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香納諒一:『熱愛』(PHP研究所) [book]

熱愛

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内容(「BOOKデータベースより)
刑事くずれの探偵・鬼束啓一郎は、ヤクザの次男坊・仁科英雄に依頼され、謎の殺し屋“ミスター”を探すことになった。息子と妻を喪った過去に苦しむ鬼束は、英雄・大輝兄弟とミスターの正体を探るうち、裏社会の抗争に巻き込まれていく。やがて絶体絶命の窮地に立った鬼束と英雄は…。謎の殺し屋を追う元刑事、深い闇に沈んだその心に救いはあるか。男たちの魂の絶望と再生を描く渾身のハードボイルド長篇。

半年ぶりの著者の新作を見逃していた。あまり書店では見かけないんだよなあ。今回は出版社がPHP研究所だし。というか、最近のPHP研究所はエンタテインメント路線にも幅広く手を拡げているのだね。

さて、読み終わってから感じた突っ込みどころを幾つか。まず、設定や主人公をはじめとした人物造型がいかにも類型的であること。主人公である妻子を亡くし落ちぶれた元刑事とか、今ひとつ冴えない暴力団の組長の息子とか。ありふれすぎているといってしまえばその通り。

次に気になったのが暴力団の息子の弟の存在(正確には三男)。ストーリーを進めるうえで必要だったにせよ、あれだけの卓越した技術を持っているという設定はリアリティに欠けるきらいがある。

最後に、矢鱈と説明的な登場人物たちの科白。著者らしい複雑なプロットをわかりやすく解説するためということだろうが、なんだかね、よくしゃべりすぎてハードボイルド小説という看板には相応しくないように思う。

プロット自体も著者のもっとも有名な作品のひとつ(『 幻の女 』ではない)のポジとネガみたいな関係に思える。その小説は荒唐無稽の一歩手前で踏みとどまって危うくバランスを保っていたが、本作では少しばかり無理を感じたというのが正直なところ。

それでも、結局は数日で読了させてしまう著者のストーリーテリングは相変わらずで、いろいろモヤモヤするところはあるにせよつまらないということはないのはさすが。自信を持って人に奨めるというわけにはいかないが、当方にとってはあらためて著者の小説が好きなんだということがわかったのであった。


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