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西村健:『任侠スタッフサービス』(集英社) [book]

仁侠スタッフサービス (集英社文庫)

仁侠スタッフサービス (集英社文庫)

著者の作品は初読。というか、名前さえも知らなかった。にもかかわらず手に取ったのは、これまた当方の愛読するブログ"読書記録, et.al"に紹介されていたから。これを読むと、自分が読書家なんて思っていたのは浅はかと言うくらいの読書量の人で、世の中にはこんな人もいるのかと嘆息してしまう。


内容(「BOOKデータベースより)
旅行代理店の臨時求人に応募してきた派遣会社「倶利迦羅紋々スタッフサービス」。信じられない好条件に代理店社長の飯田は即決するが、正体は何とヤクザのフロント企業。手を変え品を変え7人の男女を巻き込んだ倶利迦羅社の目的は一体? 戦々恐々とする面々に警察も加わり、福岡を舞台に三つどもえのコン・ゲームが始まった。怒涛のノンストップミステリー、文庫オリジナル。

本書は二部で構成されていて、雑誌に連作のかたちで発表された短編群と、それを受けての文庫書き下ろし部分というもの。おもしろかったのは特に短編部分だ。登場するのはほとんどが市井の一般人。彼らが個性豊かに描かれていていることや、ヤクザに取り込まれていくまでのプロセスがスリリング且つユーモラスであることなど、語り口は快調だ。

特に良いのは登場人物たちが話す博多弁。大阪弁や京都弁は読んだり聞いたりすることは多いし、最近では『血の冠』が弘前訛りだったが、博多弁ははじめて。出張で何回か博多に行ったことはあるが、こんな口調なんだな。というくらい印象的なものになっている。

そして、後半部で描かれる警察官たちの振る舞いもまた興味深い。キャリアとノンキャリアの攻防や出世競争などが、労働省の官僚であった著者ならではのシニカルな視線で描写される。その他、ヤクザの世界のトリヴィアなども興味深い。そんな世界を描きながらも、一貫して飄々とした筆致が好もしく思える。

こんなにやさしいヤクザがいるのか、とか登場人物や読者に仕掛けられた謎にパンチが欠けるきらいはあるが、娯楽小説として充分に愉しめる内容だ。十年後まで読み継がれる小説ではないにせよ、良い意味でkill timeできる小説としてお奨めすることができる。


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