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『英国王のスピーチ』 [movie]

原題: The King's Speech
キャスト: コリン・ファースジェフリーラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース、デレク・ジャコビ、マイケル・ガンボン、ティモシー・スポール、ジェニファー・イーリー
監督・脚本: トム・フーパー
製作国: 2010年イギリスオーストラリア合作映画
配給: ギャガ
上映時間: 118分

■■■
先般にご紹介した『 鷲は舞い降りた 』のジャック・ヒギンズが、ハリー・パタースン名義で『 ウィンザー公掠奪 』という作品を書いている。当方は未読なのだが、恋を成就させるために王位を退いた前英国王を誘拐するというストーリーだけは知っていた。そう、本作に登場するエドワード8世がその人なのだね。


ストーリー
現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記をコリン・ファース主演で映画化した歴史ドラマ。吃音障害を抱えた内気なジョージ6世(コリン・ファース)が、言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第二次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。共演にジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター。監督は「くたばれ!ユナイテッド」のトム・フーパー。第83回米アカデミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞。

『ブラック・スワン』に続いて鑑賞したのは、アカデミー賞の主要部門を受賞した本作。あまり鑑賞意欲をそそられるテーマの映画ではないのだが、なにしろね、1,000円で鑑賞できるしスケジュールもほどよく合ってしまったものだから、オンライン予約したわけだ。

うん、よい映画だった。実は感動してしまったよ。鑑賞し終わってから感じたのは、ベタというかストレートな語り口を持った映画だな、というもの。男たちの再生と友情の物語という語りつくされたプロットを、英国風の皮肉なユーモアを交えながらとにもかくにも正攻法で描き出しているからだ。

コリン・ファースの抑えた演技や、ライオネル・ローグを演ずるジェフリー・ラッシュの飄々とした味わい、そしてヘレナ・ボナム=カータのすっとぼけた王妃ぶりなど、いずれもがテーマにプラスに影響していると思った。そしてラストでは、スピーチに向かう三人の姿に素直に「がんばれ!」と声をかけたくなるような清清しさがある。

奇をてらったところのない演出で、どうってことはない内容といえばそのとおりなのだが、それらが堅実に積み上げられたときに不思議な感動が湧き起こってくるのだから映画は本当に不思議な媒体だ。


『ブラック・スワン』 [movie]

原題: Black Swan
監督: ダーレン・アロノフスキー
キャスト: ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー
製作国: 2010年アメリカ映画
配給: 20世紀フォックス映画
上映時間: 108分


ストーリー
ニューヨークバレエ団に所属するニナ(ナタリー・ポートマン)は、元バレリーナの母とともに、その人生のすべてをダンスに注ぎ込むように生きていた。そんなニナに「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが巡ってくるが、新人ダンサーのリリー(ミラ・クニス)が現れ、ニナのライバルとなる。やがてニナは自らの心の闇にのみ込まれていく…。

久々の映画だ。どのくらい久々かというと、今年ももはや半分を過ぎようというのに鑑賞数が三本目だ。壊滅的な数字といっていいだろう。まあ、観たい映画が少なかったということはあるが、『ツーリスト』だってスルーしちゃったし、映画鑑賞意欲が薄れてきてしまっているとはいえる。とはいえ、土曜日にTOHOシネマズの日があたったとあらば、これは行かざるをえまい。

4ヶ月ぶりの映画鑑賞の一本目である本作は、配偶者が当地に滞在していた際にテレビCMでも盛んに喧伝していた。なんかね、CMを見る限りでは安手のホラー映画のような印象。そんな印象の作品でナタリー・ポートマンがオスカーを獲ったというのだからなおさら興味深い。

で、結論を申し述べると、当方にはわからない種類の映画であった。ネット上で評判をみる限りでは相当に評価が高いのだが、正直に申し上げると「なんで?」という感じ。プロットが弱いのかね。大役のプレッシャーに押しつぶされそうなバレエ・ダンサーが狂気に呑みこまれていく、というようなものだが、それだけで当方には108分はもたなかった。

もちろん、ナタリー・ポートマンの鬼気迫る演技は怖いほど。ディテールについても、たとえばニナの部屋はなぜあんなに子どもっぽいのかとか、背中の傷は何を意味するのかとか、ほとんどが自宅と稽古場しか舞台にしていないとか、なんだかいろいろと考察すべき点はあるのだろうが、当方には消化できなかった。

本作はほとんど予備知識なしに鑑賞しに行ったので、以前に鑑賞した『 レスラー 』のダーレン・アロノフスキー監督作品とは知らなかった。それよりもね、同監督は『 レクイエム・フォー・ドリーム 』のほうが有名だと最近になって知った。あまり明るい映画を撮る監督ではないんだね。


『グリーン・ホーネット』 [movie]

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キャスト: セス・ローゲン、ジェイ・チョウ、キャメロン・ディアス、クリストフ・ワルツ
監督: ミシェル・ゴンドリ
製作: ニール・モリッツ
脚本: セス・ローゲン

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予告編を一回だけ観た記憶がある本作は、観賞意欲範囲内に入るか微妙な線ではあったが、ある時に監督がミシェル・ゴンドリであることがわかったので観賞決定。元は60年代のラジオ・TVドラマらしく、当時は無名時代のブルース・リーが出演していたことで有名(らしい。当方は知らなかった…)。


ストーリー
新聞社の若き社長ブリット・リードが、正義のヒーローグリーン・ホーネット”となって夜な夜な悪に立ち向かう姿を描いた60年代の人気TVドラマを、「エターナルサンシャイン」の鬼才ミシェル・ゴンドリー監督が映画化。主演を務めるのは、「40歳の童貞男」などのコメディ俳優セス・ローゲン。ドラマ版で無名時代のブルース・リーが演じた助手カトー役に扮するのは、台湾の人気俳優ジェイ・チョウ。

結論から申し上げると、これまで観賞してきたミシェル・ゴンドリらしさがある作品とは言い難い。題材が題材なだけに仕方がないのかもしれないが、それにしても脚本がいただけないと思う。

ヒーローものであるのにもかかわらず、感情移入できる登場人物がひとりもいないということが苦しい。セス・ローガン演じる主人公ブリット・リードは映画開始後から終映までヒーローには感じられない、わがままなボンボンとしか思えない。ジェイ・チョウのカトーは悪くはないのだが、いま一歩印象が薄い。

ストーリーは中盤あたりから結末が読め、意外性が少ない。主人公二人が友情を深めるまでのエピソードはあるようなないような、結局は最後まで仲が悪いんじゃないか、という納得のいかないものだ。その二人も、キャメロン・ディアスの出てくるシーンでは食われてしまっている。キャメロン・ディアスをキャスティングしたのは、こりゃミスだわな。ちなみに、あの『 ターミネーター2 』のジョン・コナー役を演じたエドワード・ファーロングが出演していたらしいが、当方には認識できなかった…。

主演・脚本のセス・ローガンがカナダ出身のコメディアンということで、どちらかというとコメディ・アクションくらいに観賞すればいいのだろうが、言葉の壁もあり笑えなかったというのが正直なところ。うーん、ここでは残念な出来の映画だったと言わざるをえないか。

【以下蛇足的ネタバレにて白黒反転文字】
終盤でブリットが、地方検事と会食するシーンで、あれだけ不用意な発言を地方検事がするとは思えない。誰だって録音するだろうと思うはず。その録音したメモリを全世界に発信すると言うことで、二人が自分の新聞社へ向かうのだが、そんなことしなくても近くのネットカフェでyoutubeなりにアップすればいいだけのことじゃないだろうか。まあ、新聞社のサーバから発信することでの信頼性というのはあるのかもしれないけど。なんかね、どこかずれている脚本という気がしたのだった。


◎ミシェル・ゴンドリ監督作品




『アンストッパブル』 [movie]

キャスト: デンゼル・ワシントン、クリス・パイン、ロザリオ・ドーソン
製作・監督: トニー・スコット
製作: ミミ・ロジャースエリック・マクロード、ジュリー・ヨーン
脚本: マーク・ボンバック

ストーリー
米北東部のペンシルバニアで、大量の化学薬品とディーゼル燃料を搭載した最新式貨物列車が、整備ミスにより暴走してしまう。ベテラン機関士のフランク(デンゼル・ワシントン)は、初めてコンビを組むウィル(クリス・パイン)とともに暴走列車を止めようと奔走する。

こういっては実も蓋もないのだが、この手の映画で暴走列車が止らずに大火災発生などというバッドエンドはまずあり得ないだろう。だから、観賞者としては、役者の演技であるとか、ストーリーをどのように展開させていくのか、どんな小技をみせてくれるのかというのが期待のしどころだ。

本作に関していえば、デンゼル・ワシントンやクリス・パインはさすがの安定演技。また、操車場長のコニー・フーパーを演じるロザリオ・ドーソンも良かったと思う。展開と言うことでは少しばかりありふれたものになってしまっているが、これは暴走列車をストップさせるという単純なプロットだけに仕方のないところか。ただ終盤で、忘れかけていた伏線が回収されるあたりの小技は、お約束ながら爽快。

軽くまとめると、98分という短尺で手堅くまとめた職人技ともいうべきもので、映画料金分はきっちり愉しませてくれる作品だ。


『ナイト&デイ』 [movie]

原題: Knight and Day
監督: ジェームズ・マンゴールド
出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ジョルディ・モリャ、ビオラ・デイビス、ポール・ダノ、フォルク・ヘンシャル、マーク・ブルカス、レニー・ロフティン、マギー・グレイス
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 109分
配給: 20世紀フォックス映画

珍しく平日の月曜日が休みになったので近所の映画館に足を運ぶ。平日第一回目の上映が1,000円で観られるというサービスがあるのだ。それ故か、当方ひとりしかいないのではないかという予想は裏切られ、5,6人は鑑賞者がいた。まあ、それでも少ないんだけどさ。

さて、本作は2001年の『 バニラ・スカイ 』(当方未見)以来のトム・クルーズとキャメロン・ディアスの共演作。両者ともアップではさすがにお年を召したなという感じは否めない。それでもね、両主演の華のある演技なくして本作は成立し得なかったろう。デートムービーにお奨めの一本だ。

で、アクション映画を鑑賞するという意気込みで本作を観ると少しばかり違和感があるかもしれない。多くの人が指摘されているように、本作は基本的にロマンチック・コメディにカテゴライズしたほうがいい。男女の出会い・すれ違い・葛藤・疑惑とその解消、などなど、物語の構造はハーレクインロマンスの諸作品(当方は読んだことないけれど)と同一のものだ。当然のことながら物語はハッピーエンドで終幕だから安心。

ホリデイ 』や『 ベガスの恋に勝つルール 』と同様にキャメロン・ディアスが等身大の女性を演じる。派手顔美人なのに、三枚目の役柄が似合うのだよ。いや、もちろんかっこいいには違いないところが凄いのだ。トム・クルーズはこの手のアクションは久々だが、『 コラテラル 』撮影時に受けた射撃訓練の効果が持続、火器を扱う姿のハマリっぷりが素晴らしい。脇を固めるのがピーター・サースガードやポール・ダノだったりでなかなか渋いところも好感が持てる作品。


『バイオハザードIV アフターライフ』 [movie]

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原題: Resident Evil: Afterlife
監督・脚本: ポール・W・S・アンダーソン
出演:ミラ・ジョボビッチ、アリ・ラーター、ウェントワース・ミラー、キム・コーツ、ショーン・ロバーツ、スペンサー・ロック、ボリス・コジョー
製作国: 2010年アメリカ映画
配給: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


ストーリー
ゾンビウイルスの拡散により荒廃した世界を舞台に、アリスは世界中を旅しながら、数少ない生存者を探していた。やがて、ロサンゼルスウイルスに侵されていない安全な場所が存在するという情報を得て向かうが、そこはアンデッドたちによって支配されていた…


2002年の第一作から、このシリーズも息が長い。当方は第一作目のみDVDで鑑賞、その後はまめに劇場に鑑賞に赴いている。かといって別に原案のゲームをやっているわけでも本シリーズのファンというわけでもない。実は、このシリーズ、それほどおもしろくはないと思っているのだから、単なる惰性に過ぎない。

とはいえ、本作は第一作と同じポール・W・S・アンダーソンがメガフォンを取るということ。また、冒頭には東京を舞台にしたシーンがあるとのことで若干の期待を胸に秘め先行上映の劇場に行く。

雨のそぼ降る渋谷のスクランブル交差点で、一人の女が傘も差さずに佇んでいる。それに目を留めた会社員は、女に喉笛をかみ切られ……と、その女性、どっかで見たことのある顔だと思って帰ってから確認したら中島美嘉。エンドロールではなぜか役名が"J-POP Girl"と標記されている。

閑話休題。そんな近未来の渋谷の地下には、張り巡らされている地下鉄など関係ないという風情でアンブレラ社の秘密研究所が存在していた。そこに乗り込んだアリス(ミラ・ジョヴォビッチ)とそのクローンは、同社の私兵たちと銃撃戦を演じ、首領とおぼしきウェスカーを追いつめるも…

その襲撃の半年後、前作で仲間たちが逃れた"アルカディア"があるはずのアラスカにプロペラ機を駆るアリス。どこかでみたことのあるシチュエーションだな。彼の地とおぼしき場所に着陸したアリスは、そこでアルカディアに向かったはずのクレアと再会、米国西海岸へ向かうことになる…

って、なぜアリスが秘密研究所を襲撃するのかよくわからない。同じシークエンスではテレキネシスとおぼしき能力を発揮しているが、以降、それが使われるシーンはない。その後、なぜかアリスは脈絡なくプロペラ機で移動するし、飛行機の燃料はどうやって補給しているのか不明だし、たどり着いたのは市街地のど真ん中にあるという設定の刑務所だったり、その刑務所で生き延びているのはプロバスケットボール選手や映画プロデューサー・女優だったりと、設定に無理がありすぎる。

多くの人が予測されているように、本作でも完結には至らず、続編の可能性が示唆されて終映。なんだか中途半端な位置付けの作品と言わざるをえない。このままシリーズとしてダラダラと続けていくのは、作る方も観る方も不毛な気がする。本作以降、ミラ・ジョヴォビッチは出演しないと公言しているし、次作はどうなるんだろうね。

一応かるくまとめると、前三作を観ていない人は事前の予習が必須。行き当たりばったりのストーリー展開と無茶な設定を気にせず、ノーテンキに主演女優のアクションを愉しむだけであるならば、一時の娯楽にはなるだろうという作品。当方は乗りかかった船、そしてミラ・ジョヴォビッチが好きなんで特に問題なしですが。


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『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』 [movie]

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原題: The A-Team
監督: ジョー・カーナハン
脚本: ジョー・カーナハン、スキップ・ウッズ、ブライアン・ブルーム
音楽: アラン・シルベストリ
出演: リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、シャルト・コプリー、ジェシカ・ビール、パトリック・ウィルソン、ジェラルド・マクレイニー、ブライアン・ブルーム
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 118分
配給: 20世紀フォックス映画


ストーリー
80年代に人気を博した米TVドラマ「特攻野郎Aチーム」を、リドリー&トニー・スコット兄弟のプロデュースで映画化。無実の罪を着せられた4人の破天荒集団“Aチーム”が、汚名を晴らすために奇抜な作戦で事件の黒幕に迫る。リーダーで天才戦略家のハンニバルにリーアム・ニーソン、調達屋のフェイスにブラッドリー・クーパー、用心棒バラカスに元世界UFCライトヘビー級王者のクイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、敏腕パイロットに「第9地区」のシャルト・コプリーが扮する。


テレビで放映されていた「特攻野郎Aチーム」シリーズは一度も視聴したことがない。そんな当方でもフツーに愉しめる娯楽作品としてお奨めできる一本。

冒頭のチーム結成に至るビギンズとなるエピソードから8年後の現在、戦争のどさくさで偽札の原版を持ち出そうとするイラン軍とそれを阻止せんとするCIAの要請で動き出すAチーム。また陸軍の犯罪捜査司令部(CID)も介入し四つ巴の様相を呈する中、奪取作戦を成功させたハンニバル以下Aチームだが…。

当方が想像していたアクションメインの作戦ではなく、「スパイ大作戦」を思わせるミッション;インポッシブルのクリアがメインというのが意外。テレビシリーズもそうだったのだろうか。とにかく、モヒカンの登場人物がいるってだけで食わず嫌いだったのは間違いだったようだ。

さて、本作最大の見せ場は落下傘降下する戦車での戦闘場面。いや、どう考えたってあり得ないシチュエーションなんだが、これが一種のコメディシーンともなっていて、その不条理感のある笑いは好むところである。以降、物語が閉じていくにしたがってテンションも下がってしまうところが勿体ない。

ハンニバルを演ずるリーアム・ニーソンはさすがの貫禄。パイロット役のシャルト・コプリーは、なんとあの『 第9地区 』で主人公のヴィカスを演じていた人。ぜんぜん気づかなかったw パトリック・ウィルソンが不遜なCIA職員の役を好演している。

基になったテレビシリーズを視ていた人はどう思われるかわからないが、当方にはルパン三世シリーズを想起させる世荒唐無稽なアクションコメディ映画として愉しめた。ポップコーンなど頬張りつつ、お気楽に鑑賞するにはもってこいの作品。


『ソルト』 [movie]

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原題: Salt
監督: フィリップ・ノイス
脚本: カート・ウィマー
音楽ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演: アンジェリーナ・ジョリー、リーブ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、ダニエル・オルブリフスキー、アンドレ・ブラウアー、アウグスト・ディール
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 105分
配給: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


ストーリー
CIA職員のイブリン・ソルトは、謎のロシア男性の告白により、大統領暗殺のために送り込まれたロシアの二重スパイの嫌疑をかけられる。CIAから追われる身となったイブリンは顔を変え、髪の毛の色を変え、別人になりすまして真相を突き止めようとするが…


チェンジリング 』は劇場・DVDともスルーしたので、アンジェリーナ・ジョリー出演作は2008年鑑賞の『 ウォンテッド 』以来だ。実を言えばそれほど期待せずに鑑賞に赴いたのだが、105分の短尺を中弛みなくみせるという意味では満足させられるデキだった。

冒頭の謎のロシア人の告白からノンストップアクションが続く。が、高速走行中のトラックを忍者ばりに飛び移るのはいいとして、あんな落ち方したら生きてはいまいというシーンなどもあり、リアリティではいまひとつ。実は本作でいちばんユニークなのは、観客の感情移入を逆手に取る展開。冒頭からブロンドで登場されたジョリ姐が髪を黒く染めた後からの豹変振りは観客の感情を宙ぶらりんにさせる。

その後もアクションの連続で、息つく間もなくラストシーンに至る。で、観賞後に冷静に考えると、そもそも謎のロシア人の告白は本作の中心となっている陰謀に対してデメリットしかないのでは、ということに気づいたりする。

描かれる陰謀やスリーパーエージェントというアイデアも、ロバート・ラドラムっぽく、それはすなわち30年近く前に流行った小説群の焼き直しでしかない。「ボーン三部作」だって同じなんだが、そこには現代風なアレンジやリアリティあるアクションシーンという厚みがあった。

描かれる世界に奥行きが感じられない、というところか。もちろん、アクション映画に世界の奥行きがどうしても必要か、と問うこともできるのであって、そういう意味では肩肘張らずに愉しめるアクション映画を求める層の需要には応えることができる。細かいところを気にしなければ、ごく普通に愉しむことができる一本。


『インセプション』 [movie]

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原題: Inception
監督・脚本: クリストファー・ノーラン
製作: エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
製作総指揮: クリス・ブリガム
撮影: ウォーリー・フィスター
美術: ガイ・ヘンドリックス・ディアス
編集: リー・スミス
音楽: ハンス・ジマー
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、ディリープ・ラオ、キリアン・マーフィ、トム・ベレンジャー、マイケル・ケイン
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 148分
配給: ワーナー・ブラザース映画


ストーリー
人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられる。


2時間28分の長丁場を飽かせない傑作。少しでも興味のある人はぜひご覧いただきたい。以上。

例によって、それだけというわけにもいかないので以下に蛇足を。 実は、プロット自体はケイパー(強奪)映画そのものといっていい。すなわち、あるものを奪うためにその道のプロフェッショナルたちが参集し知力・体力を振り絞るというもの。昔で言えば悪党パーカーシリーズみたいのものか。

本作で言えば、冒頭から強奪のシークエンスがあるのだが、それ自体は渡辺謙演ずるサイトーからの一種のテストであり、そのテストに合格したコブ(レオナルド・ディカプリオ)とそのパートナーであるアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)はさらに困難なミッションを依頼されて…と、その内容についてはご覧になって確認されると良いと思う。そう、そのミッションが強奪ではないところがユニークなのだ。

そして、他人の潜在意識に潜入するというコアとなるアイデアもまた、夢枕獏のサイコダイバーシリーズや映画で言えば『 ザ・セル 』あたりでも使用されているもので特段目新しいものではない。新しいのは、その潜在意識世界の在り方。どういえばいいのかね、潜在意識のなかで侵入者と被侵入者の意識が共有される、というような言い方か。しかも、その夢のなかでさらに夢をみ、さらにその夢のなかで…と階層を作ることができること。

しかも、階層が深くなっていく毎に現実の時間の進み方とギャップが生じるという決まり事があり、それがサスペンスを高めるという役割もある。現実世界の時間を含めると、実に6つの物語が同時進行するという迷宮世界。エレン・ペイジ演ずる設計士が"アリアドネ"という名前であることはそのあたりを示唆しているわけだ。

その他、各階層における映像表現(当方はホテル内無重力空間シーンが好き)や俳優陣の巧みな演技など、映画の日に1,000円で鑑賞したのは申し訳ないと思うほどデキがいい。人によってはややこしい話と思えるかもしれないので、よく睡眠を取ってクリアな頭脳で鑑賞するが吉です。


『借りぐらしのアリエッティ』 [movie]

監督: 米林宏昌
企画・脚本: 宮崎駿
プロデューサー: 鈴木敏夫
原作: メアリー・ノートン
脚本: 丹羽圭子
美術: 武重洋二、吉田昇
出演:志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林
主題歌: セシル・コルベル
アニメーション制作: スタジオジブリ
製作国: 2010年日本映画
上映時間: 94分
配給: 東宝

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映画の日と日曜日が久々に重なった。スケジュールを調整しようとすると、必然的に8時25分開映の回にせざるを得ないことが判明。これまでは、8時40分の開映が記録だったから15分も記録を更新。って、仕事の始業時間より早いやん。おそらく映画館自体は7時くらいから準備しているだろう。映写機に暖機運転が必要かどうかは知らないが、TOHOシネマズのなかの人もたいへんである。


ストーリー
身長10センチの小さなアリエッティ一家は、人間が住む家の床下で、さまざまな生活品をこっそり借りて暮らしていた。彼らの掟は「決して人間に見られてはいけない」ということ。しかし、アリエッティはその家に引越してきた少年・翔に自分の姿を見られてしまう。
話題作ゆえに424席のフラッグシップスクリーンが用意されていたにもかかわらず、早い上映開始だったからだろう、4割程度の埋まり具合だったので快適々々。早朝鑑賞も悪くはない。内容も、想像していたよりプレーンかつシンプルだったので愉しめたのだった。

床下のこびとなどという、いまとなっては陳腐に過ぎない題材がおもしろい理由のひとつは、それを一夏のBoy Meets Girlのお話にしているところ。あと、中盤のアリエッティの初の"借り"(狩りじゃない)の一連のシークエンスが素晴らしい。少年のころ家のどこかに秘密基地を作ったことのある少年なら、なおさら愉しめるに違いない。

そして、いまどきのアニメと感じるのは登場人物たちの性格付けや行動を善悪をはじめとした二元論に区分していないところ。アリエッティと翔の会話にみられる翔のそこはかとない悪意とか、ハルさんの行動とか、ちょっとヒステリックなホミリーとか。そもそも、人間に見られてはいけないという禁忌を破ってしまったのが主人公のアリエッティなのだし。そこにあるのは、二元論を超えた、ちょっとした言動や行動の違いで運命は変わっていくという世界観なのかもしれない。

などと小難しいことを考えずとも、 冒頭に申し上げたようにわりとシンプルな物語なので、40ヅラ下げたオヂサンでも愉しめます。特にスピラーは『 未来少年コナン 』のジムシィを彷彿とさせるキャラクタで、その世代としては懐かしい限りだった。

そういえば本作に出てくる家のモデルになったのは青森県平川市の国指定名勝「盛美園」とのことで、この前、行っておけば良かったと悔やまれる。本作の影響で訪れる観光客が増加しているとのことで誠に以て慶賀の至りである。


◎原作本です

 

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

  • 作者: メアリー ノートン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 文庫

『プレデターズ』 [movie]

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原題: Predators
監督: ニムロッド・アーントル
製作: ロバート・ロドリゲス、エリザベス・アベラン
製作総指揮: アレックス・ヤング
キャラクター創造: ジム・トーマス、ジョン・トーマス
脚本: アレックス・リトバク、マイケル・フィンチ
音楽: ジョン・デブニー
出演: エイドリアン・ブロディ、アリシー・ブラガ、トファー・グレイス、ルイ・オザワ、ウォルトン・ゴギンズ、オレッグ・タクタロフ、マハーシャラルハズバズ・アリ、ダニー・トレホ、ローレンス・フィッシュバーン
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 107分
配給: 20世紀フォックス映画

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本シリーズ(?)の一作目がアーノルド・シュワルツェネッガー主演で封切りされたのが1987年。ほぼ四半世紀前の作品だ。もちろん当方は封切り直後に映画館で鑑賞している。その続編や『 エイリアンVS.プレデター 』、『 AVP2 エイリアンズVS.プレデター 』も劇場で鑑賞しているのだから、相当に好きなようだ。


ストーリー
目覚めると、傭兵である主人公は知らぬうちに落下傘降下していた。なんとか無事に降下すると、いきなり銃撃をうける。辛うじて意思疎通した結果、彼もまた自分と同様に知らぬ間にここに連れてこられたロシア特殊部隊員ようだ。その後、囚人・日本人のヤクザ・メキシコのマフィア・医者など続々と現れ、この戦闘集団を統率することになる。やがて、自分たちがプレデターの餌食として惑星に連れてこられたことが判明。生き残りをかけたプレデターとの壮絶な闘いが始まる。


ネタバレ回避のために出来合のあらすじをリライトしたのだが、まあ、よくもこんな無茶苦茶な導入を思いついたものだ。以降、主人公の傭兵(エイドリアン・ブロディ)をはじめ、登場人物たちの過去が回想されるシーンなどもなく、ただひたすらプレデターたちから逃れ、あるいは反攻するシークエンスの連続。

一応、当方が驚かされた人物の登場などもあるが、原則ネタバレをしない弊ブログにては詳述するのは避けよう。その他、なぜこの人が連れてこられたのかわからない人物の伏線の回収もあったりするが、それってどうなのよ、という感じで感心できなかった。

それはそうと、中盤でエイドリアン・ブロディが細マッチョであることに気づいたのだが、終盤ではなかなかの肉体美を銀幕に披露する。本作に併せて肉体改造した結果かもしれないけど、これはすごい。紅一点のガンナー役のアリシー・ブラガは『 アイ・アム・レジェンド 』にも登場していた。存在感は相応にあると思う。

うわ。散漫な文章でどうしようもないな。何が言いたいかというと、ストーリーに深みがあるわけでもなく、登場人物たちの個性が際立っているわけでもない、鑑賞する人によっては金返せ系映画といえなくもないということ。いや、当方は乗りかかった船だからしょうがないんだが。

ぜんぜん関係ないけど、プレデターの素顔を見ると、いつもツブ貝を思い出すのは当方だけだろうか。


『バベットの晩餐会』 [movie]

原題: Babette's Feast
製作: ユスツ・ベツァー、ボー・クリステンセン
監督・脚本: ガブリエル・アクセル
原作: カレン・ブリクセン
撮影: ヘニング・クリスチャンセン
音楽: ペア・ヌアゴー
製作国: 1987年デンマーク映画
上映時間: 102分


ストーリー
20世紀のデンマークを代表する女流作家カレン・ブリクセンの同名小説を映画化した心温まる群像劇。19世紀後半、デンマーク辺境の小さな漁村に質素な生活を送る初老を迎えたプロテスタントの姉妹がいた。そこにパリ・コミューンで家族を失ったフランス人女性バベットがやってくる。その後彼女は家政婦として長年姉妹に仕えるが、宝くじで大金を手にいれると、村人のために晩餐会を開きたいと申し出る。 87年度のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞した。


映画館での映画鑑賞の最大の特徴は途中退席が難しいことだと思う。いったん、上映が開始されれば、「こんなくだらねえの観てられっか」と映画館をあとにするのは相当に勇気がいるような気がする。当方はもちろんしたことがない。ケチだから、ってのもあるが。

なぜ、そんな話をするのかというと、いわゆる単館系ヒューマンドラマにありがちな、導入部分ののんびりさとか展開ののろさとかは自宅でのDVD鑑賞に適さないのではと思うから。面倒だから後回しにすると返却期日がきてしまったりする。映画館のシートに座っちまえば、多少の展開のかったるさも我慢せざるをえない。ようするに、否応なく鑑賞せざるを得なくなるということだ。

さて、本作はTOHOシネマズの新たな取組みの一つである「午前十時の映画祭」の対象作品。タイトルはやたらと有名なような気がするが、たまたまDVDが廃盤になっていたり、1,000円で鑑賞できたりしたので出かけたのだった。

何度か書いているように、ここ数年の映画の大出力振りには辟易することがある。かといって、四半世紀近く前の映画のゆったりさ加減が心地よいというほどには、大人の鑑賞者になっていないようだ。DVDで借りていたら、間違いなく返却期日前に鑑賞し終わらなかったと思う。

やはり、映画にもその時代の空気とシンクロして初めてその真価がわかるということがあると思う。だから、本エントリは本作を鑑賞しに行ったという記録とするだけにとどめたいと思う。


『マイレージ、マイライフ』 [movie]

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原題: Up in the Air
監督: ジェイソン・ライトマン
製作: アイバン・ライトマン、ジェイソン・ライトマン、ダニエル・ダビッキ、ジェフリー・クリフォード
原作: ウォルター・キム
脚本: ジェイソン・ライトマン、シェルダン・ターナー
出演 ジョージ・クルーニー、ベラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック、ジェイソン・ベイトマン、エイミー・モートン、メラニー・リンスキー、J・K・シモンズ、サム・エリオット、ダニー・マクブライド
製作国: 2009 年アメリカ映画
上映時間: 109分
配給: パラマウント


ストーリー
リストラ請負人のライアンは、飛行機で全米を飛び回り、リストラ対象者に次々クビを言い渡す日々。出張の副産物・航空会社のマイレージも貯まる一方で、彼はいつしか1000万マイル獲得を目標に定め今日も前向きに機上の人となる。ところがある日、コスト削減のため出張は一切禁止という命令が下り、彼の野望に暗雲がたれこめる。


本作の監督であるジェイソン・ライトマンの作品を鑑賞するのは『 JUNO/ジュノ 』と『 サンキュー・スモーキング 』に続いて3作目。前2作はつまらなくはなかったにせよ、今ひとつノリ切れなかったというのが正直なところだった。そんなわけで本作もさして期待せずに鑑賞に赴いたところうれしい誤算、意外といけるじゃないですか。

いつもならクールでかっこいい役所のジョージ・クルーニーが、少し疲れた・ある種冴えない・ある種空気を読めないライアン・ビンガムを演じている。いや、もちろん、かっこいいんだけどさ。そんな彼は年間322日を出張するリストラ請負人。ところが新入社員のナタリー(アナ・ケンドリック)がネットTV電話活用によるリストラ宣告を提案する…。

中盤までは、生身での宣告に意義を見いだすビンガムとナタリーとの出張珍道中だが、合間には出張先で出会ったキャリア・ウーマンのアレックス(ヴェラ・ファーミガ)との恋模様などを織り交ぜつつ物語は進む。

かくのごとく、ストーリーにそれほど瞠目すべき点はない。おもしろみは、ライアン・ビンガムという男の個性にある。人との深いつきあいは避け、家やモノの所有を忌避し、独身で子どももいない。そんな彼のたった一つの目標はマイレージを1000万マイル貯めること。

当然のことながら、最終的にどのように彼が変わっていくのか、というのが本作の見所。実は、ラストシーンを観ての解釈は人それぞれ異なるに違いない。ただ、いえるのは変化の予感を感じさせるシーンが随所にあるところ。たとえば、妹の結婚式の当日に結婚をやめたいと言い出した婚約者に対しビンガムは説得に向かう。

結果として翻意させたビンガムに、彼の姉は家族に対し幽霊のような存在だった彼に"Welcome home"と声をかける。字幕では「やっと家族の一員ね」というような訳だったが、ここではやはり「おかえりなさい」なのだろう。

そう、本作ではありふれているがゆえに誰もが抱える思い、「仕事とはなにか」、「家族とはなにか」、「恋愛とは」、「孤独とは」…etc いろいろなテーマが重層的になっている映画といえる。そして、それらのことって結局、「生きるとはどういうことか」というテーマに収斂されていくわけだ。

いや、まあ、大袈裟に考え過ぎか。それでも、鑑賞する人によって様々なテーマを見いだせるという意味で存外に奥が深い映画だとはいえる。そしてなにかが不思議と心に響くのだ。劇場公開はほぼ終わりに近づいているので、気になる人はDVDでどうぞ、と、控えめにお奨めしたい佳作。




マイレージ、マイライフ (小学館文庫)

マイレージ、マイライフ (小学館文庫)

  • 作者: ウォルター・カーン
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/01/08
  • メディア: 文庫

『ザ・ウォーカー』 [movie]

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原題: The Book of Eli
監督: アルバート・ヒューズ、アレン・ヒューズ
製作: ジョエル・シルバー、デンゼル・ワシントン、ブロデリック・ジョンソン、アンドリュー・A・コソーブ、デビッド・バルデス
製作総指揮: スティーブ・リチャーズ、スーザンダウニーエリック・オルセン
脚本: ゲイリー・ウィッター
出演: デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、レイ・スティーブンソン、ジェニファー・ビールス、エバン・ジョーンズ、ジョー・ピング、フランシス・デ・ラ・トゥーア、マイケル・ガンボン、トム・ウェイツ、マルコム・マクダウェル
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 118分
配給: 角川映画、松竹


ストーリー
あらゆる文明が崩壊した近未来の地球。男(デンゼル・ワシントン)は、世界でたった1冊残る本を運び、30年間、ただひたすら西へ向かって旅をしていた。そんな彼の前に、その1冊の本を探し続ける独裁者・カーネギー(ゲイリー・オールドマン)が現れる…


文明崩壊後の世界を一人の男が歩き続ける。そんなヴィジョンは、これまでもSF小説や映画では幾たびも示されてきている。ちょっと思いついただけでも、『 復活の日 』だとか『 マッドマックス / サンダードーム 』なんかがあたるか。他にもまだたくさんあるのだろうが。

だから、そんな世界の設定は、鑑賞者は入り込みやすいといえるだろうが、一方でありきたりなものといえなくもない。本作も残念ながらその軛を逃れ得ていない。実際、『 北斗の拳 』を読んでいた世代には陳腐ともいえる世界観ではある。

そして、ストーリーにある"一冊の本" の正体についても、少し勘のよい人や原題をみれば、「ああ、あの本か」と事前に察しがつくに違いない。そういうこともあるからか、単なるアクション映画だと思って鑑賞するとちょっと違う。カテゴライズするのが難しい映画だ。

で、世界観が陳腐でネタもすぐに割れてしまうとなると「どうしようもない映画」ということになるんだろうし、とりあえず、この映画を人に奨めるという行為もはばかられるのが正直なところ。

それでも、当方が意外に本作を好きなのは、至って真面目に作られているように感じたから。少なくとも主役のデンゼル・ワシントンやゲイリー・オールドマンたち役者陣は直球勝負の真面目演技をしている。最近になって注目のミラ・クニスもかわいいし。ジェシカ・ビールと勘違いしていたが、実はジェニファー・ビールスが出演していて、46歳と思えない美貌に驚愕。

なぜ、30年も歩き続けてきた"ウォーカー"が、ここにきて自分の信念を曲げたのかとか、微妙に説明不足の部分はあるし、やっぱり脚本自体がこなれていないとは思うが、当方には意外に好もしく思える映画だった。


ウォーク・ザ・ライン 君につづく道 特別編 [DVD]

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道 特別編 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD

●本作で主人公がジョニー・キャッシュの詞について言及しています

 

『アイアンマン2』 [movie]

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上映時間:124分
配給:パラマウント
スタッフ&キャスト
[監督][製作総指揮]:ジョン・ファヴロー
[製作総指揮]アラン・ファイン/スタン・リー/デヴィッド・メイゼル/デニス・L・スチュワート/ルイス・デスポジート/スーザンダウニー
[製作]ケヴィン・フェイグ
[脚本]ジャスティン・セロー
[撮影]マシュー・リバティーク
[美術]J.マイケル・リーヴァ
[音楽]ジョン・デブニー
[出演]ロバート・ダウニー・ジュニア,ミッキー・ローク,スカーレットヨハンソン,ドン・チードル,グウィネス・パルトロウ,サム・ロックウェル,サミュエル・L・ジャクソン


第一作が2008年の秋口に公開だから、2年を経ずして続編が作られた。前作がよほどの興行成績だったのか、それとも、この業界、あまりのネタ切れなのかは定かではない。で、本作は結果的には残念なデキだったと言っておこう。

第一作の当方の感想を読むと、「意外と丁寧」などと不遜な言葉を吐いている。どのあたりがどうだったかはまったく覚えてはいないが、本作は「意外と丁寧じゃない」とはいえると思う。

普段ならこのあたりで出来合のあらすじを書き写しているところだが、ストーリーをうまく紹介している文章が見あたらない。観賞後も、その内容をうまくまとめにくい。言い換えれば、それくらいストーリーが散漫というかつかみどころがないのだ。

ミッキー・ローク演ずるところの"ウィプラッシュ"やジャスティン・ハマーとの闘いが基軸なんだろうが、合間に挟み込まれるスタークの謎の血液検査や、スカーレット・ヨハンソン演じる謎の女性など、内容が盛りだくさんすぎて収拾がつかなくなっている印象。

さらには謎の組織"S.H.I.E.L.D" の長官、ニック・フューリーなんてのも前作に引き続き登場だから、マーベルコミックの世界観を詳しく知らない人は間違いなく置いてけぼりになるのではと心配になる。かくいう当方も詳しいわけではないのだが。

最近のアクション映画にありがちな、戦闘シーンのスピードが速すぎて鑑賞者には把握できない現象もあり物足りない。うーん、あまりいいところはないなあ。唯一、スカ・ヨハのアクション・シーンはキマってました。


◎関連エントリ

 ・『アイアンマン』


『グリーン・ゾーン』 [movie]

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原題: Green Zone
監督: ポール・グリーングラス
製作: ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、ロイド・レビン、ポール・グリーングラス
製作総指揮: デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシン
原作: ラジーフ・チャンドラセカラン
脚本: ブライアン・ヘルゲランド
出演: マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライアン、ハリド・アブダラ、ジェイソン・アイザックス
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 114分
配給: 東宝東和

■■■
期待に胸をふくらませ劇場に赴く。というのも、あの『 ボーン・スプレマシー 』、『 ボーン・アルティメイタム 』のポール・グリーングラス監督&マット・デイモンのコンビの作品だから。


あらすじ
イラク戦争開戦から4週間後。ロイ・ミラーと彼の部隊は、砂漠地帯に隠された大量破壊兵器の行方を追う極秘任務で、イラクの首都バグダードを駆けずり回っていた。混乱のさなか、大量破壊兵器が隠されているとみられる倉庫に踏み込むが空振りに終わる。国防総省の動きに不信感を覚えた彼は、同じ疑念を抱いていたCIA調査官ブラウンと共闘することに。部隊を離れ単独で調査を開始し、執拗な妨害工作に苦しみながらも謎の核心に迫っていく。


グリーン・ゾーンとは、米軍を中心としたイラクの政府体制を再建しようとする連合暫定施政当局があったバグダード市内10km²にわたるエリアのこと。イラク暫定政権下の正式名称は「インターナショナル・ゾーン」ではあるものの、「グリーン・ゾーン」の呼び名が一般的、だそうである(ウィキペディアより)。

さて、開映直後に配給が東宝東和であることがわかり少し動揺する。どうも、同社の配給する作品との相性が悪い場合が多い気がするからだ。結論から申し述べると、手に汗握るエンタテインメント作品を期待すると肩透しとなるような作品だ。

そもそも本作はアクション映画ではない。時事社会派映画にアクションの味付けをしている、とでもいったらいいか。メッセージは直截的で、「合衆国政府のやっていることのなかには、信じられない部分が一部はあるから、われわれはそれを注視し、場合によっては阻止しますよ」というものだ。

上記のようなメッセージはボーン三部作ではCIAの陰謀というフィクショナルなものに置き換えられていたんだが、本作ではイラク戦争という現実に起こった戦争下での物語になっている。だから、イラク戦争の背景を少ししか知らない当方は置いてけぼりをくらってしまった。現代史の勉強不足だといわれてしまえばそれまでだけど。

それから、マット・デイモン演ずるミラーのキャラクタが、無謀というか直線的というか、あのジェイソン・ボーンの精緻振りを期待していたので物足りないという、これは当方のわがままなんだが。それにしても、ああも簡単に部隊を離れCIAと共闘するという状況はありえるんだろうか。説明も不足しているように思ったぞ。

(以下若干ネタバレ反転)最後の最後で、現地の民間人にああいううことされるというのも、軍人としては間抜けなように思われるがどうだろうか。

ということで、少しばかり残念な鑑賞となってしまった。救いは、国防総省の酷薄な官僚役のグレッグ・キニアの演技。いや、エンドロールで表示されるまで、グレッグ・キニアと似ているなあ、というくらいの別人振りを発揮する演技はさすがだと思わせてくれたのだった。


『第9地区』 [movie]

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上映時間:111分
配給ワーナー=ギャガ・コミュニケーションズ
スタッフ&キャスト [監督][脚本]ニール・ブロムカンプ
[製作総指揮]ビル・ブロック/ケン・カミンズ
[製作]ピータージャクソン/キャロリン・カニンガム
[脚本]テリー・タッチェル
[撮影]トレント・オパロック
[美術]フィリップ・アイヴィ
[音楽]クリントン・ショーター
[出演]シャルト・コプリー/デヴィッド・ジェームズ/ジェイソン・コープ/ヴァネッサ・ハイウッド


インフォメーション
南アフリカ上空に突如現われた正体不明の宇宙船。襲い掛かることもなく、難民として降り立った“彼ら”と人間の共同生活はそこから始まった。28年後、市民と“彼ら”の争いは絶えず、共同居住区“第9地区”はスラムと化したため、超国家機関MNUは彼らを強制収容所に移住させる計画を立てる。それが、人類と“彼ら”の歴史を変える大事件の引き金となるとも知らずに…。



久々にロードショー初日、しかも初回に足を運んだのは相当に期待していたから。当方の好きなフェイク・ドキュメンタリタッチの作品だし、何より設定が意表をついている。

鑑賞前に気になっていたのは、そもそも恒星間航行ができるテクノロジを持つ異星人が、なぜ地球征服ではなく難民という状況に陥ってしまったのかという説明がうまくクリアされるか否かだった。そのあたりは、うまく誤魔化されたというか、でも一応の説明はなされたのでよしとしよう。

主人公である超国家機関MNUに勤務するヴィカスは、第9地区から”彼ら”を移住させる責任者に任命される。第9地区で彼らの住居を個別に訪問し立ち退きのサインをさせるのだ。そこで、ヴィカスたちは異星人たちが隠していた”あるもの”を見つけるのだが…。

物語は、その”あるもの”にヴィカスが関わってしまったことから動き始める。それによってヴィカスがなぜあんな状態になるのか、そしてそれが別のあるものを起動させるものであるという設定は、かなりディテールが荒っぽいという感覚を覚えた。

結局のところ、”あるもの”は単なる”マクガフィン”であってそれ以上でも以下でもないということなんだろう。そして、SFサスペンス映画だと思って観ていると、中盤以降はなぜかアクション映画になっていくところが意外だった。

アバター 』では、鑑賞者が登場する異星人に何の違和感もなく好感が抱けるように持っていくのに対し、本作は最後の最後まで異性人に嫌悪感を感じさせるところが対照的。作中では「エビやろう」とかいわれてたけど、当方にとってはゴ○ブ○を思わせる造形で思い出すとむずがゆい。

戦闘描写もかなり血みどろシーンが多く、気の弱い向きには決してお奨めできない。あと、デートでのご利用は避けたほうが無難だと思う。

とはいえ、意表をつく設定や南アフリカという舞台ゆえに、どのような結末になるか先を読ませないところがあってドキドキハラハラ感はなかなかのものだった。B級作品が好きだったりフェイク・ドキュメンタリが好きな人は鑑賞して損はないと思う。

※ちなみに、作中に登場する超国家機関MNUのフェイクサイトがあったりします。


◎関連エントリ
 ・『THE 4TH KIND フォース・カインド』


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『シャーロック・ホームズ』 [movie]

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原題: Sherlock Holmes
監督: ガイ・リッチー
原作: アーサー・コナン・ドイル
脚本: マイケル・ロバート・ジョンソン、アンソニー・ペッカム、サイモン・キンバーグ
出演: ロバート・ダウニー・Jr.、ジュード・ロウ、レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング、エディ・マーサン、ケリー・ライリー
音楽: ハンス・ジマー
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 2時間9分
配給: ワーナー・ブラザース映画


ストーリー
アーサー・コナン・ドイルが生んだ名探偵シャーロック・ホームズのキャラクターにインスピレーションを受けたオリジナルストーリーを、「スナッチ」のガイ・リッチー監督が映画化。19世紀末のロンドン。ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr.)と医師ワトソン(ジュード・ロウ)の2人は、怪しい黒魔術の儀式を行い、若い女性を次々と殺害するブラックウッド卿を逮捕する。だが、処刑されたはずのブラックウッドが蘇り、再び殺人事件が発生する…


まったく期待せずに鑑賞に赴いた本作だが、意外や意外、真っ当につくられたアクション映画だったのには驚いた。そもそも、ロバート・ダウニー・Jr.がシャーロック・ホームズを演じるという時点で期待なんかできるわけないじゃないですか。痩身で長身、鷲鼻というイメージ通りじゃないし。

同じようなことはジュード・ロウ演じるワトソンにもいえることであって、やたらけんかっ早かったりアクティブだったりするところは、かなり冒険的な新解釈だと思う。

そんなふうに、シャーロック・ホームズのパスティーシュではなく新解釈だと思えば、逆にやたらとぬかるんだロンドンの道路とか小汚い風情とかがリアルな分、従来の同時代を舞台にした諸作品よりリアリティがあるといえるだろう。『 パフューム 』のパリの描写を彷彿とさせます。

そして、おもしろいと感じたのはその映像表現で、たとえば冒頭のブラックウッド卿逮捕劇で、ホームズが自分のシミュレートした動きの通りに相手を倒すシークエンスなど、これまであったようでなかった表現が楽しい。

ストーリーはほどよく刈り込まれているし、伏線の回収もきっちりやっているのでわかりやすい。よもや、ガイ・リッチーがこういう映画を撮るとは思わなかった。

取り立てて特筆するような点はないんだけど、俳優や脚本、そしてヴィクトリア時代の描写もリアリティがありそうで、全体としてみると意外に端正でかなり愉しめる娯楽作品になっている。残虐シーンもないし、デートムービーにはお奨めできる。


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『THE 4TH KIND フォース・カインド』 [movie]

原題:The Fourth Kind
監督・脚本:オラントゥンデ・オスサンミ
製作:ポール・ブルックス、ジョー・カーナハン、テリー・ロビンス
製作総指揮:スコット・ニーマイヤー、ノーム・ウェイト、イオアナ・ミラー
原作:ドクター・アビゲイル・タイラー、オラントゥンデ・オスサンミ、テリー・ロビンス
音楽:アトリ・オーバーソン
製作国:2009年アメリカ映画
上映時間:1時間39分
配給:ワーナー・ブラザース映画
出演:ミラ・ジョボビッチ、ウィル・パットン、イライアス・コティーズ

■■■


ストーリー
多数の住民が行方不明となり、不眠症を訴える人々が増え続けるアラスカ州ノーム。この事態を不審に思ったノーム在住の心理学者タイラー博士は、催眠療法で彼らの不眠の理由を解明しようとしていた。65時間以上に及ぶ記録映像と、再現映像によって構成された異色サスペンス。主演はミラ・ジョボビッチ。


もちろん、鑑賞前からいろいろと芳しくない評判は聞いていた。いわく

  • タイトルからしてネタバレ
  • 結末が釈然としない
  • タイラー博士の顔がいちばんホラー
  • 映画館で観るまでもない

などなど。では何故わざわざ鑑賞に行ったのかといえば、当方の好きなフェイク・ドキュメンタリのスタイルをとっていたからだ。

映画を含む映像作品において、フェイク・ドキュメンタリ(モキュメンタリというほうが通りはいいのか)というスタイルは一定数が存在している。ふと思ったのは、活字媒体にはこのスタイルは意外に少ないのではないか、ということ。たとえば架空の人の一生を題材にしたドキュメンタリ作品って読んだ覚えがない(もちろん浅学な当方が知らないだけであろうが)。

似たようなもので、 架空の書物の書評集 序文集 なんてのがあるが、ちょっと違うように思える。あるいはジャック・ヒギンズの戦時秘話ものなんかは、バーにいた老人が本当に会ったこととして語り始める作品があったように思うが、これもあきらかにフィクションを志向して書かれている。

ようするに映像媒体のほうが活字媒体よりフェイク・ドキュメンタリというスタイルがはまりやすいということを言いたいのだが、なぜそうなのかはよくわからない。いずれ深く追ってみることにしよう。

それはともかく、このスタイルを当方が好きなのはその胡散臭さにある。本当にあったことだというデータや(再現)映像を見せれば見せるほど「それほんとかよー」といいたくなる逆説にその胡散臭さの根源があるのだと思う。

そういう意味で、本作にミラ・ジョヴォビッチを配したのは失敗だと思う。ここは無名の役者でそれらしい雰囲気を醸し出してほしかった。逆に本物のタイラー博士のキャスティングは絶妙だ。

内容についていえば、冒頭に申し上げたように芳しくない出来栄えといっていい。人にお奨めすることはできないし、多くの人にとっては金返せ映画にはちがいない。とはいえ当方が本作を意外に好きなのは上記のような理由があるからなのだ。


『キャピタリズム マネーは踊る』 [movie]

原題:Capitalism: A Love Story
監督:マイケル・ムーア
製作総指揮:キャスリーン・グリン、ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン
製作:アン・ムーア
撮影:ダニエル・マラシーノ、ジェイミー・ロイ
音楽:ジェフ・ギブス
編集:ジョン・ウォルター、コナー・オニール
製作国:2009年アメリカ映画
上映時間:2時間7分
配給:ショウゲート

なんと、一ヶ月フリーパスポートは旧・シャンテ・シネにも使えることが判明。行けば確かにVITもあり、TOHOシネマズ化しているということがわかる。2010年はじめの映画鑑賞にはもってこいのタイトルということで日比谷へ足を運ぶのであった。


内容
「ロジャー&ミー」「ボーリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」「シッコ」など常にコンテンポラリーな問題に光を当ててきたドキュメンタリー作家マイケル・ムーアの最新作。今回はサブプライム問題やリーマンショックといった経済問題に焦点を当て、ウォール街に棲む強欲資本主義経済の主役たちにアポ無し取材を敢行。米政府と金融界の驚くべき癒着関係をあぶり出していく。


これまで同監督の作品は『 ボウリング・フォー・コロンバイン 』と『 シッコ 』を鑑賞している。特に後者は米国における社会保障や医療制度のあり方についてよくわかるドキュメンタリとして出色の出来だっただけに本作も期待を大きくし出かけた。

結論から申し述べると、やはりキャピタリズム/資本主義というテーマは化け物じみたもので、さすがのマイケル・ムーアも料理するには相手が悪すぎたと言うところ。あまりにも茫漠とした化け物だしね。

前作でもそうだったけど、社会主義という言葉に米国人は甚だしい拒否反応を示すらしい。なにしろ自由の国なわけだし。キャピタリズムは、いわば自由の行き着いた果てに出現した化け物なんだろうが、うまくいえないけど、そこにはすべてが相対化される作用があるように思える。

本作だって商業映画だから、売れなければ監督やスタッフの実入りにならない。キャピタリズムというものに相対化されてしまう。マイケル・ムーアの言うキャピタリズムが行き過ぎたそれであるなら、行き過ぎないキャピタリズムってなさそうだと思う。

マイケル・ムーアは、行き過ぎたキャピタリズムをレーガン大統領以来の規制緩和を元凶とし、その後のクリントンやブッシュ政権で確立されたと主張している。もちろん、表象としてはそうなんだろうが、そのものを元凶とするのは少し陰謀史観が入っている感もなきにしもあらず。

結局は、今の米国が、米国民が同意し望んだ姿ということはあったんだろう。それは、これから我が国が向かう方向に近似しているのかもしれない。そんな思いを抱かせるだけのパワーに溢れた作品には違いない。文句が多くなってしまったが、彼我の社会における問題点を自覚させてくれる力作だ。


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『アバター』 [movie]

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原題:Avatar
監督・脚本:ジェームズ・キャメロン
製作:ジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドー
製作総指揮:コリン・ウィルソン
撮影:マウロ・フィオーレ
美術:リック・カーター、ロバート・ストームバーグ
編集:スティーブン・リフキン、ジョン・ルフーア、ジェームズ・キャメロン
音楽:ジェームズ・ホーナー
製作国:2009年アメリカ映画
上映時間:2時間42分
配給:20世紀フォックス映画
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、スティーブン・ラング、ミシェル・ロドリゲス、ジョバンニ・リビシ、ジョエル・デビッド・ムーア、CCH・パウンダー、ウェス・スチュディ、ラズ・アロンソ

■■■
正月休みということで自宅に帰ってきた。自宅に帰ってきたらやることは散髪と映画鑑賞しかないでしょう。ということで大晦日にもかかわらず市川コルトンプラザのTOHOシネマズに向かう。ちなみに散髪の結果、冒頭のサム・ワーシントンのようなクルーカットとなり、これでより映画の世界に入り込みやすくなった(のか?) さて、今年最後の鑑賞にふさわしい映画やいかに。


ストーリー
22世紀、地球から遠く離れた惑星パンドラへとやってきた元海兵隊員ジェイクは、自らの分身となる“アバター”を操り、先住民ナヴィと交流するが、やがて鉱物資源を巡って勃発する人類とナヴィとの戦争に巻き込まれていく。


ちなみに当方は非3Dヴァージョンにて鑑賞。だってさ、いい大人が3Dメガネ掛けている図っておかしくないかあ。いや、自意識過剰というのはわかっているんだが、アホ面がこれ以上アホ面にみえるのでは目も当てられないから。

閑話休題。とにかく、これだけの長い上映時間があっという間に終わった映画は久しぶりだ。そういう意味で、エンタテインメントとしてお奨めするのにまったく問題がないであろうと思える映画作品だ。

当方ごときがいうまでもなく、最大の見所はその映像美。惑星パンドラで実際にロケをやったのではと見まごうばかりのリアリティだ。特に浮遊する石塊を縫っての飛行シーンは圧倒的な迫力。

そして、ジェームズ・キャメロンのモティフというべきモノやコトが相変わらず顕れるのは、当方はわりとうれしい。すなわち、強い女性・パワードスーツ・ヘリコプタのようなVTOL機・クラゲのような生命体・暴走する兵士などなど、ほかにもあったかもしれないが。このあたりは意図的なんだろうかね。まあ、無意識に入れ込んでいるわけではないんだろうけど。

そんなこんなもあるが、当方がいちばんうれしかったのは久々にミシェル・ロドリゲスをスクリーン上で観たこと。パワフルさとふてぶてしさは相変わらずで、女性兵士を演じさせたら今現在この人以上の女優はいないんじゃないだろうかと思う。

で、「お奨めするのにまったく問題がないであろうと思える」などと奥歯に物が挟まったような言い方をしたのには理由がある。問題はストーリー。このストーリーを受け入れられるか否かで評価は大きく変わってくる。当方は残念ながら「ちょっとそれはどうなの?」という感じだ。

※以下、珍しく壮絶にネタバレかますので白黒反転します。

平たくいえばこんな話。

  • とある白人の一団が資源を求めて未開の土地にやってくる。そこには原住民がいて、コミュニケーションできないわけではないが、その土地から出て行ってくれそうにない膠着状態にあった。 
  • ある日、その一団にいた兵隊上がりの青年が偵察中に仲間とはぐれ、とある原住民の一族に助けられる。そこで一族の風習や言葉、そして狩りの方法などを学び溶け込んでいく。
  • 青年は一族の長の娘に教育を受けるのだが当然のごとくその娘と恋に落ちる。
  • やがて、青年は異郷の者ながらその一族の伝説にある救世主的な役割を担うことになりそうな感じとなる。
  • そして、いろいろあるうちに白人の一団は業を煮やしてその一族に総攻撃を仕掛けることになる。
  • その青年は白人でありながら、アイデンティティはその一族と同一化し、ついには一族とその周辺の部族を束ね、白人からの攻撃に抵抗する勢力を形作り反撃に打って出る…

ありがちな話が悪いといっているのではない。でも、この作品に関していえばそれがあからさま過ぎるのだ。たとえば、ドレッドヘアのような長髪やモヒカン刈りのような髪型、イニシエーションの儀式、そして戦いの際の化粧など、要するに西部開拓時代における白人とネイティブアメリカンそのままなのだ。だから、観ているあいだもどこかであったような話だとしか思えないというモヤモヤ感が残ってしまう。

作品のテーマとしては、自然との共生とか過剰な市場主義へのアンチテーゼというものはあるのだろう。が、上記のようなあからさまな物語構造がそれを素直に受け入れなくしてしまっているのでは、と思うのだ。

あと細かいところでいえば、恒星間航行を実現し異星生命体の完璧なアバターを製造できるほどの科学力を持った人類がベトナム戦争ライクな戦争を仕掛けるはずがないと思う。もっとスマートにやれそうじゃないですか。まあ、それじゃストーリーが成り立たないんだろうが。そういう舞台設定に詰めが甘いのがマイナスポイント。

そしていちばん残念なのが、反逆した女性兵士ミシェル"トゥルーディ"ロドリゲスを死なせちゃうこと。これは最大の脚本のミス。当方だったら、やむにやまれず主人公たちを助けたものの、自分の身のかわいさゆえにいったんおさらばするが、主人公が空中戦の危機のときに颯爽と現れ敵機を打ち落とし最後は生還…ってそれじゃスターウォーズのハン・ソロか。でも、そういう役柄だと思うんだけどなあ。

うーん。特に前半がわくわくしただけあって期待が大きかっただけに後半部分のグダグダが惜しい。 どことなく納得のいかない作品だった。いや、もちろんBlu-Rayが出たら買うんだろうけどさ。


『カールじいさんの空飛ぶ家』 [movie]

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原題:Up
監督:ピート・ドクター
共同監督:ボブ・ピーターソン
製作:ジョナス・リベラ
製作総指揮:ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン
原案:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン、トム・マッカーシー
脚本:ボブ・ピーターソン、ピート・ドクター
美術:リッキー・ニエルバ
音楽マイケル・ジアッキノ
製作国:2009年アメリカ映画
上映時間:1時間43分
配給:ディズニー

■■■
3Dでも上映されている本作だが、当方はどうも食指ガ動かず通常上映を選ぶ。とはいっても字幕版は、これまた上映時間の都合が合わず日本語吹替版の鑑賞となった。どうも映画館で吹替え版は違和感があるのだ。念のため申し上げておくと、鑑賞後は声優さんと登場人物の嵌まり具合に納得できたのだった。


ストーリー
亡き妻エリーとの思い出が詰まった家にひとり静かに暮らしている78歳のカールじいさん。だが、周囲の再開発でその生活が失われそうになったある日、エリーの夢だった南米奥地の秘境を目指すため、人生最後の大冒険に出ることを決意。家に大量の風船をつけて大空へと飛び立つ。


鑑賞後に思ったのはかなり大人向けに振られた内容だな、ということ。上映開始直後の数分のシークエンスで、カールじいさんがどのような人生を送ってきたのかがダイジェストで語られる。このシーンだけである程度の年齢を重ねた人ならじわっときてしまうだろう。

その後、空飛ぶ家で亡くなった妻を連れていくと約束した地に向かう。実際にはタイトルにある空飛ぶ家に乗っている時間は少なくて、その後は家を連れて歩く旅となるのだが。

おそらく、このあたりに深い意味が隠されているんだろう。家=母の象徴で、ゴムホースでつながれているカールじいさんと少年は臍の緒で繋がれた母と子の暗喩であるとか。いや、思いつきで書いたんだけどいい線いってるかも。実際、物語の基調は老人と少年の再生を描くものだからだ。

そんな本作から当方が感じ取ったのは「失うことを恐れてはいけない。過去も重要だが、未来はそれ以上に大切なのだ」というメッセージだ。終盤、カールじいさんは少年を助けるために「失うこと」を選択をする。そして対立相手は過去に拘泥し続けた結果、相応の運命を迎えることになるのだ。

冒頭に「大人向け」と申し上げたのは、このほろ苦いメッセージを子どもが認識し得るかどうかということと、まあ、全体的にかわいらしさという側面は少ないから。人生のやるせなさを味わってきた中年男性にお奨めしておこう。


『インスタント沼』 [movie]

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監督・脚本:三木聡
撮影:木村信也
美術:磯見俊裕
編集:高橋信之
音楽:坂口修
出演:麻生久美子、風間杜夫、加瀬亮、相田翔子、笹野高史、ふせえり、白石美帆、松岡俊介、温水洋一、宮藤官九郎、渡辺哲、村松利史、松重豊、森下能幸、岩松了、松坂慶子
製作国:2009年日本映画
上映時間:2時間
配給:アンプラグド、角川映画

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本作も東京にいたら必ず観ていたであろう作品。同じ監督の『 転々 』は原作の『 転々 』を読んでから行ったが、書籍の方がおもしろかったことを覚えている。とはいえ、ゆるーい作品は嫌いではないのでいそいそと映画館に出かけたのであった。

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ストーリー
担当雑誌が休刊になって出版社を辞めた沈丁花ハナメは、泥沼のようなジリ貧人生をやり直そうと思っていた矢先に、自分の父親が“沈丁花ノブロウ”なる見知らぬ男だと記された手紙を発見する。事実を確かめようと手紙の住所を訪ねると、そこには“電球”と名乗る骨董屋の店主がいた...

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冒頭から麻生久美子がコメディエンヌとしてハイテンションで演技するコメディ映画だ。コメディとは言っても爆笑するものではなく、そのゆるさに失笑するような感じか。失笑は嫌いではないが。

そもそも爆笑を企図して作られているとは思えないのでそれはそれでいい。ただ、この手の映画にはスパイスとしての不条理感が欲しいというのが当方の勝手な意見なので、その部分ではいささか物足りない。

麻生久美子も、そのハイテンション振りはかまわないのだけど、最初から最後まで金切り声を上げている印象があり、金切り声の苦手な当方としては辟易とするところがあった。

じゃあ、金返せ映画なのかよ、といわれそうだがそうでもないところが本作の不思議なところ。今回はたまたま1,000円で鑑賞したけれど、前売り1,500円でもそんなに損じゃなかったろうと思う。

そのあたりは風間杜夫をはじめとした共演陣の演技が雰囲気を持っていたからだと思う。もちろん、麻生久美子だって悪いわけじゃない。

合わない人は徹底的にダメだけど、合う人は、まあこれでいいんじゃないか、とゆるく鑑賞できる作品。他人にはお奨めしないが当方としては鑑賞して良かった作品だ。


『レスラー』 [movie]

原題:The Wrestler
監督:ダーレン・アロノフスキー
製作:スコットフランクリン
製作総指揮:バンサン・マラバル、アニエス・メントル、ジェニファー・ロス
脚本:ロバート・シーゲル
美術:ティム・グライムス
撮影:マリス・アルベルチ
音楽クリント・マンセル
主演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド
製作国:2008年アメリカフランス合作映画
上映時間:1時間49分
配給:日活

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もう半年以上渋谷のシネマライズに行っていないが、年末に『 バンク・ジョブ 』を観たときにチラシやポスターで見知っていたのが本作。東京でしかやらないんだろうなあ、と思っていたら幸いにも歩いていける劇場で上映。初日のレイトショーに臨んだのだった。


ストーリー
人気レスラーだったランディは、今ではスーパーでアルバイトをしながらかろうじてプロレスを続けている。そんなある日、長年に渡るステロイド使用がたたりランディは心臓発作を起こしてしまう。妻と離婚し娘とも疎遠なランディは、「命が惜しければリングには立つな」と医者に忠告されるが...


ストーリー自体はありふれているし、最終的に主人公が選択することもある意味では月並みだ。エンタテインメントとしてはお奨めできないし人間ドラマとしても決して奥行きがあるわけではないと思う。

それでもいい映画だと思えるのは、ミッキー・ロークの凄絶なまでの力演だ。ほとんど、それだけと言っていい映画なのかもしれない。ミッキー・ロークと主人公の人生が重なる部分もあるしね。

落ちぶれたレスラーのランディは、こういっちゃなんだがダメ人間なのであるが、そのダメなところって誰もが持っているダメな部分を顕わしているんだと思う。そこに共感が生まれるわけだ。

そんなわけで、首都圏での上映は終わっているが地方上映はこれからだ。どうってことないと言えばそれまでなんだが、興味のある人は劇場に出かけていって損はしないと思う。


『ディア・ドクター』 [movie]

上映時間:127分
配給:2009エンジンフィルム=アスミック・エース
スタッフ&キャスト:
[監督][原作][脚本]西川美和
[撮影]柳島克己
[出演]笑福亭鶴瓶,瑛太,八千草薫,余貴美子,井川遥,松重豊,岩松了,笹野高史,中村勘三郎香川照之

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すでに5ヶ月ほどテレビのない生活をしているのだが、まったく禁断症状はない。いくらなんでも少しはみたくなるのでは、と思っていたがその気配はない。ただ、当方とてみたい番組がないことはなく、たとえばそれは「NHKスペシャル」であったり「鶴瓶の家族に乾杯」だったりする。


[あらすじ]
山あいの村で医師を務める伊野の元に、医大を卒業したての研修医・相馬がやってくる。相馬は田舎の医療に戸惑うも、伊野の働きぶりにやがて共感を覚えるように。だが、かづ子という患者の存在が大きな事件を引き起こす。

さて、本作はあの『 ゆれる 』と同一の監督の作品。当方は、実は『ゆれる』のおもしろさってわからなくて、最後には???が並んでしまったタイプの人間だ。果たして本作は愉しめるのか...。と思っていたらそれは杞憂でとても愉しめた。

本作のテーマは奥が深い。「なぜ人は嘘をつくのか」、「善悪とは何か」、「生とは、死とは」、「家族とは」、「人はなぜその土地に縛られるのか」などなど。それらが有機的に絡み合っているので、何かひとつに絞って語るのは難しいし当方にそのような分析能力も筆力もない。

ただ、ひとついえそうなのは本作が主人公である医師の伊野と患者の鳥飼かづ子の物語であること。なぜ伊野がかづ子に対しあのような行動を取ったのか。そのあたりの背景はありそうだが作品の中で細かく言及されることはない。

ヒントになりそうなのは、終盤で刑事から聴取を受ける香川照之のシーン。当方は、このシーンが脚本も書いている監督が言いたかったことの一端を顕わしているのではないかと思った。

存在感がありまくりの俳優陣の中にいながら、それを上回る笑福亭鶴瓶の力演が際立っている。無医村の医師の役柄だが、このあたりのイメージは「家族に乾杯」で培ったものか。

細かいシーンのひとつひとつにきちんと意味があるという、恐ろしく丁寧に撮られた映画作品だと思う。首都圏ではすでに上映は終了している模様だが、地方ではこれからのようだ。2時間超を退屈することなく観させる作品としてお奨めしたい。


『サマーウォーズ』 [movie]

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上映時間:114分
配給:2009ワーナー
スタッフ&キャスト:
[監督]細田守
[脚本]奥寺佐渡子
[音楽]松本晃彦
[声優]神木隆之介,桜庭ななみ,谷村美月,仲里依紗,富司純子,斎藤歩

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当方の名字は比較的珍しい方で、出自は瀬戸内海のとある島にありその島の人々は同じ名字の人ばかりだと聞いている。小学校低学年くらいまでは夏休みにはその島に帰省していた。アサリを採ったり魚釣りをしたり、スタンダードな夏休みを送っていたのを覚えている。

もう少し幼かったときだろうか、記憶は曖昧なのだが、父の姉(伯母さんですね)に連れられて二人で島の盆踊りに行ったことがある。なぜ、あのとき二人だったのだろう。幼いときの当方は地上に降り立った天使のようにかわいかったw ので、それゆえに連れ回されたのだろうか。

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[内容]
世界中をつなぐ仮想都市OZが浸透する時代。高校2年生の健二は、あこがれの先輩・夏希に頼まれ、夏休みのある日、彼女の田舎である曾祖母の家を訪ねることに。だがそこで、世界を揺るがす大事件が発生する。

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冒頭に申し上げたように、主人公が先輩に頼まれ行くことになるのは、多くの人が持つ夏休みの田舎そのもので原風景と言っていいかもしれない。そこに集まるのは昔ながらの大家族で、これまたある種の郷愁をさそうもの。

本筋とは関係ないが、主人公が蚊帳を吊って寝ていたり、複雑な日本家屋のつくりで迷ったりとか、そんな経験も当方にはあるので心に相当に染み入るものがある。

それはおいといて、図らずも世界を揺るがす脅威に立ち向かわざるを得なくなった主人公と大家族の中心となっているのは曾祖母だが、意外にエキセントリックなところはなく、登場人物たち全体でもキャラ立ちしている人物はほとんどいない。

それでも、それぞれに見せ場が用意されているところがうれしい。当方の好きなキャラクタは自衛隊に所属するクールな小父さんだ。終盤の脅威との対決は感動を誘うシークエンスとなっていて、当方は悔しいけれど少しほろっときてしまったよ。

さて本作のテーマは終盤に出てくる曾祖母の言葉にあるように「ちゃんと飯を食うことと、家族といっしょにいること」という単純かつ難しいもので、それが昇華されているかは作品を鑑賞してそれぞれの判断となるかもしれない。

当方は、自身の夏休み体験などと重なる部分が多く、真っ当なストーリー展開を併せると(あまり鑑賞していないが)今夏の一押し作品として推奨したい。老いも若きにも安心してお奨めできると思う。


『そんな彼なら捨てちゃえば?』 [movie]

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配給:2009米/ワーナー
スタッフ&キャスト:
[監督]ケン・クワピス
[原作]グレッグ・ベーレント,リズ・タシーロ
[製作総指揮][出演]ドリュー・バリモア
[脚本]アビー・コーンほか
[出演]ベン・アフレック、ジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、ジェニファー・コネリー、ケビン・コノリー、ブラッドリー・クーパー、ジニファー・グッドウィン、スカーレットヨハンソン、クリス・クリストファーソン、ジャスティン・ロング

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今日は映画の日。まさかこの地で映画の日を利用するとは思わなかった。タイミングが非常によろしい。歩いて6分の映画館だからこれまたうれしい話だ。夕方にはまた歩いてもう一本を鑑賞する予定。


[内容]
最高のパートナーに出会うベくデートを重ねるも空回りばかりのジジ。同僚のベスは独身主義の恋人と破局を迎え、幸せな結婚生活を送っていたはずのジャニーンには夫の浮気が発覚。彼女たちはそれぞれの恋を模索する。


ということで、女性向けの映画に違いない。ほんとうに正直なところ、当方にはおもしろさがわからなかった。いろいろなくすぐりどころはあるのだろうけど、ほとんど当方のツボには入らなかった。

ストーリーも目新しいところは感じられず、群像劇ではあるんだろうけれど、それぞれの人生の重なり方にこれといった工夫は見られず物足りないと思う。

なんて文句は言っているけれど、ジェニファー・コネリーやスカーレット・ヨハンソンやドリュー・バリモアが好きな当方は、彼女らが出演しているだけで満足。いいでしょ、そういう映画の観方があったって。とりあえず、女性の感想についてはwebでみてみることにします。


『ノウイング』 [movie]

上映時間:122分
配給:2009米/東宝東和
スタッフ&キャスト:
[監督][製作][脚本]アレックス・プロヤス
[脚本]ジュリエット・スノウドンほか
[出演]ニコラス・ケイジ,チャンドラー・カンタベリー,ローズ・バーン,ララ・ロビンソン

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ニコラス・ケイジ主演で未来予知もの...なんかデ・ジャヴがあると思ったら『 NEXT 』で予知能力のあるマジシャンを演じてたのは弊blogでも紹介していた。予知もの脚本が好きな俳優なんだろうか。


内容
大学教授のジョンはある日、数字で埋め尽くされた不思議な紙きれを入手した。それは息子が通う小学校で50年前に埋められたものだったが、紙に書かれた数字を解析するうちに、数々の大惨事を予言していることを知る。


出だしから前半部分の展開がすばらしい。タイムカプセルから取り出された意味不明な数字の羅列を解析すると将来の大惨事を予測していることを主人公は突き止める。主人公はそれらを回避しようとする行動に出るのだが...

その大惨事のひとつには、もちろんあの9.11も入っている。本作のテーマのひとつに9.11以降の映画に多くみられるようになった家族愛があるのはむべなるかな、である。

主人公が遭遇する大惨事のシーンは、予告編をご覧の方はご存知のとおり飛行機と地下鉄のそれだ。両方とも悪夢に出てきそうなシーンとなっていて出色。気の弱い向きにはお奨めできないくらい。

さて問題は後半から終盤にかけて。うーむ。どのように解釈したらいいんだろう。ネタバレになってしまうので詳しくは書かないけれど、宗教面あるいはSF的には人類播種テーマ、そして自由意志とか決定論などいろいろな解釈ができそうだ。

ニコラス・ケイジはどこを切ってもニコラス・ケイジの演技だが、まあそれはそれでいいんじゃないか、とは思わせる。前半傑作・後半ハテナではあるがB級大作がお好きな人の鑑賞を止めはしない。


『トランスフォーマー:リベンジ』 [movie]

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●上映時間:150分
●配給:2009米/パラマウント
●スタッフ&キャスト:
[監督][製作総指揮]マイケル・ベイ
[製作総指揮]スティーブン・スピルバーグほか
[脚本]アーレン・クルーガーほか
[出演]シャイア・ラブーフ,ミーガン・フォックス,ジョン・タトゥーロ

■■■
いやはや。自炊がこれだけ金がかからないとは思っても見なかったんだが、それ以上に時間を食うのが分かった今日この頃。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

とにかく、大車輪というか、帰ってきて洗い物して晩ご飯作って食べて翌日のお弁当の仕込みをしながら洗い物なぞしているとあっというまに寝る時間になってしまう。正直、読書したりDVD観ている時間がない。なので、このところの更新をサボっていたわけ。


[ストーリー]
オートボットとの戦いに敗れた悪の一派、ディセプティコンが復活し、逆襲を開始。複数の建設車両が合体するデヴァステーターら、より凶悪な仲間を率いて侵略してきた彼らに、大学生になったサムとバンブルビーらが立ち向かう。

とにもかくにも、鑑賞し終わったら腹一杯で胃もたれするというか、焼き肉と寿司とカレーを一緒に出されて食いきった気分だ。いや、悪く言ってるんじゃない、それでも充分に愉しめたのだから。

繊細さがないつくりで、細かいアラを探せばきりがないのも特徴。のっけから上海市街に米軍秘密部隊が乗り込んでいったりするし。でも、そんなことをすっ飛ばしてしまうパワーがある作品ではある。150分という長丁場だがほとんどだれることなくストーリーが進んでいくのは良いことだと思う。

前作ではロボット同士の戦いが速くてよく分からなかったきらいがあったが、本作ではそのあたりも意識的に改善されている模様。

とにかく今風の出力最大限の映画で、当方のような古めの人間は眼が追いついていかないし脳内で情報を捌ききれない。そのくせ、こういうおもちゃ箱がひっくり返ったような映画が好きなのだからしょうがないね。特にお奨めはしないけど、前売り券分はきっちり愉しませてくれる作品だ。


『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』 [movie]

●上映時間:98分
●配給:2009クロックワークス=カラー
●スタッフ&キャスト:
  [監督][原作][製作総指揮][脚本]庵野秀明
  [音楽]鷺巣詩郎
  [声優]緒方恵美,林原めぐみ,宮村優子,三石琴乃,立木文彦,山口由里子,清川元夢,関智一,岩永哲哉

■■■
うは。まさかこの地で満員の劇場に入ることになるとは思わなかった。しかも21:40からのレイトショーに、だ。感極まったのか、劇場の運営をしている会社の社長さんが舞台挨拶してたよ。初回は5時から並んでいたそうだ。そりゃ、いつもあの調子じゃ、この満員の劇場は嬉しい罠。

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[ストーリー]
巨大人型兵器エヴァンゲリオンに乗って、未知なる敵、使徒と戦うことを余儀なくされた14歳のシンジ。女性パイロットの綾波レイとともに任務につく彼の新しい仲間、アスカがエヴァンゲリオン2号機とともにやってくる。

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というわけで、歩いて帰れる劇場だから帰り着いた今、これを書いている。正直、内容についてどうこういう見識はないので雑感を申し述べると、お客さんの層が一般的な若い人たちだったことが印象的。県内のヲタクたちが集結しているかと思っていたのに。

一般的、というのはまさに一般的であって、今風の若いあんちゃんから若い女性二人組、そして若いカップルがいたり。当方なんか最高年の層かもしれない。

当方は実は、エヴァをリアルタイムに見ていたわけでもなくTV版を完全に見たわけでもなく(DVDは持っているが途中で挫折)俄ファン層ではある。だから、今日、鑑賞しに来た人たちは、当方のようなファースト・ガンダム世代のようなファースト・エヴァ世代なのかもしれないと思った。

ここまで、この若い層にインパクトを与えたアニメーションということはやはりすごい作品には違いない。まさに彼等のDNAということなんだろう。世代論というのは好きではないが、この世代の里程標ともいうべき作品ということだ。

とはいえ、そうでない世代も、実は意外に愉しめるかもしれない。当方は相当に愉しめた。食わず嫌いはなしにして、40代のおぢさんも劇場に行ってみては。


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