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2016年02月の読書メーター [a day in the life]

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魚川祐司 :『仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か』(新潮社) [book]


仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か

仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か

  • 作者: 魚川 祐司
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/04/24
  • メディア: 単行本
本書はとある人物が推薦していたので手に取る。地蔵というハンドルネームだからでも、坊主頭にしているからでもない。念のため。

内容紹介
日本仏教はなぜ「悟れない」のか――? ブッダの直弟子たちは次々と「悟り」に到達したのに、どうして現代日本の仏教徒は真剣に修行しても「悟れない」のか。そもそも、ブッダの言う「解脱・涅槃」とは何か。なぜブッダは「悟った」後もこの世で生き続けたのか。仏教の始点にして最大の難問である「悟り」の謎を解明し、日本人の仏教観を書き換える決定的論考。
内容は至ってシンプルで、タイトルにあるように「悟りとは何か」を論証する書籍である。そして、これが滅法おもしろいのだ。そのおもしろさが奈辺にあるのか、自分なりに記述してみることにしよう。

まず第一に、立てられた問いが、”仏教の本質である「解脱・涅槃」とは何であるのか”とシンプルであること。そしてそのシンプルな問いに、論理的に筋道を立てて、平明な文章で説明をされているところがいい。よくできた謎解きミステリを読むようなスリリングさがあるのだ。

次に、仏教に関するトリヴィアルな情報が得られるところ。一例として、仏教用語における「苦」は英訳では"unsatisfactioness"いう単語が使われており、我々が一般的に感じる「苦しみ」とは少し異なることだということ。具体的には「終わりのない不満足」であり、それはまた「輪廻転生」という考え方に密接なかかわりがあること。なるほど、と蒙を啓かれる思いがする。

最後に、「余談」として最終章で語られる仏教の歴史が興味深い。ゴータマ・シッダルタが開教した仏教が、様々な人たちに解釈され2500年を経て、何故なおも我々の世界に影響を与え続けているのかが記述されている。なんだか、オープンソースのOSであるLinuxが、様々な派生ディストリビューションを産み出しながら人々に利用されているさまと相似している(そうなのか?w)。

と、いろいろ書き散らかしたが、本書の魅力を伝えきれていないもどかしさがある。あまりの素晴らしさに図書館で借りて読んだにもかかわらず電子書籍で買いなおしてしまったくらいだ。知的興奮を味わえる良書としておすすめしたい。


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『エイリネイト -侵略地区-』 [movie]

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原題: Alienate
監督:マイケル・シャムウェイ
出演:ブレイク・ウェッブ、テイタム・ラングトン
製作年: 2016年
製作国:アメリカ
配給:ファインフィルムズ
上映時間:86分

本作は「未体験ゾーンの映画たち 2016」と銘打たれた、未公開作品ばかりを集めた劇場発の映画祭で上映されたもの。最近はB級の洋画ってあまり劇場にかからずDVDスルーになっちゃうので良い試みだと思う。そんなわけで久々にヒューマントラストシネマ渋谷に出かけたのだった。そういや、前に来たときはシネカノンと言ってたくらいだから、もう10年以上ぶりなのか。

最近の大手のシネコンは確実に稼げるものしかかからないように感じている。客数減でリスクは取れないということだろう。CMやら予告編やらに20分以上かけて観客を拘束し、果てには映画泥棒呼ばわりするんだから、そりゃお客さんは離れていくよね。
解説
妻との冷め切った関係に悩む男デイビッドは、妻と距離を置くため出張に出る。しかし出張先で突如として飛行機が墜落しはじめ、電波塔まで倒壊してしまう。それは、地球に襲来した何者かの仕業だった。デイビッドは一刻も早く自宅へ帰るべく奔走するが…。
さて鑑賞後の率直な感想は、当方の期待とは異なる映画でありました。破綻しかけた夫婦が緊急事態でお互いの大切さを再認識していく、という大枠なんだろうが、そのきっかけがエイリアンの侵略であるという必然性がないところがつらい。

あと、時間軸を前後にシャッフルする構成はありがちなものなんだけど、その手法の必然性もあまり感じられない。かえってストーリーのテンポを阻害している。サイドストーリーにもほっぽらかしの部分があり、概して完成度は低い。

原題の"Alienate"は「〈人・愛情などを〉遠ざける,不和にする」という動詞なので、エイリアンの侵略というストーリーは特に重要視されているわけではないのかもしれない。それにしても米国映画のエイリアンってあの典型的な造作になるのかね。あの見た目が彼らにとってのアイコンなのかもしれない。なんとも消化が難しい映画でありました。


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『ヘイトフル・エイト』 [movie]

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原題: The Hateful Eight
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、チャニング・テイタム
製作年: 2015年
製作国:アメリカ
配給:ギャガ
上映時間:168分

上記を見ていただきたい。168分ですよorz 今回は豊洲のユナイテッドシネマに行ったんだが、10時から始まって終わりは13時ですよ。そんなに長く座っていることができるんだろうか…。
内容
大雪のため閉ざされたロッジで繰り広げられる密室ミステリーを描いた西部劇。タランティーノ作品常連のサミュエル・L・ジャクソンを筆頭に、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーンが出演。全員が嘘をついているワケありの男女8人が雪嵐のため山小屋に閉じ込められ、そこで起こる殺人事件をきっかけに、意外な真相が明らかになっていく。
まず言っておかなければならないのは、この監督だからおわかりになるかとは思うが、「雪の山荘」系ミステリを期待するとそんなことはありません。念のため。とはいえ、こういう舞台劇を想起させるシチュエーションであれば登場人物同士の騙し合いがスリリングなプロット重視の作品か、と思いきやそうでもないので困ったものである。

当方の率直な感想を申し上げるならば、胸糞映画ではある。なるほど、その残虐シーンやフルヌードシーン(しかも男)があることから18禁指定になったことがわかる。決して快を感じさせる映画ではない。中途まではミステリを感じさせる流れから、プロットは突然に破綻するのだ。

ただね、168分でダレることのない映像づくりの手腕はやはりタランティーノならではか。登場人物の長広舌も相変わらず愉しめる。タランティーノが好きな人以外は、なかなかおすすめできない映画であると思った。
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「『為末大の未来対談』出版記念対談」に行ってきた [a day in the life]

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タイトルの対談は六本木ヒルズの49階にあるアカデミーヒルズで開催、当方にはふさわしくない土地柄だが行ってきたのだった。

テーマは、対談本にもあった"AI"である。SFマニアである当方にとってはむしろ身近な話題だが、ここにきてクローズアップされているものでもある。構成は安宅和人氏のプレゼンテーションの30分、為末大氏との対談で30分、聴講者の質疑応答で30分というものだった。

内容に関しては、聴くほうに専念してしまったのでメモを取らなかったのだが、印象に残った部分を箇条書きにして自分の覚書にしておくことにしよう。

  • AIの活用により、定型的な仕事は人間がやる必要がなくなる。
  • また、ディープラーニングという技術でこれまでにないイノベーションが予測される。
  • そんな中で、人間ができる仕事は何か。問いを立てることである。
  • 問いを立てるということは、すなわち課題解決である。
  • 課題解決には2種類ある。トラブルシューティングとあるべき姿を目指すことである。課題解決の本当の意味は後者である。
  • 健康診断ではCDE判定が並んでいるので、それをつぶしていくのが前者。健康診断でCDE判定でも、マ○コ・○ラ○ク○のように素敵であることを目指すのが後者。
全然まとまってないな(笑) 面白い対談でした。為末大氏の仕切りが秀逸です。5,000円はちょっと高いと思ったけど。




森博嗣:『小説家という職業』(集英社) [book]


小説家という職業 (集英社新書)

小説家という職業 (集英社新書)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/06/17
  • メディア: 新書






内容(「BOOK」データベースより)
小説家になるためにはどうすれば良いのか? 小説家としてデビューするだけでなく、作品を書き続けていくためには、何が必要なのだろうか? プロの作家になるための心得とは? デビュー以来、人気作家として活躍している著者が、小説を書くということ、さらには創作をビジネスとして成立させることについて、自らの体験を踏まえつつ、わかりやすく論じる。
Amazonの電子書籍の日替わりセールで安くなっていたのだが、図書館にもあることを発見し借りたもの。299円の利益が出たことになる(?)。

内容はまさに上記梗概を、自分の経験を基に説明する書籍。といっても当方は作家になる意欲も才能もないので、主に興味深く読んだのは著者の出版業界に関する予測だった。中身は読んでいただくとして、概ね当方も意見は同一である。

それにしても、読書家人口はこんなに少ないのかね。当方もそれほど読む方ではないが、一般的な基準からすれば高水準か。2時間弱で読める長めのコラム、といった体の本でした。



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足澤るり子:『展覧会をつくる―一枚の絵がここにくるまで』(柏書房) [book]


展覧会をつくる―一枚の絵がここにくるまで

展覧会をつくる―一枚の絵がここにくるまで

  • 作者: 足澤 るり子
  • 出版社/メーカー: 柏書房
  • 発売日: 2010/10
  • メディア: 単行本

恥ずかしながら、美術一般にはほとんど興味がない。特定の絵画や画家に思い入れもない。美術館に行ったのなんかもう10年以上前か。高村薫の『晴子情歌』の表紙を飾った青木繁の「海の幸」を東京国立近代美術館に観に行ったきり。

内容
イベントの企画者から、絵画の持ち主、作品を運ぶ人まで、さまざまな人々をつなぎながら美術展開催を実現させるコーディネーターという仕事。長くパリに住み、アートの橋渡しをしてきたひとりの女性の目から見えてくる美術展とは。
著者は仏国人と結婚してからパリに住むようになり、離婚後は通訳の仕事などしていたが、あるきっかけから文化事業のコーディネートの仕事をするようになる。第一章では、タイトル通り展覧会に当地の美術館が望む絵をどれだけ希望通りに借りることができるか、そのための交渉過程や輸送のディテールが描かれる。

第二章では、コーディネートの仕事に関わる人々や友人との交流がテーマ。どの世界でも人間関係が重要であることが窺える段だ。個人主義の権化のように思われる仏国人が、意外や浪花節で義理人情に篤いところなど興味深い。第三章では、著者とその母との最後の時間の思い出が描かれる。

当然のことながら、仕事なのだから相当な苦労をしているであろう著者の筆致は、にもかかわらず肩に力の入ったものではなくあくまで軽やかだ。そこには、一枚の絵を一人でも多くの日本の人々観せたいという著者の理念が揺るぎないものだからなのだろう。

仏国風味の洒脱さがありながら、エッセイというよりは随想という言葉が似合う佳品だ。



晴子情歌 上

晴子情歌 上

  • 作者: 高村 薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/05/30
  • メディア: 単行本
 
 
 
 
 

晴子情歌 下

晴子情歌 下

  • 作者: 高村 薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/05/30
  • メディア: 単行本

 


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RHA:MA750 カナル型イヤホンを購入した [gadget]




先日、南伊豆に行ったことはご報告したが、実は彼の地でイヤホンを落としてきてしまったらしい。ジャケットのポケットに入れておいたつもりなんだが、帰りの地下鉄でなくなっていることに気付く。当座はこれも先般ご報告したイヤホンでしのげるのだが、ある程度の品質を持ったものを所有しておきたい。というわけで本製品を購入したのだった。

さて今回選んだのは英国RHA社製のカナル型イヤホンMA750である。前から金属製のハウジングのイヤホンが好きだったんだが、前はデザインの気にいったものが見当たらなかった。Amazonでいろいろ見ているうちに本製品にピピッとくるものがあった。そう、音質ではなくデザイン重視なのだ。とはいうものの各位のレビューを拝見すると、癖のない音を出すイヤホンのようだから試聴もせずに購入を決定。以下に雑感を列挙。

 DSC_0475.JPG DSC_0476.JPG
 ■わりと豪華な箱 ■パカっと開けると中身が見えます
 DSC_0478.JPG DSC_0479.JPG
 ■使わないケースw ■金属製のハウジングがいい

【質感】
期待に違わぬハウジングの質感には満足だ。コードからぶら下げた時にカチカチという音が鳴るのも好き。また、オーディオ機器であることを主張するプラグ部分も、なんだかかっこいい。ケーブルについては絡みにくそうではあるんだが、色とか感触がソフト麺みたいであることはやや興醒めである。実用的ではあるんだけどね。

【使い勝手】
デフォルトのイヤピースが小さいような気がしたので、同梱されていた黒い形状記憶のものに変更したんだけれど、これが大きいのか何だかわからないがずっとしていると痛くなってくる。他の人のレビューを見るとイヤピースが全般的に大きいという意見が多いようで、このあたりは以前から使い慣れているそれを継続使用、というほうがいいかもしれない。ケーブルはやや長めかなという印象。

【音質】
一番肝心な部分で表現力が乏しく申し訳ないと思う。ただ、思うのは多くの人と同じく自然な音を出してくれるということ。どこかがムリに強調されているという印象はなく、とても普通な感じだ。電車などでボケーとしながら聴く際にいいんじゃないか。こればっかりは試聴してから購入してください。当方みたいにデザイン重視ではなく。

【余談】
そういえば「イヤホンをよくなくす人」に紛失をご報告したところ「人のこというからですよー」と言われてしまったww ここは素直に謝っておきたい。もう、天然ボケうっかり者とか言いませんから。でも、よくよく聞くと「次々と」なくしてるみたいだから、当方などまだいいほうだと思ったぞ。


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内田樹、福島みずほ:『「意地悪」化する日本』(岩波書店) [book]


「意地悪」化する日本

「意地悪」化する日本

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2015/12/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
お二人の経歴を見ると、内田樹は知っていたが、福島みずほも東大出身なのね。しかも元弁護士。

内容紹介
思想家と政治家が真剣に語り合ったとき、現代日本を読み解くキーワード、「意地悪」が浮上した。今、戦後レジームのど真ん中に鎮座する権力者が架空のルサンチマンをまき散らし、それに人びとが共振して社会全体の「意地悪」化が進んでいる。こんな日本のままでいいのか? 政治、経済から学問、家族のあり方までを縦横に論じ、私たちの進むべき道を考える。
なかなかきつい内容である。何がきついかというと、悪口を主とした対談だから。いや、これは批判である、という言い方ができるかもしれないが、そこは受け取る個人差もあって、当方は悪口としか思えなかった。

内田氏の主張は、これまでの著作や対談と首尾一貫していていいのだが、ここ最近の政治面への発言はいささか食傷気味。もちろん、危機感を持っての発言なんだろう。でも、当方が氏に期待するものとは違うということですね。この手の対談は、今後は敬遠することにしよう。


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『X-ミッション』 [movie]

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原題:Point Break
監督:エリクソン・コア
出演:エドガー・ラミレス、ルーク・ブレイシー、レイ・ウィンストン、テリーサ・パーマー、デルロイ・リンドー
製作年: 2015年
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:114分

解説
元アスリートの若きFBI捜査官ジョニー・ユタは、エクストリームスポーツのカリスマ、ボーディが率いる超一流アスリート集団への潜入捜査という指令を受ける。ボーディ一味には、そのスキルを駆使した前代未聞の犯罪を実行している疑いがあった。命がけで潜入に成功したユタは、ボーディが犯罪の首謀者なのか、その証拠をつかむために捜査を続けるが、命知らずなアスリートたちと行動を共にするうち、ユタとボーディとの間にも信頼と友情が芽生え始める。
こういう映画って必要だと思う。何も考えずに頭を空っぽにして、小難しいことを考えずに気楽に観るための映画。逆に言えば、凝ったストーリーや深みを期待しちゃいけない。本作に関していえば、常人にはとてもまねのできないアクションシーンの数々を素直に愉しめばいい。ちなみに当方はムササビのような装具で山の上から滑空するシーンが好きだ。

主演のエドガー・ラミレスは『ドミノ 』やら『ボーン・アルティメイタム 』やら『バンテージ・ポイント』などで観ていて、印象に残っていた。今回は初主演となるんだろうか。めでたいことである。


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『オデッセイ』 [movie]

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原題: The Martian
監督:リドリー・スコット
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャスティン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・ペーニャ
製作年: 2015年
製作国:
配給:20世紀フォックス映画
上映時間:142分

142分である。なぜ最近の映画はこうも長いのか。長いのはいいのだが、当方の膀胱はもたないのだ。え? 劇場でビール呑まなければいいって? ごもっともです…。
解説
火星での有人探査の最中、嵐に巻き込まれてしまったワトニー。仲間たちは緊急事態を脱するため、死亡したと推測されるワトニーを置いて探査船を発進させ、火星を去ってしまう。しかし、奇跡的に死を免れていたワトニーは、酸素は少なく、水も通信手段もなく、食料は31日分という絶望的環境で、4年後に次の探査船が火星にやってくるまで生き延びようと、あらゆる手段を尽くしていく…。
公開からかなり日にちが経って鑑賞した。もし鑑賞に迷っている方がいたら、急いで劇場に走ったほうがいい。142分の長丁場を飽かさない秀作である。以上。

というわけで以下は蛇足である。この種の映画にありがちな夾雑物がないことが素晴らしい。たとえば、本作には主人公の家族は一切出てこない。普通ならあるそういった人間ドラマがないことに、作り手の割り切りが見て取れる。

ストーリーはあくまで火星に独り残された男と、彼を救出しようとする人々の姿を淡々と描く。そこにあるのは、ひたすらなポジティブさである。主人公はどんなことをしても生き抜くというような悲壮感はなく、飄々と自分のできることをこなしていく。救出を目指す人々もまた、自分たちのできることをできうる限り実行しようとする。そこに、本作の爽やかさがある。

もちろん瑕疵はある。この長尺をもってしても火星の大地で生き抜くリアリティは出し切れていない。そういう意味では、本作は連続ドラマにすべき題材だったのかもしれない。何日たっても適度にかっこいいマット・デイモンの髪の毛とか。

それでも本作が愉しいのは前述の徹底したポジティブさにある。だから、本作を観ると元気が出てくる。絶望しかない状況にありながら、それでも知恵と工夫と前向きな考え方で生きていけるという希望を与えるからだ。


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篠田節子:『冬の光』(文藝春秋社) [book]


冬の光

冬の光

  • 作者: 篠田 節子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/11
  • メディア: 単行本


著者の作品を読むのは初めてだ。配偶者は好きらしいが。これだけ有名な人なのになぜなのかね。登場人物たちの過酷な運命が予感される内容が多いので、だと思う。そういうのって、年を取ってから読むとキツいのだ。
内容(「BOOK」データベースより)
四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父。企業戦士として家庭人として恵まれた人生、のはずだったが…。死の間際、父の胸に去来したのは、二十年間、愛し続けた女性のことか、それとも? 足跡を辿った次女が見た冬の光とは―
予想通りに、非常に息苦しい小説で愉しんで読めるエンタテインメントではないが、優れた小説にまちがいない。夢中になって読んでしまい、もっとかかるかと思ったら2日で読み切っちゃったよ。

主人公の碧は、父である富岡康宏の死を消化しきれずに、その死の直前に歩いた四国遍路の痕跡を辿っていく。そのうち、小さいながらも様々な不可解な行動を知り怪訝に思うようになる…。章が変わると、もう一人の主人公である康宏自身を中心に、その半生が語られ始める。明記はされていないがおそらくは団塊の世代である。

そこに描かれるのは、典型的な昭和から平成を生きるサラリーマン像であり家族像である。このような人生のありようと、現代社会を対比することが著者のテーマの一つだったのではないか。仕事中心の夫に専業主婦、二人の娘。転勤があり接待があり、バブル時期がありローンの返済がある。ただ、そこで少しだけ異なるのは、友達以上愛人未満ともいうべき女性との関係があった。

主人公の康宏は、人並みの出世欲を持つ普通のサラリーマンとして描かれる。一方で相手の女性は学究の徒であり、自由奔放な考え方を持つ少々エキセントリックな人物である。キャラクタとしては女性の方が立っているのだが、当方は主人公に感情移入してしまった。男として当たり前の欲望を持ちつつ、自分なりのルールを持っているところや、女の勘は恐ろしい的な嘆息を漏らす(笑)ところなど親近感が持てる。

ミステリ的な部分でいえば、そもそもなぜ康宏は自ら死を選んだのかというものがメインだが、他にもビジネスダイアリに記述された「数千円程度の日銭」をどのように稼いでいたのか、お遍路に必要な道具一式をなぜ途中で捨ててしまったのか、などの細かい謎で読者の興味を引っ張る。当方にとっては意外なページターナーだった。

これ以上の言及はネタバレになってしまうので控えるが、ラストで当方は不思議な感動とともに滑稽さも感じてしまった。この種の冷徹さが著者のウリなのかもしれない。著者は広義のミステリ作家というカテゴリで捉えていたが、本書は普通小説に極めて近いテイストである。当方のように食わず嫌いの方がいるならば、ぜひとも手に取ってほしいおすすめ本だ。


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為末大:『為末大の未来対談―僕たちの可能性ととりあえずの限界の話をしよう』(プレジデント社) [book]


為末大の未来対談―僕たちの可能性ととりあえずの限界の話をしよう

為末大の未来対談―僕たちの可能性ととりあえずの限界の話をしよう

  • 作者: 為末 大
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2015/12/17
  • メディア: 単行本




出版社のメールマガジンで、本書の出版記念対談が開催されることを知った。5,000円もかかるのだが申し込むことにした。

というのは、対談相手の安宅和人氏の著書にいたく感銘を受けた覚えがあるから。行くからには、読んでおかねばならない、と本書を購入し読了。来週に開催されるので、レボは後日エントリしたい。
内容(「BOOK」データベースより)
科学技術が進歩するほど人間がそれをどこまで受け入れられるかが問われる。人間にできないことが増えてくればくるほど人間らしさについて深く考えていく必要がある。
さて、本書は科学技術力を中心として斯界のフロントランナーの話を聴くという趣向。それぞれの話は、もう少しで手が届く未来、といった感じで興味深い。キーワードは「人工知能」、「ビッグデータ」、「医療」、「教育」、「自動運転」といったところである。

もちろん、対談で知り得るのは表層的なものなので、詳しく知りたければ各自の著書や類書を手に取れ、ということなんだろう。当方は早速「データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則」を図書館に発注した。

以下になるほどふむむなフレーズを列挙しておきます。

「何を考えなければいけないか」を考えることに、人間の活動はかなり収れんしていく。(安宅和人)
仕事中に集中度が高い人の特徴は見えてきました。(中略)平日と週末で睡眠時間の差が小さいことです。(矢野和男)
(100歳以上の長寿者の特徴として)毎回のお食事にしたって、楽しみにしている方はいますよね。つまり、日常生活のなかでのことを楽しみにしていることだと思います。(新井康通)
私は「大人が子どもの鼻っ柱をへし折る教育」が、これからは必要と思っているんです。(中邑賢龍)

主には研究職にある人々との対談だが、「研究」は、やはり地味でありコツコツとやっていく営為であるということが垣間見えるところも良い。興味が持てない人が無理して読むことはないけれど、知識欲のある人は本書をきっかけにできるのではないか。読みやすいしね。
◎良書です。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

  • 作者: 安宅和人
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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大﨑孝徳:『すごい差別化戦略 ―競合他社を圧倒する「違い」のつくり方―』(日本実業出版社) [book]


すごい差別化戦略 競合他社を圧倒する「違い」のつくり方

すごい差別化戦略 競合他社を圧倒する「違い」のつくり方

  • 作者: 大﨑 孝徳
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2016/01/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


当社には自己啓発を目的とする読書で、読了後に感想文を提出すればその代金を拠出してくれるという有難迷惑有意義な制度がある。それを利用して読書会を開催しなさいという指令が当局より下った。当方がチームの取りまとめ役となり、選書も任された。選んだのが本書である。

理由は二つあって、ご多分に漏れず構造不況業種である当方の居る業界で、いかに差別化を図るかのヒントがあれば、ということが一つ。そして事例集を中心に構成されていることから、普段から読書をしていない人たちにも読みやすいのではないかと思い選んだのであった。
[BOOKデータベースより]
模倣されない意外な理由とは!?25の身近な事例を題材に、価格競争に陥らない、常識を突き抜けた「差別化戦略」の核心を解き明かす。
二つの理由のうち、一目の目的は残念ながら満たされなかったと思う。個々の事例が全社的な戦略としての事例ではなく、個々の局地戦における戦術を紹介しているように感じたから。差別化が、会社そのものではなく個々の商品やブランドの紹介となっているのだ。

もちろん、そこには努力やとことん考え抜いた成果はあるのだが、なんというか腹落ち感が少ないのだ。一番腹落ち感のあるエピソードは、セブンイレブンにおける鈴木敏文氏の考え方だが、それは天才的カリスマ経営者のかじ取りにあるってことだと思ってしまう。

一方で、二つ目の理由である個々のエピソードのおもしろさという面では読みやすく興味深い面がある。ただし、深掘りはされていないのでもっと知りたいという人には物足りないかも。この種の本にありがちな、詳しくは他の本を、という感じになってしまってはいる。

結論としては当方の期待とはすれ違ってしまったということですね。とはいえ、本書をもとにチームでディスカッションせねば。その気になったら内容を紹介します。あー、『砂の惑星』下巻も読まないと…。
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石持浅海:『罪人よやすらかに眠れ』(KADOKAWA) [book]


罪人よやすらかに眠れ

罪人よやすらかに眠れ

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/02
  • メディア: 単行本

『砂の惑星』の下巻に手を伸ばしたところ、図書館から本書が届いたメールが来た。先に本書から読み始めることにしよう。
内容(「BOOK」データベースより)
北海道札幌市、中島公園のすぐそばに不思議な“館”がある。公園と同じ名の表札を掲げるその建物に、吸い寄せられるように足を踏み入れた客の境遇はさまざまだ。「友人と、その恋人」を連れた若者、「はじめての一人旅」に出た小学生の女の子、「徘徊と彷徨」をせざるを得ない中年男性、「懐かしい友だち」を思い出すOL、「待ち人来たらず」に困惑する青年、「今度こそ、さよなら」をするために過去をひもとく女性…。そして彼らを待ち受けるのは、北良と名乗るおそろしく頭の切れる男。果たして迷える客人たちは、何を抱えて“館”を訪れたのか? ロジックの名手が紡ぐ6つの謎。
個人的な趣味だけで申し上げるなら、石持作品は短編集のほうが好きだ。本書もまた例外ではない。札幌市にある中島公園の近隣にある瀟洒なお屋敷。そこにはすらりとした主人と猫か狐のような眼をしたその妻、綺麗な娘や執事やメイド、そして美麗な青年がいて...。

内容としては、「座間味くん」シリーズに通じる安楽椅子探偵もの。主人公役の超然としたところなども共通している。ただ、上記のような梗概から想像されるほのぼのとした日常の謎を解き明かすミステリではなく、「人間の業」をテーマにしたものである。全編に不協和音のように流れる不気味さとか、主人公にみられる「無邪気な悪意」のようなものが怖い。

当方は、探偵が謎を解き明かす謎、というテーマを読み取った。なぜ探偵は謎を解き明かし続けなければならないのか。そしてそこにはどんな意味があるのか。いってみれば「反・探偵」小説ということか。暴かれる謎は、いずれも苦みのあるもので決して爽快な後味ではないものばかりだ。

全編ともに短めで、読み応えについては物足りなさは残るけれど、当方は愉しめた作品集。
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フランク・ハーバート:『デューン 砂の惑星〔新訳版〕 中』(早川書房) [book]


デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (中) (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (中) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: フランク ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/01/22
  • メディア: 文庫

内容紹介
ハルコンネン男爵の策謀により、アトレイデス公爵は不慮の死をとげ、再度アラキスは男爵の手に落ちてしまう。公爵の世継ぎポールは、巨大な砂蟲が跋扈する危険な砂漠へ母ジェシカとともに逃れ、砂漠の民フレメンの中に身を隠すことになる。しかしこの過酷な環境と香料メランジの大量摂取が、時間と空間を果てしなく見通す超常能力をポールにもたらした。彼はフレメンの伝説の救世主、ムアッディブとして歩みだすことに!
さて中巻である。中世絵巻物的に展開した上巻に比し、中巻はジェシカとポールの砂漠脱出行を中心に展開する。この冒険小説的展開は、意外によくできている。また異種族であるフレメンとその文化の細部にわたる設定やアラキスの生態環境の設定など、当時のSF小説にはみられないものだったに違いない。

砂漠における母子のサバイバルシーンは、なかなかに冒険小説しておりリーダビリティが高い。実際、上巻に費やした時間の半分ほどで読み切れる。大きな意味でのクロスジャンルノベルの先駆けだったのかもしれない。小道具の設定なども見事だ。

一方で、わりとあっさりポールが超常能力を得るところなど、ご都合主義的な展開もある。このあたりは下巻末に収録されている水鏡子氏の解説に大いにうなづける。

繰り返しになってしまうけど、当時としては新しいタイプのSF小説だったろう。生態学や文化人類学などの学問的知見や冒険小説的側面、神秘主義的なヴィジョンなども含めて。

それでは、下巻を手に取ることにしよう。


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EPO Valentine’s Party 「愛を~LOVE IS ON」@銀座に行ってきた [a day in the life]

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出演/EPO (Vo) 沢田穣治(B)秋岡欧(G & more)渡辺亮(Perc)

久々のLIVE鑑賞である。この前に行ったのは、やはり同じEPOで場所は鎌倉だった。今日は銀座ということで比較的近場である。ケネディハウスというライブハウスで、以前もしかしたら来たことあるかも、という既視感があった。
♪EPOからのメッセージ♪
ケネディハウス銀座に再び登場。
「愛を~LOVE IS ON~」
忘れられない「Saint Valentine’s Day」
ひとりでもふたりでも楽しめる
どなたにとっても特別な夜をお届けします。
というわけで、一曲目がボサノヴァ風(?)アレンジの「う、ふ、ふ、ふ、」である。この時点で僕の世代はうれしくなってしまう。その他、「DOWN TOWN」、「音楽のような風」などが前半パート。

休憩をはさんで後半は、スタンダードのカヴァーやブラジルの曲など。ラストは「土曜の夜はパラダイス」、アンコールは最新アルバムの『愛を〜LOVE IS ON〜』から「もう一度恋をしてみようかな」。昭和歌謡を意識して作られたとのことで、曲が始まるまでのCMテーマの即興演奏などとても愉しい。

全体的に当方のいちばん好きなアルバム『WICA(ウィカ)』を思わせる雰囲気だった。なるほど、パーッカショニストの渡辺亮が参加してたみたいだ。

演者も観客もともに楽しめるLIVEを目指したとのこと。目標は達成できてましたよ。

愛を~LOVE IS ON~

愛を~LOVE IS ON~

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
  • 発売日: 2015/09/16
  • メディア: CD





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南伊豆に来ている [travel]

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思い立ったが吉日、ということで南伊豆の休暇村に宿泊している。休暇村はどこに行ってもお部屋にネット環境はなく、せいぜいロビーで無線LANが利用できるという程度。

なので、当方のメインモバイルマシンであるSurface3の出番である。キャリア経由ではない単体で購入し、@niftyの格安SIMで運用している。十分な回線速度ではないらしいが、当方が使う程度には問題なし。

特に観光するつもりもなく、何しろ下田あたりは5回は来ているので、食べて呑んで散歩してのんびりお風呂につかれればいいのだ。

 IMG_20160213_132806.jpg IMG_20160213_133712.jpg

■おなかが空いたので腹ごしらえ。
網元料理 徳造丸でお刺身と
ミニ丼セットをいただく

■金目鯛の煮つけがおいしい
バスで休暇村に移動。まったく観光はしない(笑)

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■弓ヶ浜はいつ来ても素晴らしい

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■お部屋は和洋室でした

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■晩御飯はバイキング
  また太るぞ…
 
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 ■お宿の粋な計らいで夜桜見物

さて、もうひとっ風呂浴びて寝るかなあ。


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『キャロル』 [movie]

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原題: Carol
監督: トッド・ヘインズ
出演: ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ
製作年: 2015年
製作国: アメリカ
配給: ファントムフィルム
上映時間: 118分
解説
52年、冬。ジャーナリストを夢見てマンハッタンにやって来たテレーズは、クリスマスシーズンのデパートで玩具販売員のアルバイトをしていた。彼女にはリチャードという恋人がいたが、なかなか結婚に踏み切れずにいる。ある日テレーズは、デパートに娘へのプレゼントを探しに来たエレガントでミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われてしまう。それ以来、2人は会うようになり、テレーズはキャロルが夫と離婚訴訟中であることを知る。生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズは、キャロルから車での小旅行に誘われ、ともに旅立つが…
こりゃ困った。その良さがまったくわからない映画は久しぶり。愉しめなかったわけじゃない。配偶者は意外に面白かったと言ってるし。

そもそもが、パトリシア・ハイスミスの原作だと知っていたので、底意地の悪いサスペンス映画を意識して行ったのだ。そこで、正統派のメロドラマを観せられちゃったので、ある種の期待外れになったということではある。

女優陣の演技は素晴らしい。ケイト・ブランシェットなんて静かながらも迫力のある演技で圧倒的である。ルーニー・マーラは今回初見だが、30歳にして少女のような趣がありよろしいと思われる。

どちらかというと、女性向けの映画なのだろう。男性にとっては、ストーリーを愉しむというよりは二人の女優の演技合戦を堪能する映画といえるかな。

◎原作本です。

キャロル (河出文庫)

キャロル (河出文庫)

  • 作者: パトリシア ハイスミス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫


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『デューン/砂の惑星』 [bd]


デューン/砂の惑星 日本公開30周年記念特別版 Blu-ray BOX

デューン/砂の惑星 日本公開30周年記念特別版 Blu-ray BOX

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: Blu-ray

原題: Dune
監督: デビット・リンチ
出演: カイル・マクラクラン、ショーン・ヤング、マックス・フォン・シドー、スティング
製作年: 1984年
製作国: アメリカ
上映時間: 137分

にわかに「デューン/砂の惑星」のマイブームである。以前から観ようとは思っていたのだが、なんとなくレンタルでも観る機会がなく30年が過ぎてしまった。今回はリマスターかつBru-rayということで思い切って購入。Amazonでお昼に頼んだら夕方には届くという。Amazonプライムおそるべし。
解説
映像化不可能といわれたフランク・ハーバートの大長編SF小説を、前作「エレファント・マン」で成功をおさめた鬼才デビッド・リンチ監督・脚本により映画化。“デューン”と呼ばれる砂の惑星アラキスを舞台に繰り広げられる勢力争いを壮大なスケールで描く。後にテレビ放映用にナレーションと未公開シーンを加えた長尺版も製作されており、日本では「デューン/スーパープレミアム[砂の惑星・特別篇]」というタイトルで紹介されている。
観て驚いたのが、全編ほぼ原作に忠実なところ。いや、冒頭に航宙ギルドの飛行士が登場したりとか微妙に異なる部分はあるんだけれど。それでも、上巻までのストーリーはそのままトレースされている。

当然のことながらSFX技術をはじめとして古さは否めない。あれだけのヴォリュームのある原作を137分にまとめようとして駆け足になってしまっている部分もあり、全体的にダイジェスト版みたいになっていることもある。戦闘シーンの演出なんて、なんだこれと笑ってしまうようなありさまだ。

でも不思議に137分を集中して観ることができた。うまく言えないけれど、原作者のフランク・ハーバートと監督のデビット・リンチの方向性がかなりの割合で一致しているのではないか。例えば、ということであればそのグロテスク志向だとか。

当時は25歳くらいだったはずのカイル・マクラクランの美青年っぷりといったらすごい。『ブレードランナー』以外で初めてショーン・ヤングを映画で観たのだが、やっぱりすごい美人だったんですね。スティングはかっこいいのに、あまり見どころがないのが残念なところ。

砂虫の造形が後世に大きな影響を残すなど、不思議なエポックメイキングになっている作品だけに観ておいて損はないと思う。興味がある程度の方はレンタルで(リマスター版でぜひ)。お好きな方は購入してもいいかも。


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フランク・ハーバート:『デューン 砂の惑星〔新訳版〕 上』(早川書房) [book]


デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: フランク ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/01/22
  • メディア: 文庫


デューンのシリーズを読んでいたのは、たしか大学生くらいの頃だから実に四半世紀ぶりの再読である。シリーズが進むにつれて、より難解になり読む人を選ぶ小説だと感じた記憶がある。 

【内容】
アトレイデス公爵は皇帝の命を受け、惑星アラキスに移封されることになる。過酷な砂漠の惑星アラキスは、抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の産地である。宿敵ハルコンネン家に代わりそこを支配することは、表面的には公爵家に大きな名誉と富を約束する。皇帝やハルコンネン男爵の罠だと知りつつ、公爵は息子ポールの未来のため惑星アラキスに乗り込むが…
これまで当方は、上中下巻の分冊であっても、すべて読み切ってからレビューしていたのだけれども、今回はその原則を破って、分冊ごとにエントリしてみる。じっくりと読んでみたい小説だから。

当方が申し述べるまでもなく、ストーリーライン自体は王道であり凡庸だ。移封された善玉貴族と悪代官めいた敵役、貴族の流麗な息子、一時的な撤退と味方を得ての反攻と勝利…。神話や昔話を思わせる正統派の構造を持つ物語だ。

そこに新しさを見出すとすれば、文化人類学的・生態学的な見地でアラキスの文化や動植物を語る著者の手際だろう。ただ、21世紀の現在ではありふれたものとなってしまっていることは否めない。

ところが、当方には実に愉しく読めてしまった。どこがというと、それは登場人物たちがいずれも超人めいた頭の回転の速さを持っており、それを駆使して相手を分析したりいかに裏をかくか、どのような戦術・戦略を立てるかに腐心するモノローグ群である。

それは繰り返される「計画の中の計画の中の計画」、「フェイントに秘めたフェイントに秘めたフェイント」などの登場人物のフレーズにもよく表れている。いってみれば、どちらが相手の急所を少しでも早く捉えるかを競う知恵比べ小説であるのだ。このあたりの機微は、一定程度の年齢にならないと、そのおもしろさが理解できないのでは、と思う。

さて、本書は序盤ということになる。各登場人物たちの紹介という位置づけで、いずれも一癖ある人たちばかり。これからどうなるかたのしみである。再読だけどね。
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関川夏央:『寝台急行「昭和」行』(中央公論新社) [book]


寝台急行「昭和」行 (中公文庫)

寝台急行「昭和」行 (中公文庫)

  • 作者: 関川 夏央
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/12/19
  • メディア: 文庫



電車に乗るのが好きだ。blogをしばらく休んでいた間にも、鹿島臨海鉄道・ひたちなか海浜鉄道・大井川鐡道・福井鉄道・富山ライトレールなどいろいろ乗っていたのだ。大井川鐡道では、SLにまで乗っちゃったよ。


内容(「BOOK」データベースより)
鶴見線、寝台急行「銀河」、三岐鉄道、只見線、岩泉線…。寝台列車やローカル線、路面電車に揺られて、懐かしい場所、過ぎ去ったあの頃へ。日本の近代化とともにあった鉄路の風景に思いを馳せ、含羞を帯びつつ鉄道趣味を語る。昭和の記憶を辿る、大人の旅行記。
冒頭部分で寝台特急銀河について語られる。これは懐かしい。当方がまだ30代はじめのころ、本来なら大阪に前泊で行くところを、わざわざ銀河に乗って朝に着くという無茶をやったことを思い出した。寝台特急ってほんとになくなっちゃったもんな。

面白いのは、著者が一貫していわゆる「鉄っちゃん」を同族嫌悪しているということ。中盤で語られる只見線の旅などは相当に鉄っちゃんしてるのにね。そういう気持ちはわからないでもないけれど。

また、鉄道紀行作家の宮脇俊三に関する記述も興味深い。もともとは中央公論社の編集者であり取締役にまで上り詰めた人だというから少し驚いた。編集者としても一流だったようだ。当方は一冊も読んだことはないんだけれど、少し読んでみたくなる上手い紹介のされ方をしている。

そして、終盤ではお得意の近現代の小説や映画作品と鉄道を関連付けた文化論が語られる。このあたりが著者の真骨頂だろうし、やはり一番面白く読める部分だと思う。小林秀雄と坂口安吾の不思議な友情のエピソードなど、この手の本から興味を持って、そこから幅を拡げていくという読み方ができる。基本的にはエッセイ集なので、電車通勤の隙間時間にちょこちょこ読み進められます。
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『エージェント・ウルトラ』 [movie]

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原題: American Ultra
監督: ニマ・ヌリザデ
出演: ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、トファー・グレイス、ジョン・レグイザモ、ウォルトン・ゴギンズ
製作年: 2015年
製作国: アメリカ
配給: KADOKAWA
上映時間: 96分

今年に入って3回目の新宿ピカデリーである。職場から一本で行けることと新宿三丁目駅から自宅へ一本で帰れることがメリット。暇つぶしに近くのプロントでビールが一杯呑めるのもいい。一階に無印良品が入っているのもいいな。
【あらすじ】
片田舎のコンビニでバイトをしているダメ青年マイク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、一緒に住んでいる恋人フィービー(クリステン・スチュワート)とハワイ旅行に出て結婚を申し込もうと決意する。だが、出発前にパニック発作を起こして旅行は中止に。ある日、彼は店に乱入してきた暴漢たちを無意識のまま瞬殺してしまう…。
意外や意外の拾い物である。まったく期待してなかったことも一因だけれど愉しめたのだ。近年では珍しい100分を切る上映時間のこの作品は、コンパクトかつスピーディーな展開が売りだと思う。ストーリーが動き始めてから上映時間と同じ時間が物語にも流れている感じだ。

一応、当ブログでのあらすじ紹介は上記程度にとどめているが、できるだけ予備知識なしに劇場へ行ったほうがいいと思う。ストーリー自体は、実は「記憶を失った男の闘い」を描いた三部作のパクリオマージュであるからだ。また中心となるアイデアも(以下ネタバレ白文字反転)MKウルトラ計画だったりと、新しさは全くない。

それでも愉しめたのは、ハードなアクションシーン(けっこう血がドバドバです)と時折挟み込まれるコメディタッチの演出とのコントラストが鮮やかだから。なんだか、真面目な顔して冗談を言っているような作風なのだ。

三枚目だとばっかり思っていたジェシー・アイゼンバーグが意外に男前であること、今回初見のクリステン・スチュワートがかなりの美人であることもよろしかった。何も考えずに頭を空っぽにして観るエンタテインメントとして上出来な作品。
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中田亨:『「事務ミス」をナメるな!』(光文社) [book]


「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)

「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)

  • 作者: 中田亨
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/01/18
  • メディア: 新書



本書を手に取ったのは、イヤホンのレビューに登場した「イヤホンをよくなくす人」から、当blogに再登場したいとの要請があったためである。実はその人はイヤホンだけでなく、ATMからお金を引き出してお金を取らずに立ち去ってしまうなかなかの天然ボケユニークな人物である。

それって上記取り消し線部分ではないか、と訊くと、「断じてそんなことはないです! 人に言われても否定しますから!」と、その答え自体もなかなか天然ボケユニークではあり笑ってしまったのだった。

そういったエピソードを防止するためにはどうしたらいいか、という観点から選択されたのが本書。本当は同じ著者のヒューマンエラーを防ぐ知恵 ミスはなくなるか が適切かな、と思ったのだけれど、とっさに手に入らなかったのと、従前から本書には注目していたためのチョイスである。
内容(「BOOK」データベースより)
現代は「うっかり」が通用しない社会である。コンピューターと通信技術の進歩が諸刃の剣となり、間違える時もボタン一つで一瞬のうちに大損害を出せるようになってしまった。事務作業者には、今までと比較にならないほど高い信頼性が厳しく求められている。そもそも工業系の会社は、事故防止の努力を長年続けており、知識と経験を積んでいるのだが、それに比べれば文系の会社の方はミスへの免疫が弱い傾向にある。本書では、新しい視点から「事務ミス」を分析しなおし、ミスや事故が絶えない会社を「ミスに強い組織」に変える具体策を提示する。人はなぜミスをし続けるのか、ミスを防ぐ上で注目すべき力とは何か、さらに、事務ミスを防ぐポイントとして、「手順」や「書式レイアウト」「報告」「通達」「マニュアル」等をどう見直すか、などを、具体例をあげながら紹介する。
一読感じたのは、少々生硬な文章で理解するのにすぐには消化できないというもの。じっくり読まないといけない、ってことですね。読み飛ばすような内容でもないし。

本書は大きく二部構成となっており、第一部がヒューマンエラーが発生する理論を解き明かすもの、そして第二部がそれらをどうやったら改善できるかという実践編である。

さて、本来なら内容をレビューしなければならないのだろうが、実践編の考え方がATMのお金忘れ防止に役立つかどうかを、今回は検証してみたい。本書によると、ミスの解決は「6つの面」から考えるのだそうである。以下の表はその6つの面と、それに対応した具体策を思考実験したものである。

解決方法 具体策
①しなくて済む方法を考える ・お金をおろすという行為自体をやめる。クレジットカードやデビットカードを利用し現金を持ち歩かない
②作業手順を改良する ・ATMでお金をおろす際は必ずマニュアルを持ち歩き、指差呼称などを実施しエラーを極小化する
③道具や装置を改良する、または取りかえる ・最新式のATMでおろす。(おそらく)最新式のものはお金を取り忘れると音で警告してくれる
④やり直しが効くようにする ・一度、作業を途中まで進ませ中途で取り消し。気息を整えた後に再度トライしお金をおろす(やや強引)
⑤致命傷にならないための備えを講じる ・最初に千円だけおろす。その後、取り忘れがないのを確認して、必要な金額をおろす
⑥問題を逆手にとる ・もう、お金を使う生活はしない。飲み物は持参、お昼ご飯もお弁当。外食はなしでお友達と遊んだり洋服を買うのもあきらめる。どうしてもの時は①の方法を併用する


いささか強引な部分もあるが、以上のような具体的取組みとなりそうだ。ただ、どうなんだろう、こんな苦労までしてATMでお金を忘れたくないということが現実的なんだろうか。努力の方向が間違っているような気がしてきた。

実は本書には、ATMでお金を忘れないための仕組みに関しての記述がある(爆) 結論だけここに記すと、一連のシークエンスの最後にお札を出すということにすればいいと書いてある。まずカードを取って次にお金を取る、って一連の流れですね。これはカードとか通帳を忘れがちな場合が多いからの対策であって、お金を忘れてしまうんじゃ、それじゃ対策のしようがないじゃないか…。

というわけで○○○さん、有効な回答は出せませんでした。いずれ天然ボケうっかりが、どのような理由で発生するかという脳のメカニズムに関する本を読んでみたいと思う。どっとはらい。


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『残穢』 [movie]

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原作:小野不由美
監督:中村義洋
出演:竹内結子、橋本愛、佐々木蔵之介
製作年:2015年
製作国:日本
配給:松竹
上映時間:107分

今日は何の日? ファーストデイ、ってことで新宿ピカデリーに赴く。仕事帰りに映画館なんて何年ぶりだろう。ほんとに忙しかったもんな、この数年。
【解説】
小説家の「私」に、読者である女子大生の久保さんから届いた一通の手紙。「住んでいる部屋で奇妙な音がする」とい書かれたその手紙に、好奇心から「私」と久保さんが調査を開始する。そこで明らかとなったのは、その部屋の過去の住人たちが転居先で自殺や無理心中、殺人などさまざまな事件を引き起こしたという事実だった。彼らは、なぜその部屋ではなく、さまざまな別の場所で不幸に遭ったのか。「私」たちは、ある真相にたどり着き、さらなる事件に巻き込まれることとなる。
結論から申し上げると、拡げすぎた風呂敷をうまく畳めなかった、尻つぼみになってしまった印象。結末に納得がいかないのだ。

ストーリー自体はとても愉しめた。恐怖の大元を論理的にたどっていくプロット(このあたりは『リング』の二番煎じ的なところはあるが)や、ドキュメンタリタッチの演出は不思議なリアリティを醸し出している。このあたりは、原作が「ドキュメンタリホラー」と銘打っているので、いずれは読んでみたいと思っている。

主人公の作家役の竹内結子は、すっとぼけた作家役を好演している。佐々木蔵之介は、あなたの顔の方がホラーなんじゃないか、というほど不思議な怪演をみせてくれる。

そういえば、エンドクレジットが始まっても席を立たぬ方が良いです。いや、やっぱり結末に納得は行かないんだけどさ。
◎原作です。

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: 文庫


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