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夢枕獏:『天海の秘宝<上・下>』(朝日新聞出版) [book]

天海の秘宝(上)

天海の秘宝(上)

天海の秘宝(下)

天海の秘宝(下)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/07/07
  • メディア: 単行本

昔と比べて網羅的に読むことはなくなってしまった著者の作品。その大きな理由のひとつに、なかなか完結しないシリーズが多いことがある。前巻のストーリーをまったく忘れてしまっている場合が多いし、何巻まで買ったのかもあやふやになるという弊害がある。

「大帝の剣」シリーズなんて、完結させる気はあるのだろうか。本書を手に取ったのは「大帝の~」で、異形の剣士として描かれる宮本武蔵がどのように描かれているかを確認したいということもあったのだった。


内容(「BOOK」データベースより)
時は宝暦年間、江戸の街に「不知火」を名乗る凶盗一味が跋扈し、“宮本武蔵”と名乗る辻斬りも出没していた。本所深川に住む堀河吉右衛門は、奇妙なからくりを作り、子供たちに法螺右衛門と呼ばれて慕われていた。そんなある日、法螺右衛門は天才剣士・病葉十三から人の言葉をしゃべる奇妙な黒い犬が、武士を噛み殺したという話を聞かされる…


「凶盗一味の跋扈・宮本武蔵を名乗る辻斬り・しゃべる犬」の三題噺をどのように展開させ収斂させるかの興味で、いつものようにページを捲る手を止めさせない著者の手腕は素晴らしい。飄々としたトリックスター的人物や復讐鬼などのキャラクタ造型はお馴染みのもので、パターンが一緒といってしまえばそれまでだが、現代人が語る説話という捉え方をすれば気にならない。

興味深かったのは、そのトリックスター=主人公のからくり法螺右衛門こと堀河吉右衛門のキャラクタが上巻の終盤あたりで、あれ、と思うくらい変貌すること。当方は、連載時のこのあたりで著者に物語の結末が見えたたのではないか、と推測している。

以降、天海の秘宝より、主人公に関する謎が読者の興味の中心となるところが、著者の作品としては従来と違うと感じられる部分。そして、その謎に対する答えが、ある小説ジャンルに越境していくために人によっては評価が分かれるに違いない。山田正紀作品を読み慣れている当方にとってはそれほど違和感はなかったが、著者の作品としては怪作として分類されるような作品だと思う。


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