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横田増生:『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(朝日新聞出版) [book]

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム (朝日文庫)

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム (朝日文庫)

単行本を購入して読んだのに、意識的に再読してしまった。というのは、文庫版である本書の第二部にあたる部分が書き下ろしだったからだ。こういうときに電子書籍で出版されれば場所をとらないで済むのに、と思う。とはいえ、再読とはいっても、中年期に入ってからの記憶の去り行くスピードは著しく、意外に愉しく読めてしまったのは痛し痒しだ。


内容(「BOOKデータベースより)
アマゾンジャパンの物流倉庫に、ひとりのジャーナリストが潜入する。厳しいノルマとコンピュータによる徹底的な管理。そしてアマゾン社員を頂点とする「カースト制度」のなか、著者が目にした「あるもの」とは…。驚異的な成長の裏に隠された真実に迫る。

で、初めて読んだときに感じた違和感は、再読時にも感じたことを申し述べておかねばならない。すなわち、本書のテーマのひとつにアマゾンに潜入して同社の非情な労務管理体制を暴露するということがあるようなのだが、その点で、「これが非情か?」と感じたことである。

こういっちゃなんだが、本書で描かれている程度の労働はある意味ではなまっちょろいものと思えるのだ。当方は大学時代にアルバイトでファミレスのコックさんとして4年間働いたが、あのときの凄まじい状況に比べればなんてことはない、という感じだ(非情、というよりはキツい、ということだが)。ほんと、仕事で追われる夢で魘されたくらいなのだから。

一方で、その時分では厳しく管理された覚えはなかったし、ほんのちょっとしたことぐらいなら自分の裁量で動けたことはある。あるいは、最終的には朝の時間帯ではアルバイトの癖に一人だけで厨房を任されたりした。そう、時給は安かったけれど、働き甲斐はあったのだ。

本書で描かれる労働の現場が、パート/アルバイトにとって働き甲斐だとか自己の裁量とあまり関係ない職場であるということは、確かに「格差」を感じさせる部分ではある。でもね、それゆえにアマゾンの流通センターが非人間的な現場であるというような筆致に違和感を覚えたのだ。

と、そういった文句を別にすれば、著者の行動力や調査力には舌を巻く。何気ないアルバイト間の情報から同社の売上を推測したりする場面なんかは秀逸なシーンと思う。読みやすくわかりやすい文章ですいすいと読めるところも良い。第二部におけるマーケットプレイスの動向などは初耳のことも多く、単行本で読んだ人も再読してみて欲しいという一冊。


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