の人気ロボット漫画を映画化した全6部作の第1弾。地中から化石燃料が採れない“クルゾン大陸”は、石英と魔力を動力源としていた。そんな折、魔力を持たない希少な存在“能なし”であるライガットは、国王から衝撃の事実を知らされる。

原作コミックを読んで、なんとはなしに気になっていたので劇場版を鑑賞することにした。東京にいたら、おそらく劇場で観ていただろうが本作の上映時間は50分。この上映時間で前売1,500円かかっていたら怒りのあまり発狂していたかもしれない。

さて中身はというと、原作に限りなく忠実な作品だった。ここまで忠実だと映像化する意味がないのでは、と心配してしまうほどだ。とはいえ、ディテールにはみるべきものがあり、たとえばアンダーゴゥレムがライガットによって起動された際、石英を散らしながらジャンプするシーンは秀逸。

声優陣の斯界における位置付けはどのようなものか、当方は詳細は知らない。だが、登場人物に対して抱いていたイメージと違和感がなかったことは確かだ。スタッフや声優のファンがこの映画やDVDを観て、原作に入っていくことも想定されるが、どんな感じを抱くものなのかね。

この先、第六章まで映画化が予定されていると聞いている。DVDも第二巻まで発売されているが、きちんと追っかけていくかは未定。非常に良い意味で原作に忠実すぎるから、既に読んでしまっている当方にとっては、物語が拡がっていくおもしろさがないところが玉に瑕。もちろん、本作のアニメとしてのクオリティは高いと思うので迷うところだ。


『月に囚われた男』 [dvd]

月に囚われた男 コレクターズ・エディション [DVD]

月に囚われた男 コレクターズ・エディション [DVD]

原題: Moon
監督・原案: ダンカン・ジョーンズ
脚本: ネイサン・パーカー
美術: トニー・ノブル
音楽: クリント・マンセル
出演:サム・ロックウェル、ケビン・スペイシー、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラーリオ、ベネディクト・ウォン、マット・ベリー、マルコム・スチュワート
製作国: 2009年イギリス映画
上映時間: 97分
配給: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


内容紹介
近未来──地球の資源は底をついた。
サムはエネルギー源を地球へ送るために、ルナー・インダストリーズ社よりたった一人で月に派遣されていた。
毎日決まった時間に起き、ランニングマシーンに乗り、ヘリウム3を採掘するだけの日々。話し相手はコンピューターのガーティだけ。地球との交信は衛星の故障によりできず、録音したメッセージをやり取りするのみ…
3年という契約期間を淡々とこなし、やっと、地球に戻れる日が2週間後に迫っていたのだが―――!?

4月に劇場公開していた作品だから、半年弱でDVD化されるのだな。本作も東京にいたら間違いなく劇場に行っていたのだけどね。とはいえ、公開劇場は全国的にも少なく、多くの場合、そんな作品は地雷だったりする。さて期待と不安が綯い交ぜの本作はどうだったのか。結論から申し上げると、期待以上の佳作だったのでうれしい限り。導入から引き込まれ、97分の上映時間を飽かせない作品となっている。

事前に得ていた情報の通り、『 2001年宇宙の旅 』など、あの頃のSF映画を思わせる造型や映像が懐かし新しい。最近のSF映画はやたらとリアルなCGを使っていてかえって嘘くさい映像になっていることが多いが、本作ではミニチュアっぽい月面走行車の映像表現がやけにリアルに思えてしまったりする。もちろん、そのへんは個人的な感覚だけど。そういえば、ケヴィン・スペイシーが声を演じるロボットのガーティとか、『 サイレント・ランニング 』の影響もあったりするのかな。

低予算の作品だから、舞台は月面基地の内部が主で、かつ登場人物も少ないから舞台劇の趣があり、それをサム・ロックウェルが破綻なく演技している。『 アイアンマン2 』では、イヤなやつを演じていたが、本作では月に3年も暮し地球への望郷の念止みがたき青年役を好演。と、青年と書いたが、当方と同学年なんだなこの人…orz

コアとなるアイデアは、フィリップ・K・ディックの諸作品や、それを原作とするこの作品この作品などと似たようなものだが、左記の作品が「猜疑心」からくるサスペンスに重点を置いているのに対し、本作はもう少し人間味のあるもの悲しい物語になっている。特に終盤で主人公たちが妻との出会いを語る会話にはホロンときてしまった。というわけで、単身赴任で妻子と離ればなれで暮らしているお父さんたちにお奨めしたい作品、と当方は思った次第。


『東のエデン 劇場版1,2』 [dvd]


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
【Ⅰ】
神山健治監督が放つ人気TVシリーズの続編となる劇場版第1弾。“セレソン”のひとりに選ばれた滝沢朗は、60発のミサイル事件を機に姿を消してしまう。ノブレス携帯に残されたメッセージを手掛かりに、咲はN.Y.へと旅立つ。

【Ⅱ】
N.Y.から帰国した滝沢朗は“東のエデン”のメンバーと合流し、セレソンゲームに決着をつけるために内閣総理大臣の別邸へ向かう。一方、咲は滝沢に関するある秘密を掴むが…


TVシリーズのDVDが愉しめたので劇場版も視聴。Ⅰを観賞後の感想は、「劇場で観なくてよかった」というもの。劇場まで観に行って、あの終わり方はないだろう。当方としては、映画は一編でひとつの完結した物語を語るべきだと思うから。

昔で言えば『 バック・トゥ・ザ・フューチャー 2 』だとか、最近では『バイオハザードⅣ』とか、続編ありきの映画でさえエピソードは一応、その映画内で片づけられる。ところが本作では、1と2を続けて鑑賞してはじめて一編の物語になる。これは映画というメディアで使用されるべき構成ではない。このことだけで、正直なところイヤになってしまった。予算なのか、制作時間の制限のためなのか。それとも興行収入のためなのか。商売のためなら何でもして良いというのはおかしいと思うぞ。

まあ、上記はいちゃもんなのでそこには目を瞑ったとしても、内容的にも当方にはよくわからない部分が多かった。「一緒に旅した場所」ということ場を手がかりに咲はN.Yに旅立つのだが、TVシリーズにそんな伏線ってあったけか? 滝沢はなぜ再度、自らの記憶を消したのか? 総理大臣の私生児ということと「この国の王様になる」ということは、なにか関係あるのか? などなど…

いや、TVシリーズの細部を忘れたのかもしれないけど、それほど記憶に残らない伏線は伏線と言えないと思うぞ。その他、日本の公安警察が非常に間抜けだったりとか、細部のリアリティにそれらしさがないためサスペンスに物足りなさを覚える。

TVシリーズはほどほどに愉しめたのだが。結局、劇場版は「何がしたかったの?」と問いかけざるをえない残念な仕上り。


『ウディ・アレンの夢と犯罪』 [dvd]

ウディ・アレンの夢と犯罪 [DVD]

ウディ・アレンの夢と犯罪 [DVD]

原題: Cassandra's Dream
監督・脚本: ウッディ・アレン
音楽: フィリップ・グラス
出演:ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、ヘイリー・アトウェル、サリー・ホーキンス、トム・ウィルキンソン、フィリップ・デイビス、ジョン・ベンフィールド、クレア・ヒギンズ
製作国: 2007年イギリス映画
上映時間: 108分
配給: アルバトロス・フィルム

■■■
ご覧のように、原題は"Cassandra's Dream"。映画冒頭でイアン(ユアン・マクレガー)とテリー(コリン・ファレル)が手に入れた小型クルーザに名付けた船名だ。


カッサンドラー(希:Κασσάνδρα)は、ギリシア神話に登場するイーリオス(トロイア)の王女。悲劇の予言者として知られる。日本語では長母音を省略してカサンドラ、カッサンドラと表記されることが多い。(中略)
イタリア語では日常の会話で「カッサンドラー」で「不吉、破局」といった意味を持たせて使う(Wikipediaより)。
 

内容(「Oricon」データベースより)
「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」に続く、ウディ・アレン監督・脚本のロンドン3部作最終章。労働階級の人々が暮らすロンドン南部の街を舞台に、人生の不条理を描く。きらびやかなビジネスの世界で成功を夢見るイアンと、酒とギャンブル恋人と過ごす日々にそれなりの充足感を得ているテリー。そんな兄弟が“カサンドラズ・ドリーム号”と名付けた小型クルーザーを購入したことから彼らの人生が徐々にうねり出す…


マッチポイント 』でもそうだったが、ウディ・アレンが人間のいやらしさを描く手際は最高の腕前なのではないか。ちょっとしたきっかけで転落していく人間を描く映画はごまんとあり、ある意味では本作もそのプロットを丁寧になぞっていくだけのものだ。ユニークなのは、描かれるのが人間の悪意ではなく、いやらしさということ。あきらかに鑑賞者の感情移入を拒んでいる。

少しばかり夢想家で見栄っ張りの兄と、自動車修理工として地道に働きながらもギャンブルと酒に頼りがちな弟。どこにでもいそうな平凡な兄弟が、窮地から脱するために伯父から持ちかけられたある依頼を実行する…

イアンとテリーをはじめとする登場人物たちの他、伯父やイアンの恋人・兄弟の両親もまた監督のシニカルな視線でタダのいい人には描かれない。そんな登場人物たちのちょっとした自分勝手さが最終的には悲劇を生んでしまうという皮肉な物語。エンタテインメント性は薄いし、いわゆる芸術映画とも言えないのだが、何か不思議と味わい深い作品だ。

そういえば、コリン・ファレルを観るのは『 ニュー・ワールド 』以来。でも、出演は『ニュー・ワールド』(2005)→『 マイアミ・バイス 』(2006)→本作(2007)の順番なのだね。ずいぶんと時間が経ってから日本では公開されたのだな。最近はいろいろとお騒がせだから主演作が少ないのだろうか。それにしても、ダメな兄弟を演じるにはユアン・マクレガーとコリン・ファレルではかっこよすぎたか。


『アーマード 武装地帯』 [dvd]

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原題: Armored
監督: ニムロッド・アーントル
脚本: ジェームズ・J・シンプソン、クリス・パーカー
出演:マット・ディロン、ジャン・レノ、ローレンス・フィッシュバーン、スキート・ウールリッチ、アマウリー・ノラスコ、アンドレ・ジャマル・キニー、マイロ・ビンティミリア、フレッド・ウォード、コロンバス・ショート
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 87分
配給: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
マット・ディロン、ジャン・レノら実力派キャスト共演で贈る犯罪アクション。装甲輸送車で大金を運ぶ職務に就く6人の男たちが現金強奪計画を遂行するが、予期せぬアクシデントをきっかけに事態は思わぬ方向に転がり…


というありがちな物語に、どのような付加価値を与えられるかがこの手の映画の成否の分かれ目。残念ながら本作にはその付加価値はまったく感じられなかった。この脚本にGoを出した製作者は何をどのように考えてOKを出したのか不思議ではある。

なお本作は、ご覧になった方ならおわかりの通り、その3分の1近くの時間(すなわち30分間近く)のあいだ、登場人物たちがひたすら餅つきをしている。究極の餅つき映画と命名したい。なんのこっちゃ、と思われるかもしれないが、観ればわかる。

閑話休題。おそらく脚本が目指したのは、閉鎖空間における犯罪者たちの闘いみたいなものだったのだろう。それを配給会社がアクション作品のような装いで売り出したのが間違いのひとつ。そして、同じ廃工場(本作では廃鉄鋼場)を舞台にした映画でありながら、脚本の緻密さやサスペンス、そしてストーリーの意外性で(おそらく本作よりも低予算の)『 unknown/アンノウン 』に負けてしまっている。

というか、犯罪者一味が、そんなに何度も装甲現金輸送車に籠城している人間を自由に出入りさせちまっていいものかね。緊迫感などありやしない。拳銃の弾さえ跳ね返す防弾仕様の装甲輸送車の床がわりと簡単に外れたりとかさ。突っ込みどころは満載。マット・ディロンが酷薄な首謀者役をうまく演じているのだけが唯一の見所か。お奨めできない作品を紹介してしまい申し訳ないが、ま、これも当方の備忘録ということでご容赦いただきたい。


アーマード 武装地帯 コレクターズ・エディション [DVD]

アーマード 武装地帯 コレクターズ・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD

『トランスポーター3/アンリミテッド』 [dvd]

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原題: Transporter 3
監督: オリビエ・メガトン
脚本: リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
音楽: アレクサンドル・アザリア
出演:ジェイソン・ステイサム、ナターリャ・ルダコワ、フランソワ・ベルレアン、ロバート・ネッパー
製作国: 2008年フランス映画
上映時間: 103分
配給: アスミック・エース


ストーリー
謎の男から「赤い代物」の運搬を依頼された運び屋フランクだったが、それを断ると、愛車から20メートル離れると爆死するという罠を手首に仕掛けられてしまう。依頼品を運ばざるをえなくなったフランクは、同じ罠を仕掛けられた謎の美女ヴァレンティーナと依頼品に隠された陰謀に挑む。


アクション映画のおもしろさってなんなのだろう。鍛え抜かれた身体による体技か、クルマや飛行機による追いかけっこなのか、はたまた知力・体力を振り絞る男(女でも良いけど)の生き方なのか。ここのところアクション映画を観る機会が多いのだが、ふとそんなことを思ってしまう。

アクション映画というジャンルにおける当方のオールタイムベストを選ぶと、ありきたりだが『 ダイ・ハード 』になってしまう。20歳くらいの時に映画館で鑑賞したんだが、観ているあいだじゅう身体が緊張しっぱなしで手に汗を握るという鑑賞体験は今のところあの一本だけだ。

マクレーン刑事が結末で敵にやられてしまうことはありえない(だろう)。にもかかわらずハラハラドキドキで鑑賞していた当方は、LAの高層ビルで孤軍奮闘するNYの刑事に半端ではない感情移入をしていたわけだ。なるほど。主人公と同化できるのがアクション映画の基本要件にちがいない。

そんな益体もないことを考えたのは本作を鑑賞したからだ。ジェイソン・ステイサムファンの当方としては、どんな映画だろうと彼が出演しているだけで鑑賞候補になる。実際、本作だって細かいところを言い出せば、もとい、細かくないところを言い出したって脚本にアラが目立つが、それでも愉しく鑑賞できた。

でも、何かしらの物足りなさを感じるのは、結局は主人公に感情移入できなかったということだ。それは本作のみならず、最近の鑑賞作品にも言えることであり、それは当方が年を食ったということやすれっからしになってきたということと関連なくはあるまい。

うーむ。なんだか感傷的なことを書き連ねてしまった。何度も言うけど、103分を愉しむ娯楽作品として当方は充分に愉しめた。シリーズを通して出演しているタルコーニ警部(フランソワ・ベルレアン)もいい味だしているぞ。


トランスポーター3 アンリミテッド [DVD]

トランスポーター3 アンリミテッド [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD

『パーフェクト・ゲッタウェイ』 [dvd]

原題: A Perfect Getaway
監督・脚本: デビッド・トゥーヒー
出演:ミラ・ジョボビッチ、スティーブ・ザーン、ティモシー・オリファント、キエレ・サンチェス
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 98分
配給: プレシディオ

■■■
買ったばかりの電子辞書で調べてみると、"A Perfect Getaway"には「完璧な逃走」、あるいは「申し分ない保養地」とも両方の意味にとれるんですな。鑑賞し終えると、そんな洒落たタイトルが本作の素性を表しているとわかるはずだ。


ストーリー
ハネムーンハワイを訪れていたクリフとシドニーは、1組のカップルが殺害される事件に遭遇する。現地で仲良くなった2組のカップルに次第に疑いを抱き始めたシドニーたちだったが、犯人の動機など一切不明なまま、謎の殺人事件に巻き込まれていく。


いやはや、騙されちまった。少し眠いところに無防備で鑑賞したからということもあるんだけれど。少しわかりにくいところをネタバレサイトで補完したんだが、わりと簡単に真相を見抜いていた人が多い。少し悔しいという思いもあるが、ころっと騙される快感もあるわけで、だからかもしれないが当方にとっては好きな作品といえる。

で、本作のユニークな点は、意外な犯人がわかってからのその後の展開。まさにネガとポジが反転するような、観客である当方の感情移入の移り変わりが、人間の心のおかしなところを感じさせるのだ(わかりにくい表現だw)。だから本作では、できるだけ無防備にリラックスして、真相を見抜こうと鵜の目鷹の目で鑑賞されるのは避けた方が吉と言っておこう。

さて、調べてみると監督のデビッド・トゥーヒーは当方のお気に入りである『 アライバル 侵略者 』の監督であり『 クローン 』の脚本を書いた人。なるほど、B級SFのみならず、この手のサスペンスでも手練れとみた……むむ、ハリソン・フォードの『 逃亡者 』やあの『 ウォーターワールド 』の脚本も書いてるよ。

当方としては、アンフェアと思える部分もあるが、それを上回る小技の効かせかた(トランシーバーの使い方とか)がうれしい一作。どうってことのないB級作品には違いないが、「B級上等!」の人には自信を持ってお奨めしたい。


『ロフト.』 [dvd]

原題: Loft
監督: エリク・バン・ローイ
脚本: バルト・デ・パウ
出演:ケーン・デ・ボーウ、フィリップ・ペーテルス、マティアス・スクナールツ、ブルーノ・ファンデン・ブロッケ、ケーン・デ・グラーベ、ベールレ・バーテンス
製作国: 2008年ベルギー映画
上映時間: 117分
配給: フリーマン・オフィス

■■■
初のベルギー映画鑑賞。ベルギーってどんな国かはまったく知らない。ベルギービールを呑んだことがあるくらいか。下記の内容紹介に本作は「ベルギーの10人に1人が~」とあり凄いと思わせるが、同国人口は10百万人程度だから、百万人の動員ということ。よくある数字のマジックですね。ちなみに日本での最大観客動員数は『 千と千尋の神隠し 』の23百万人だから、ベルギーの人口よりも多く動員しているんだな。


内容紹介
5人の男たちが共有する秘密の部屋
手錠をかけられた女の死体
犯人が仕掛けた罠
その結末にあなたも唖然とする

●ベルギー国民が熱狂した驚異のスーパーヒット・サスペンス、ついに日本上陸! 本国ベルギーで10人に1人が劇場に足を運ぶ大ヒット作。ついに日本でもそのベールを脱ぐ!

原題はLoftだが邦題の"ロフト"の後に付くピリオドが何を意味するのかはまったくわかりません。それはともかく、上記の内容紹介を読む限りでは大ひっかけ映画を予測し当方も期待していたのだが、当方にはヤマ場がどこにあるかわかりかねた。結果、いろいろあるうちにいつのまにか終盤の解決編になっていたという印象の作品。

5人の男たちが共有するデザイナーズマンション最上階のロフトで手錠をかけられ死んでいる女。男たち5人は急遽集合し対策を思案する。そして、誰がやったのかを回想シーンを挟み込みながら推理する、というストーリー。

きちんと観れば、その回想シーンのそこかしこに伏線が仕込まれているのかもしれないが、当方にはほとんど意味を感じられなかった。男たち5人の行状(共有とはいえ秘密の部屋があったら、男がやることは決まっている)が事件の核心に関係があるかといえば、たとえば精神科医と市長の秘書のパートなんて別個の物語のように思える。

5人が感じるそれぞれの現実が錯綜して…という「藪の中」的な物語を期待していた当方には少し期待が外れたところがあったし、この手のサスペンスにある二段三段のオチが用意されているというわけでもない。あえてジャンル分けすれば心理サスペンスというところだろうか。そんなわけで、どういう物語を期待するかによって評価が分かれそうな作品。当方には少し物足りなかった。

そういえば、内容とは関係ないが、ときおり映されるベルギーの市街や建物、そして警察署の建物や内装のオシャレ振りにはびっくり。いや、もちろんロケ地が警察署であるとは限らないんだけど。『 ブラック・レイン 』の警察署のロケ地は大阪府庁舎だったらしいが、うーむ、雲泥の差があるね。


『アルティメット2/マッスル・ネバー・ダイ』 [dvd]

アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ [DVD]

アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ [DVD]

原題: Banlieue 13: Ultimatum
監督: パトリック・アレサンドラン
製作・脚本: リュック・ベッソン
出演:シリル・ラファエリ、ダビッド・ベル、フィリップ・トレトン、ダニエル・デュバル
製作国: 2009年フランス映画
上映時間: 101分
配給: アスミック・エース


ストーリー
近未来のパリ、さまざまな人種が混在するパリ郊外のバンリュー13地区はギャングの巣窟と化していた。ある日、13地区で警官が殺された事件をきっかけに地区の一掃計画が持ち上がる。その裏に陰謀を嗅ぎつけたレイトと潜入捜査官のダミアンは、再びタッグを組んで闇の組織に挑む。

前作の『 アルティメット 』は新宿歌舞伎町の劇場に足を運んだ記憶がある。作中で描かれるきな臭いパリの情景と歌舞伎町が妙にダブってみえたものだ。本作はその数年後を描いたもの。

主な舞台は前作と同様にバンリュー13地区。司法の力が及ばないアジールとなっている同地区を一掃したいという政府内の一部の勢力と、主人公の一人であるレイトをはじめとした同地区住民の闘いが基軸。

とはいえ、そういったストーリーを愉しむと言うよりは、シリル・ラファエル演じる潜入捜査官ダミアンとレイトのアクションが売り物。特にバルクール(特別な道具を使うことなく効率的に障害物を越えることを目的としたフランス発祥のスポーツ)シーンは本場の凄みがある。

そんな映画だから、ストーリーとかは実はどうでも良いわけであって、本作でもまた主人公たちのとんでもない身体能力を素直に愉しめばよい。なので、アクション映画にあまり興味がない場合にはお奨めしづらいとは言える。


◎前作です

アルティメット [DVD]

アルティメット [DVD]

  • 出版社/メーカー: アスミック
  • メディア: DVD

『放送禁止 劇場版 ~ニッポンの大家族 Saiko! The Large family 』 [dvd]


内容(「Oricon」データベースより)
実際にあった事件を織り込んだ衝撃的な内容や、ドキュメンタリーと錯覚させる仕掛けが話題となったフェイク・ドキュメンタリーシリーズ「放送禁止」の劇場版第2弾。世界各国の家族問題をテーマにしたドキュメンタリーを数多く手掛けるカナダの女性作家ベロニカ・アディソンが、日本のある大家族にスポットを当て異様な光景を映し出す…


劇場版の第二弾は、ベロニカ・アディソンという女性の映像ドキュメンタリ監督が日本の大家族を取材するという構成。本編の始まりの前にはご丁寧に彼女のプロダクション(?)のロゴがオープニングに使用されているが、もちろんフェイク。まずは、この入れ子構造が本作の方向性を示唆している。

そして前提として、本作での隠された意図を理解するにはTVシリーズの『 放送禁止2 ある呪われた大家族 』の視聴を済ませておくことが必須。でなきゃ、意味がわからないと思います。

思ったのは、劇場の大画面で本作を観ていたとしたら、さまざまに仕掛けられている小技を見抜けていたかどうか、ということ。24インチとはいえ、映画館のスクリーンに比べれば小さい液晶ディスプレイで鑑賞していたから見抜けた部分も多いはず。

おかげで消化不良にはならなくて済んだが、わかりやすければ逆に文句を言われてしまう題材であるから、そのあたりのさじ加減の調節にスタッフは苦労したものと推測される。

シリーズのファンの方は鑑賞して損はない。興味のある向きで未見の方はTVシリーズの一巻目から順番に視聴・鑑賞されることを強く奨めておこう。


『東のエデン[1]~[5]』 [dvd]

東のエデン 第1巻 (初回限定生産版) [DVD]

東のエデン 第1巻 (初回限定生産版) [DVD]


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズの神山健治監督がオリジナルストーリーで放つTVシリーズの第1巻。卒業旅行アメリカに出掛けた森美咲は、ホワイトハウスの前でトラブルに巻き込まれる。第1話「王子様を拾ったよ」と第2話を収録。


上記の内容をもう少し詳しく記述すると、主人公の一人である森美咲が巻き込まれたトラブルとは、ホワイトハウスに向けてコインを投げ込んでいた彼女に警官が近づいていった矢先、一人の青年が丸裸で片手に拳銃もう片手にはケータイを持って現れ、結果的に咲は尋問を免れたというもの。

どうやら青年は一切の記憶をなくしているらしい。そして、咲からコートを借りると一目散に駆けだし、持っていたケータイでジュイスと名乗る女性から自分の住み処を聞き出す。そして、そのケータイには電子マネーが82億円ほどチャージされていた…

と、なかなか魅力的な導入だ。舞台が米国ワシントンDCから始まるということもあってか、海外TVドラマを思わせる壮大な謎を提出してくれる。 そんなこともあり、全五巻を4夜連続で鑑賞したのだった。結論から申し述べると、満足半分物足りなさ半分と言うところだ。

物足りなさという点では、如何せん短すぎると言うこと。これだけの壮大な謎を30分全11話で収束させるのはもったいない。4倍くらいかけてじっくりと語れば、より深みが増したと思う。関連したことで言えば、これだけの壮大な謎なのに物語のスケールが意外に小さい。こんな騒動に各国の国家権力が介入しないという点も少し不自然。主要な登場人物たちが大学のサークル仲間(ちなみにそのサークルの名称が"東のエデン")というのでは物語の拡がりは望めない。

もちろん、物語の拡がりはTVシリーズ終了後の劇場公開版を睨んでのことなんだろうが、それはそれであざとい商売のような気もする。

あと、気になったのは作中で使われるニートという言葉のニュアンスだ。ご存知の通り、ニートとは"Not in Employment, Education or Training"という、1999年に英国の内閣府社会的排除防止局(Social Exclusion Unit)が作成した調査報告書に由来する言葉。

ところが、本作では平たく言えば、引きこもりで無職のオタク、ぐらいのニュアンスで使われている。これってどうなのよ、と思っていたら、いま、ニートはそういうニュアンスの言葉になっているようだね…びっくりした。ニートという言葉の定義自体が逆輸出されているようだし。

そして、テーマが、「世代間格差」というのも気になる。既得権益の奪取やら格差社会・自己責任など、現在の若者が置かれた状況に対して回答のひとつとして組み立てられた物語のようだ。旧世代対新世代の相克というのはわかりやすいけれど、監督の神山健治は、当方とほぼ同世代だからどう思っているのかが興味深い。

一方、満足度が高いのは、より大きな物語を隠すために突拍子もない謎を提出するという非常に贅沢なストーリーであるということ。スケールの小ささをマイナスポイントとして記述したけれど、生活者目線にはそんな大きな物語はあまりにも巨大すぎて事態の一部しか認識しえない、ということを言いたかったのかもしれない。いや、まあ、深読みだけど。

少なくとも、レンタルして鑑賞する価値は充分にある。この後も、劇場版が二作あるのだから楽しみだ。早いところ借りて鑑賞することにしよう。


『ラスト・ブラッド』 [dvd]

ラスト・ブラッド スペシャル・エディション [DVD]

ラスト・ブラッド スペシャル・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD

原題: Blood the Last Vampire
監督: クリス・ナオン
脚本: クリス・チョウ
音楽: クリント・マンセル
出演: チョン・ジヒョン、小雪、アリソン・ミラー、リーアム・カニンガム、J・J・フェイルド、コリン・サーモン、倉田保昭
製作国: 2009年香港・フランス合作映画
上映時間: 91分
映倫指定: R15+
配給: アスミック・エース


ストーリー
プロダクションI.Gのアニメ「BLOOD THE LAST VAMPAIRE」を、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン主演で実写化。16世紀から400年に渡って続いてきた人間と“オニ”と呼ばれる吸血鬼たちの戦い。日本刀でオニたちを斬る謎の少女サヤは、在日米軍基地で発生した殺人事件の陰に究極のオニと呼ばれる“オニゲン”の存在を感じ、基地内のアメリカ人学校に潜入するが…


小説でも映画でも、外国人からみた日本が描かれる作品は、どうあっても何かしらのトンデモ要素がある。そんな味わいが大好きだ。それは、当方のような日本人も諸外国をなんらかのフィルタを通してみているのと一緒なわけだ。どんなに世界経済がグローバル化しようとインターネットが隅々まで行き渡ろうと、そのあたりのギャップというか誤解というか、それはなくならないだろう。

本作で描かれる日本もまたしかり。冒頭の地下鉄シーンでは、どうみても丸ノ内線の車両が終点の浅草に着こうとしている。 というか、いくら夜中でも空きすぎだよ、あの地下鉄。また、主人公のサヤが隠れるホテルが「トゴシギンザ」にあったりとか、あのへんは住宅街と言っていいじゃないだろうか。そのあたりのギャップがおもしろい。もちろん、わざとやっているということも考えられるが。

ストーリーは至ってありがちな、ヴァンパイアと、その人間のハーフとの因縁復讐劇だ。チョン・ジヒョン演ずるサヤは、どうやら数百年を生きる不死身に近い存在。究極のオニたるオニゲンを演ずるのが小雪と、なんだかオニは女系のようだ。見所は、中盤における街中でのサヤの死闘で、オニをバッサバッサとなぎ倒す百人切り。ワイヤーアクション+CGで味気ないと言えばそうなんだけど、流血シーンが生臭くなくってよろしい。

内容について言えば、細かいツッコミどころを記述しはじめたらキリがない。なぜセーラー服なのかをはじめとし、ストーリーにおける整合性をまったく無視して突っ走っている。

ところが、だ。当方は本作を相当におもしろく鑑賞してしまった。もちろん、他人には奨めないよ。奨めようがない。やはり、異国の眼から描かれる日本の姿が気に入ったから。いや、もしかしたら、1970年の当時の日本はあんな姿だったのかもしれない。そんな、トリップ感を味わうことができる。

そういえば、サヤの家来のカトウ役で倉田保昭が出演。還暦を越しているのだが、味わい深いアクションシーンを披露している。このシーンもポイント高いかな。


◎原案の日本アニメ

BLOOD THE LAST VAMPIRE [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: アニプレックス
  • メディア: Blu-ray

『ファイナル・デッドサーキット』 [dvd]

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原題: The Final Destination
監督: デヴィッド・エリス
脚本: エリック・ブレス
出演: ボビー・カンポ、シャンテル・バンサンテン、ヘイリー・ウェブ、クリスタ・アレン、リチャード・T・ジョーンズ、ニック・ザーノ
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 82分
配給: ギャガ


内容(「Oricon」データベースより)
死の運命を逃れた者たちに襲いかかる予測不可能な“死のトラップ”を描いた、人気ショッキング・ホラー・シリーズ第4弾。猛スピードで爆走するカーレースのサーキット場で、観客を巻き込む壮絶な大クラッシュが発生。スタンド席にいた若者ニックが見た予知夢のおかげで9人の男女が奇跡的に難を逃れるが、死の運命は彼らを見逃してはくれなかった…


「ファイナル・デスティネーション」シリーズも本作で4作目。さすがにネタ切れの感がなきにしもあらず。ただ、本作にはこれまでと少し異なるシチュエーションがある。前3作では、結果として生き残った人々は何らかのつながりができ団結して身を守るのだが、本作ではそれがない。生き残った人の多くは予知した人間から離れ普通の生活に戻っていく。

自分たちが生き残るためには、まず生き残った人を捜し出さなければならないというサスペンスが生じるわけだ。この新たなシチュエーションは、残念ながら効果的に使われず、探し出すべき人は比較的あっさりと見つけ出せるし、あっさりと死神の手にかかってしまう。

じゃあ、つまんないのかと言えば、このプロットは何度使い回しても悪くはないアイデアなんですね。ワンパターンのギャグがかえっておもしろかったりするのと同じように、このシリーズはこうじゃなきゃ、という不思議な愉しみ方ができる。だから、ここまでシリーズをご覧になってきた方は言われずとも鑑賞しているだろうし、未見の方には第一作から順番に鑑賞をお奨めしたい。



『しあわせの隠れ場所』 [dvd]

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原題: The Blind Side
監督・脚本: ジョン・リー・ハンコック
音楽: カーター・バーウェル
出演: サンドラ・ブロック、ティム・マッグロウ、クィントン・アーロン、キャシー・ベイツ
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 126分
配給: ワーナー・ブラザース映画


ストーリー
全米アメリカンフットボール・リーグNFLのマイケル・オアー選手の激動の半生を追ったマイケル・ルイスのノンフィクション「ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟」を映画化。米南部ミシシッピのスラム街に生まれ、ホームレスのような生活を送っていた黒人青年マイケルが、裕福な白人女性リー・アンの一家に家族として迎え入れられ、アメフット選手としての才能を開花させていく姿を描く。


原題のBlind Sideとは「右利きのクォーターバックにとってパスを投げる際に死角となる左側のサイドのこと。レフトタックルの選手は相手ディフェンスの優れたパスラッシャーからクォーターバックを守るため重要視されている(Wikipediaより)」とのことで、よーするにアメフトの用語のようだが、アメフトのルールを知らない当方にとっては意味はまったくわからない。

本作で描かれるマイケル・オアーという人は現役の選手で実はまだ24歳。もう少し古い人の伝記モノかと思ったらつい最近のことなのだね。確かに、作中ではサンドラ・ブロックはバリバリにケータイを使ってるし。サンドラ・ブロックといえば、最初から最後までそのブロンドの髪の毛には違和感があったなあ。

閑話休題。いわゆる感動系ヒューマンドラマだが、そこここに作り物めいたところがあるのは事実だと思う。テューイ一家をはじめ悪意のある人たちは登場しない。マイケルがアメフトをはじめた時期も微妙に改変されている(テューイ夫妻と出会う前からアメフトをやっていたようだ)。

高校時代のアメフトのコーチが少しオマヌケに描かれているが実際には優秀なコーチだったらしいことも含め、都合の良い改変がされているのは、サンドラ・ブロックのアカデミー賞取りのためだ、などの批判もされている。あと、気になったのは、高校入学をお願いにきたおじさんは何ものだったのかとか同行していた少年はどうなったのか、レストランで会った兄とはその後どうなったのか、など、微妙に回収していないサイド・ストーリーがあったりするのも気になる。

それでも、と言っておこう。当方にはとても愉しめた映画だ。家族愛や目標達成への努力など、いまとなっては少し気恥ずかしいテーマを衒うことなく真っ当に描いているから。出演者については、子役のジェイ・ヘッド演じるSJが良い味出しているし、サンドラ・ブロックは鼻につくところはあるものの、さすが主演女優賞を取るだけのことはある演技だ。

原作も翻訳されているようだし機会があれば読んでみることにしよう。あまり細かいことにこだわらず、ヒューマンドラマを愉しみたい人にはお奨めできると思う。



◎原作本(未読)

ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟

ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟

  • 作者: マイケル ルイス
  • 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
  • 発売日: 2009/11/25
  • メディア: 単行本

『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』 [dvd]

映画『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』公式サイト

原題: Blue Gold: World Water Wars
監督: サム・ボッゾ
原作: モード・バーロウ、トニー・クラーク
ナレーション: マルコム・マクダウェル
製作国: 2008年アメリカ映画
上映時間: 90分
配給: アップリンク

■■■
当地にきて良かったのは水がうまいのと夏が涼しいこと。臭みがなく、ちょっと硬めの水。ブリタの浄水ポットを通せば、下手な市販のミネラルウォーターよりおいしい。お茶やコーヒーを淹れなくなってしまった。小型のマグポットに水を入れて出かけるようにもなった。

そしてわかったのは、水道料金って安いんだなということ。当方がシャワー派ということもあるのかもしれないが、一ヶ月あたりでは1,000円を超えない。ガスや電気のそれは低いときでも3,000円超だというのに。ちなみに当地は凶悪犯罪の発生率も低く、安全と水はタダ、を体現しているような土地柄だ。


解説・あらすじ
環境破壊や人口増加などにより地球規模で水不足が深刻化している現在、世界で起きているさまざまな“水戦争”の現状を追った社会派ドキュメンタリー。今や石油よりも貴重な天然資源となった水を巨大なビジネスチャンスとみなし、独占しようとするグローバル企業から、水をめぐる国家間の争い、海水淡水化による環境汚染など、世界の水資源問題を多角的に検証していく。


"ブルーゴールド"とは石油を意味する"ブラックゴールド"に対して、水が新たな戦略的資源になることを比喩した言葉のようだ。観賞すると、科学的もしくはジャーナリスティックな観点から水問題を扱ったものかと期待していたらそうではなかったというのが正直なところ。

環境汚染や民営水道事業会社の躍進とそれに関わる国家の利権・水道民営事業に反対するNGO、あるいは巨大な水源を擁する土地を買い漁る前米国大統領の一族への告発など、内容は多岐にわたる。その多岐さゆえにポイントが奈辺にあるのかぼやけてしまっている印象がある。ようするに整理されていないのだ。

本作は原作である『 「水」戦争の世紀 』を基に、著者たちのインタビューを中心に、その他NGOの指導者など「水は共有資源」という立場の人々の証言だけで構成されている。一方的、とは言わないが、たとえば民営水道事業会社の考え方が出てこないというのは少し公平ではないと感じた。著者やNGOのプロパガンダ映画と捉えられかねない危うさがある。

そんなことを気にしなければ、たとえば水は限りある資源で、経済のグローバル化に伴い水もまた食料や製品にカタチを変えて大陸や国家間を移動するようになった、という考え方はなるほどと思う。いずれ水も、二酸化炭素排出権と同様に証券化されていくのではないか、など想像してしまった。

科学的なアプローチの不足や、ほとんど一方的な主張のみで構成されている本作の内容を鵜呑みにするのは危険だと思うが、蛇口を捻れば水が出てくるという環境になれてしまっている日本人としては、世界の水の現状を知るために鑑賞するのも悪くはない。


◎原作本(当方は未読)

「水」戦争の世紀 (集英社新書)

「水」戦争の世紀 (集英社新書)

  • 作者: トニー・クラーク
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/11/14
  • メディア: 新書

 


『バッド・ルーテナント』 [dvd]

バッド・ルーテナント [DVD]

バッド・ルーテナント [DVD]

原題: Bad Lieutenant: Port of Call New Orleans
監督: ベルナー・ヘルツォーク
製作: スティーブン・ベラフォンテ、アラン・ポルスキー、ケイブ・ポルスキー、ジョン・トンプソン、エドワード・R・プレスマン
製作総指揮: アビ・ラーナー、ダニー・ディムボート、トレバー・ショート、ボアズ・デビッドソン、エリオット・ルイス・ローゼンブラット、アレッサンドロ・ケイモン
脚本: ウィリアム・フィンケルスタイン
音楽: マーク・アイシャム
出演: ニコラス・ケイジ、エバ・メンデス、バル・キルマー
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 122分
配給: プレシディオ

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本作でのニコラス・ケイジの役柄は悪徳刑事。あれ? どこかで見たようなシチュエーションだな…。本作でもカジノが舞台のシーンがあるのはもはや偶然とは思えない。悪徳警官役というのも同じだし。ちなみに「バッド・ルーテナント」は直訳すれば悪徳警部補という意味だ。

周知のように本作もリメイク作品であり、リメイク元は同じタイトルでハーヴェイ・カイテル主演の『バッド・ルーテナント』だ。監督のヴェルナー・ヘルツォークという人も名前くらいは知っていたが今回が初見。ニュー・ジャーマン・シネマの重鎮らしいが、本作ではリメイク元をどう料理するのか。


内容紹介
この男、正気か狂気か。
荒廃した街 ニューオリンズ。最悪な男が、躍動する。
ハリケーン・カトリーナが襲来した直後のニューオリンズ。逃げ遅れた囚人を救い出したことで表彰され、昇進を成し遂げた正義の刑事テレンス・マクドノー(ニコラス・ケイジ)。
しかし彼は賭博に興じ、恋人の高級娼婦フランキー(エヴァ・メンデス)と共にドラッグに手を染め、挙げ句の果てには警察が押収したドラッグを盗み出すという裏の顔を持っていた。ある日、不法移民の一家5人が惨殺されるという事件が起こる。テレンスはこの事件の陣頭指揮を執ることになるが、事態は思わぬ方向へと転がっていく。


といった勇ましい内容紹介ではあるが、物語自体は、悪徳刑事ものの映画の形式から大きくはみ出すものはない。悪徳刑事が徐々にのっぴきならない状況に追い込まれていくことがサスペンスを醸成する。そのサスペンス自体は、やっぱりありがちなものと言わざるをえない。

そんな本作での最大の見所はニコラス・ケイジの怪演。物語が進むに連れ酷くなっていく薬物依存のため顔色は青白くなり言動もおかしな様子になっていく。この手の追いつめられた男の狂気をギャグすれすれの演技でみせるのだからすごい。主人公をフィーチャーすることが監督の最大の目論見かとも思えるように、エヴァ・メンデスやヴァル・キルマーの出番は少しばかり冴えない。

そりゃなんでもそういうことになるのか、という結末まで含め刑事もののエンタテインメントと言うよりは、追いつめられていく男の狂気を描くことがテーマだといえる。でも、人間ドラマというカテゴリには入れられないなあ。見張り最中にイグアナの幻覚を視たりする刑事だし。今年の二月に恵比寿ガーデンシネマで上映したらしいが、観客層は合っていないように思える。

ところで、冒頭で主人公は水没した警察署に収監されていた容疑者を救い出す。その後、シーンが変わりレントゲン写真を見る医者。どうやら主人公は腰を痛めたらしいのだが、この救出劇が原因かどうかよくわからない。その後、ドラッグに依存していくのはその腰痛の痛み止めの意図からだったのだろうか。そこらへんからよくわからない。そういう解釈でいいんだろーか。


『海角七号/君想う、国境の南』 [dvd]

原題: 海角七號
監督・脚本: ウェイ・ダーション
製作: ウェイ・ダーション、ホァン・ジーミン、リン・ティエングイ、ルー・ジュンイー、フー・ジョングァン、ジャン・チャンディー
撮影: チン・ディンチャン
音楽: リュ・ションフェイ、ルオ・ジーイー
編集: ライ・ホイジュエン、ニウナイ
出演: ファン・イーチェン、田中千絵、中孝介、シノ・リン、レイチェル・リャン
製作国: 2008年台湾映画
上映時間: 130分
配給: ザジフィルムズ、マグザム

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海外旅行にはほとんど興味がないが、台湾だけは行ってみたいと思うことがある。なにしろPCのマザーボードのほとんどが同国のメーカーのものだ。興味を持たざるをえない。近そうだということも、喫煙者としては魅力的だ。


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
台湾の人気歌手、ファン・イーチェンと田中千絵共演による感動作。ミュージシャンの夢に破れ、郵便配達のバイトをしている青年・阿嘉は、ある日郵便物の中に60年前の“海角7号”宛の手紙を見付ける。そんな中、彼は中孝介のライブに駆り出され…


さて、本作は台湾で『タイタニック』に次ぐ興行成績を叩きだした作品。舞台となった恒春は台湾の最南端に位置し、本作のヒット後には観光地化したりしたそうだ。台湾映画といえば『 悲情城市 』くらいしか鑑賞したことはなかったが、一見、妙なタイトルに気が引かれ鑑賞することに。タイトルの海角七号とは住所のことで、直訳すれば"岬7号"くらいの感じだそうだ。 台北で夢破れ、郵便配達のアルバイトをしている主人公が思わず封を切ってしまった行先不明の手紙の宛先がそれだ。

物語は、その手紙の宛先人探しと地域興しのためのビーチライブで、前座の即席バンドのメンバーとなった人物たちの人間模様が並行して描かれる。当方は、どちらかといえばバンドの物語として鑑賞。主人公、台湾パイワン族の警察官、バイク修理工、地酒販売の営業マン、小学生、そして郵便配達員がメンバー。それぞれが良い味を出している。特に月琴を奏する郵便配達のおじいさんが実際に中国伝統楽器北管の国宝級奏者であることには驚いた。

この手の映画は、やはり終盤での本番演奏シーンがヤマ場で、その盛り上がり具合に成否があると思うのだが、本作では成功裏に終わっているといえる。メンバー全員に見せ場が与えられ重要な役割があるという真っ当な脚本だからだ。いや、正直ホロンときてしまったよ。

主人公の一人は日本人女性の田中千絵。ちなみに彼女の父は、「あなたのお名前なんてーの」のトニー谷じゃなくて、メイクアップアーティストのトニー・タナカだそうだ。いや、それはともかく、台湾が太平洋戦争時に日本統治下にあったことや、ラストの一曲が統治下時代のある唱歌であることとか、微妙に歴史的背景もあるが、当方には単純にバンドをテーマにした映画として愉しんだ。そこはかとなくお奨めしておきたい。


◎こちらのアーティストが本人役で出演

うがみうた~絆、その手に~

うがみうた~絆、その手に~

  • アーティスト:中 孝介
  • 出版社/メーカー: ERJ
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: CD

 


『アルマズ・プロジェクト』 [dvd]

原題: Almaz Black Box
監督: クリスチャン・ジョンストン
製作国: 2007 年アメリカ映画
上映時間: 89分
配給: プレシディオ

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
ロシアの宇宙ステーション・アルマズ号の悲劇の謎に迫る異色のパニックスリラー。98年11月、アルマズ号がレーダーから姿を消した。ロシア政府は事件を闇に葬るが、ウクライナの過激派グループがブラックボックスを発見し…。


性懲りもなく広義のフェイク・ドキュメンタリ映画を鑑賞。やはり地方赴任後に公開されていたのだが、東京にいたら間違いなく鑑賞しに行くテーマや舞台設定だ。激しく期待しつつも、web上の感想では不穏な空気が漂っている。果たして地蔵の運命やいかに?

で、鑑賞したんだが、いやはや、これほどまでの作品だったとは思わなかった。残念ながらマイナスの意味合いである。眠かったのもあるが、鑑賞しながらコックリしてしまった。珍しいこともあるものだ。

まず、舞台が軌道上の宇宙ステーションで場面の変化に乏しい。まあ、それは舞台劇だと思って観ればいいのだからしょうがないにせよ、当然のことながらトラブルが発生した後には、照明がダウンする。それゆえ人の顔の区別がつけにくい。登場人物たちに明確な個性が与えられているなら良いけど、それもない。

欧州宇宙局(みたいな名前の団体、詳しくは忘れた…) から派遣された人物たちが、トラブルのもとになっているデータを消去せよ、と言っても、ステーションの隊員は譲らないのだが、そんなやり取りを90分近くダラダラとやっているのを観ている鑑賞者の身になってほしい。そして、結局はコンテンポラリな結末に至るのだが、とってつけた感が甚だしい。

というわけで、決して人に奨められない、100円レンタルでもどうかと思う内容だった。しかし、ある種の映画好きな人は、どんなに止められても自分で鑑賞し確認せねば済まない方もいると思う。そういう人はどんなことを言っても鑑賞するだろう。当方がそうであったように。


『パラノーマル・アクティビティ』 [dvd]

パラノーマル・アクティビティ [DVD]

パラノーマル・アクティビティ [DVD]

原題: Paranormal Activity
監督・脚本・編集: オーレン・ペリ
製作: オーレン・ペリ、ジェイソン・ブラム
製作総指揮: スティーブン・シュナイダー
出演 ケイティ・フェザーストーン、ミカ・スロート
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 86分
配給: プレシディオ


内容紹介
平凡な一軒家で幸せに暮らす若いカップル。しかし毎晩寝付いた後に家の様子がいつもと変わっていることに気づく。
少女の頃から不可思議なことが起こり続けているケイティは、その原因が自分にあるのではないかと感じていた。
彼女の恋人であるミカは自分達の家に起こっている“何か”を突き止めるため、生活の一部始終をビデオカメラ撮影することにする。

真夜中、2人が眠りについた後、何か起きているのか―。

ビデオには衝撃の映像が映っていた・・・。


周知のように、制作費が1万5千ドルという低予算の自主制作映画。それが全世界で興行収入を153百万ドルたたき出したというのだから、投下資本が約 10,000倍になって還ってきたわけだ。ちなみに今日現在のレート1ドル87.96円で換算すると、132万円が134億円になったという次第。興行収入の半分程度が配給会社の取り分として仮に67億円程度。監督や出演者の取り分がどうだかわからないが、とてつもないスケールではある。

そんなジャックポッド映画を期待を込めて鑑賞したのだが、正直に言えば、こりゃ困ったというところ。広義でのフェイク・ドキュメンタリといって良い内容だから、当方が好むところではある。しかし、今ひとつノリ切れなかったというのが結論。

当方が最後まで違和感を拭いきれなかったのは、POV映画に必須の要素である「カメラを決して手放さず止めない人間」の存在。なにがそこまでおまえをそうさせるのだ、と問いつめてみたい。本作で言えば、登場するミカ(同棲カップルの男のほう)が、恋人であるケイティにどんな嫌みを言われようとカメラを手放さず止めない。ACアダプタがつながってるわけでもなさそうだし、どんな高性能のバッテリ積んでるんだよ、とつっこみの一つも入れたくなる。

そう、当方のような引きこもり系モバイラとしては、そんな高性能のバッテリがほしいということなのだ。いや、ちがう、話が逸れた。とにかく、その執拗さには辟易してしまうのである。フェイク・ドキュメンタリとPOVの手法とは分けて考えたほうがいいのかもしれない。『 クローバーフィールド/HAKAISHA 』も『 ダイアリー・オブ・ザ・デッド 』も本作も、いわゆるフェイク・ドキュメンタリではない、と個人的感覚で言い切っておこう(ちなみにPOVの嚆矢である『 ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』は未見)。

そして、最大の問題だったのは怖くなかったということ。音楽や効果音などがほとんどない点も影響しているには違いないし、当方の感覚に問題があるのかもしれない。ともかく恐怖のツボは刺激されなかった。ということで、積極的にお奨めできないという残念な結果になったのだった。


『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』 [dvd]

本作はあの「装甲騎兵ボトムズ」の前日譚というべきもの。正編がTV放映されたのは1983年のことだから、すでに四半世紀以上が経っている。にもかかわらず、21世紀の今も続編が制作されるのだから、いかに優れた作品だったかわかろうというものだ。

当時は途切れ途切れに視聴していたが、アニメにしてはそのあまり明るいとはいえない世界観に独特のものがあったことを覚えている。もちろん、1982年に封切りされている『ブレードランナー』やそれ以前の『2001年宇宙の旅』や『地獄の黙示録』など名だたる映画の本歌取りであることはわかってはいたが。

何よりいちばん変わっていたのが、主人公の搭乗する人型ロボット兵器が、基本的に乗り捨ての大量生産品であること。その他、火薬の爆発力でパンチし、その薬莢が排莢されるなどのやけにリアルな機構を持っていたりすることなどだ。ちょっとマニアックな中学生が大喜びするような設定だったのだ。

本作をレンタルしたのは、そんな郷愁もあるにはあったが、実はふだんからチラ見している日経ビジネス・オンラインの記事に、監督の高橋良輔氏のインタビューが長期にわたって連載されており、なかなかに興味深い内容だった。これは視聴せねばなるまいと思ったのが理由だ。


内容紹介
時に百年戦争末期、キリコ・キュービィーは飛び交う銃弾の下にいた。
一方ペールゼンは、レッドショルダーにまつわるスキャンダルで失脚。軍首脳はペールゼンを葬ろうとするが、情報省次官ウォッカムによって法廷から救い出される。
ペールゼンの残した秘密文書に着目したウォッカムは、『異能生存体』の有用性を実験し、戦後における地位の足掛かりにしようと目論んでいた。
かくしてウォッカムの監視下となったキリコは、秘密文書にピックアップされていた4人、バーコフ、ゴダン、ザキ、コチャックとともに、次々と過酷な戦場を転戦させられるていくのであった…。


いわゆるロボット・メカ・アクションではない、と言い切っておこう。基本的には軍と情報省、そしてレッドショルダーという異形の部隊を造りあげたペールゼンという軍略家の三者の化かし合いが基軸。したがって、主人公(?)のキリコの活躍場面は意外に少ないと思う。

なぜ、上記のようなストーリーになったのか。それは、そもそも監督の高橋良輔氏のロボット物の第一作が『太陽の牙 ダグラム』(当方は未見)で、ヴェトナム戦争をモチーフに描かれたと言うんだから、一般的なロボットアニメとは一線を画している。そして、同氏がプロット重視の物語作りをしているということがあるかもしれない。


オリジナルの物語を作るということは、自分でシナリオを書くわけじゃないんですね。一番の肝は物語の元になるプロット(注:物語の大筋や世界観を説明したもの)を作ることなんですよね。A4の紙1枚に出力したものでもいいわけです。プロットさえあれば、それを元にして自分の思い描いている世界をシナリオに定着させることができるんですから。

今日から始める「敗者復活」~“アンチ天才”のボトムズ流仕事術・2/9:「他人の凄さがわかる自分」で敗者復活!


前述したようにミリタリー感に溢れ、リアリティにこだわったロボットアニメという側面はあるが、プロットを大切にするその作風が現代にまでその作品を生きながらえさせた理由かと思う。何度も言うけど、単なるロボットアニメを期待するとちょっとちがうので、そのあたりにだけはご注意を。


『デュプリシティ』 [dvd]

デュプリシティ [DVD]

デュプリシティ [DVD]

原題: Duplicity
監督・脚本: トニー・ギルロイ
製作: ジェニファー・フォックス、ケリー・オレント、ローラ・ビックフォード
製作総指揮: ライアン・カバノー
撮影: ロバート・エルスウィット
美術: ケビン・トンプソン
編集: ジョン・ギルロイ
音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演 クライブ・オーウェン、ジュリア・ロバーツ、トム・ウィルキンソン、ポール・ジアマッティ、デニス・オヘア、トーマス・マッカーシー、キャスリーン・チャルファント、ウェイン・デュバル、カーン・ベイケル、デビッド・シュンブリス、オレグ・ステファン、キャリー・プレストン
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 125分

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けほこほ。風邪を引いちまったよ。そういえば、去年も今頃、風邪を引いてたな。この極寒の地で冬に風邪を引かずに夏風邪。昼と夜の気温差もあるんだろうが。寒いときに引くよりはましなのかもしれない。

本作は2009年の5月に封切られていたみたいだけど、特に話題にもならずにひっそりと上映が終わっていたような印象だ。"duplicity"なんていうと格好のいい響きだけど「二枚舌」という意味なんだね。元スパイが産業スパイとなってたたかう、というストーリーには最適のタイトルかも。


解説
クローサー」以来の共演となるジュリア・ロバーツとクライヴ・オーウェンが因縁の元エージェントに扮したクライム・エンタテインメント。業界トップをめぐって激しく競合する2つのライバル会社からそれぞれ産業スパイとして雇われた元CIAと元MI6の2人が、思惑を秘めながら巧みに繰り広げる諜報合戦をユーモラスかつスリリングに描く。


ジュリア・ロバーツとクライヴ・オーウェンのダブル主演なのだから、相当な重厚感を持った作品かと思いきや、予想は非常によい意味で裏切られる。一言で言えば、軽妙洒脱、だ。

両者の因縁を描いた冒頭から一転して、オープニングはライバル会社のCEO同士がどつき合うという珍妙な場面から始まるのだから、本作の方向性はそこで観客に知らされるわけだ。

ニューヨークでの二人の再会から物語は企業同士の情報戦となるのだが、敵かと思えば味方、敵の敵は味方、というスパイ戦のセオリーが描かれる。実は、そこには大きな仕掛が一つあって、それが本作の意外なところ。ネタバレはしません。

全体的な雰囲気が「 ボーン三部作 」と似ていると思っていたら、監督のトニー・ギルロイは同シリーズの脚本に参加しているんですね。情報戦のリアリティは文句なしにおもしろい。

もう一つおもしろかったのは、ライバル会社の新製品の正体。詳細はここで申し述べるつもりはないが、それがわかった後に、クライヴ・オーウェンが窓ガラスに映る自分の姿のある部分を気にするあたりには大笑いした。

大絶賛といきたいところだが、唯一、終盤でどんでん返しの仕掛けがわかりやすいところや、この手のコン・ゲームに必要なカタルシスがないところが難点か。もちろん、水準を大きく越えているので必見ではある。地味目のタイトルなだけに見過ごされている方は早めにレンタルすべし、と言いたい。


『FRINGE / フリンジ 〈ファースト・シーズン〉』 [dvd]

FRINGE / フリンジ 〈ファースト・シーズン〉コレクターズ・ボックス2 [DVD]

FRINGE / フリンジ 〈ファースト・シーズン〉コレクターズ・ボックス2 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

ようやくファーストシーズンを視聴し終えた。結論を申し述べると、期待していたおもしろさには欠けるところがあったが、全体としての水準は低くない。セカンドシーズンもきっと視聴しちゃうんだろうな、というところだ。以下、所感を記述しておこう。

■謎の大風呂敷を広げすぎ
当初は「パターン」という謎の現象の数々を解明していく物語が、終盤では謎の組織の活動を追求する物語に変貌し、最終エピソードではSF的な世界観の導入が予感される。変貌するのはいいのだが、序盤に置かれた伏線はわりとほっぽりぱなしと思える部分がある。この後きちんと回収されるのだろうか。

■参集した人物たちの過去の繋がりがありすぎ
あの人もこの人も、実は以前、こんなことに関連していました的な、ある種ご都合主義的なところが物語全体の緊迫感を削いでしまっているように思う。また、主人公の組織内の旧敵の裏切りの内容についてはファーストシーズンでは追求されないなど、なんだか詰めが甘い。

■科学的リアリティについて
博士が天才なのはわかるとしても、たとえば解毒剤を作るなんて言うのはあんなに簡単にできないように思う。本来は、そんな科学的リアリティの積み重ねが物語に奥行きを与えると思うので惜しいところ。

■各エピソードのオリジナリティについて
どこかで観た・読んだネタの変奏曲が多いように思える。人間発火のエピソードでは、スティーヴン・キングの『ファイア・スターター』への言及があったりする。本歌取りはいいのだけれど、上述のようにリアリティの積み重ねが不足しているので元ネタのおもしろさを生かし切れていない。

順不同に書き連ねてしまったが、文句ばっかりだ。うーん、それくらい本シリーズには期待しているということにしてほしい。結局、セカンドシーズンは間違いなくレンタルするだろう。主演のアナ・トーブは、華はないのかもしれないけど、安定感のある演技をが好もしいし。アイソレーション・タンクに籠りたがってばかりだけどねw。


『サンシャイン・クリーニング』 [dvd]

原題: Sunshine Cleaning
監督: クリスティン・ジェフズ
脚本: ミーガン・ホリー
出演: エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、アラン・アーキン、ジェイソン・スペバック、スティーブ・ザーン、メアリー・リン・ライスカブ、クリフトン・コリンズ・Jr.
製作国: 2009 年アメリカ映画
上映時間: 92分
配給: ファントム・フィルム

内容(「Oricon」データベースより)
「リトル・ミス・サンシャイン」のプロデューサーチームが贈る、ぶきっちょ姉妹の心温まるファニーストーリー。高校時代はチアリーダーのアイドル、30代の今はシングルマザーでハウスクリーニングの仕事をする傍ら、かつての恋人と不倫中の姉・ローズ。妹・ノラは父親と実家暮らしを送っている。ローズは家族のピンチを乗り切るため、妹と一緒に事件現場をクリーニングする、ちょっと危ない“清掃業”をスタートさせるが…。


別に狙ったわけではないのだが、前日のエントリに続けて、本作も特殊清掃請負を職業とする主人公の物語だ。とはいっても、『 ザ・クリーナー 消された殺人 』がサスペンスだったのに対し、本作はヒューマンドラマと位置づけられる。

基本的には、姉妹あるいは家族の絆の再生物語であり、新しいところはほとんどないと言っていい。かつて高校時代は花形のチアリーダーであった主人公の今とのギャップであるとか、自殺した母親に関するトラウマなど、良くある話と言ってしまっていいかもしれない。

それら様々なパーツが一本の映画として構成されると、なぜかほろ苦くも心温まるストーリーになるということの不思議さがある。もともと浮かばれない主人公だが、物語の終盤に至ってさらに浮かばれなさ度が上がっているのに、最後には希望が仄見えてくる、ということも理由にはあるかもしれない。

また、出演者の、エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、アラン・アーキンのいずれもが抑えた好演振りも作品の完成度に寄与している。特に、当方が注目したいのは清掃用品業者のウィンストンを演じるクリスト・コリンズ・Jr.だ。

これまた劇場で鑑賞できずに後悔することになった作品。いわゆるミニ・シアター系の作品ではあるが小難しいところはなく、単なるエンタテインメントとして一過性のおもしろさを味わうためだけではない、鮮やかな余韻を残す作品になっている。 一定程度の年齢の方にはお奨めできるだろう。


『ザ・クリーナー 消された殺人』 [dvd]

ザ・クリーナー 消された殺人 [DVD]

ザ・クリーナー 消された殺人 [DVD]

原題: Cleaner
監督: レニー・ハーリン
脚本: マシュー・アルドリッチ
出演: サミュエル・L・ジャクソン、エド・ハリス、エバ・メンデス、キキ・パーマー
製作国: 2007年アメリカ映画
上映時間: 90分
配給: リベロ


【ストーリー】
元警官のトムの職業は、犯罪や事故現場の血痕などを取り除く特殊な清掃請負業。
ある日、いつものように大邸宅の殺人現場の痕跡を完璧に除去するが、その清掃の依頼主は、なんと架空の人物だった。
そして、邸宅の主・名士のジョン・ノーカットが行方不明と報道される。
市警察汚職収賄事件を巡る陰謀の影がちらつくなか、ついにはトム自身が殺人の容疑をかけられる。
真相を探る彼の前に暗い口を開けるのは、自らの警官時代の消し去れぬ過去‥。
誰が殺したのか?
そして、誰がトムをはめたのか?


B級映画の雄(と当方は認識している)レニー・ハーリンが仕掛けるサスペンス作品。確か、公開時にはあのシネパトスでしか掛かっていなかったので鑑賞しなかったのだと思う。サミュエル・L・ジャクソンやエド・ハリスという一線級の俳優が出演しているのに、というのはあったが、おそらく内容がそれなりだったんだろうという予測はあった。

冒頭から、主人公の几帳面さをのぞかせるシーンや特殊清掃請負業のテクニックなど、調子の良い滑り出しに期待感は高まる。元警官の主人公とその不穏な過去や警察内部での汚職疑惑など、良くある話に収束していくのかと思って鑑賞していた。

いや、まいった。良くある話ではあるんだが、これまた違った意味で良くある話にレニー・ハーリンはオチを持って行ったのだった。これはどうなんだろう。おハナシとしてはどう考えたって意表をついているとは言い難い。もう少し驚かせてくれると思ったんだが。主たる三人の演技が良いだけに脚本の凡庸さが惜しい作品だといえる。まあ、無理して観ることはないかも。


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