So-net無料ブログ作成
検索選択

ジャック・カーリイ:『百番目の男』(文藝春秋) [book]

百番目の男 (文春文庫)

百番目の男 (文春文庫)

当方の愛読するblogのひとつにuncle_mojoさんの「暢気倉庫通信」がある。主に海外エンタテインメントをレビューされているのだが、紹介のされ方が絶妙で、とにかくその本が読みたくなるという魔術的な文章を書かれる。内田樹が「良い書評とは、その本をうまく紹介している書評のことだ」という主旨の発言をしていたが、まさにそのお手本のようなblogだ。


内容(「BOOKデータベースより)
連続放火殺人を解決、異常犯罪担当部署に配属された刑事カーソンには秘密があった。誰にも触れられたくない暗い秘密だ。だが連続斬首殺人が発生、事件解決のため、カーソンは過去と向き合わねばならない…。死体に刻まれた奇怪な文字に犯人が隠す歪んだ意図とは何か。若き刑事の活躍をスピーディに描くサイコ・サスペンス。


本書もまた、同blogにて紹介されていた一冊で、レビューを読んだ当方は早速購入したのだった。だから以下のエントリを読んでいただければハナシはそれで済んでしまう。

どうです? 読みたくなるでしょ?

さて、付け加えることは多くないが、当方も若干の雑感を申し述べておくことにしよう。まず、サイコサスペンスと謳われてはいるものの、本書の大枠はバディ・ムービーの影響下にあるのではないかと思う。主人公のカーソン・ライダーと先輩のハリー・ノーチラスの両刑事の関係には、『 リーサル・ウェポン 』のリッグスとマータフのそれを思わせるから。

また、探偵役にはとある有名な小説作品とそれを原作にしてヒットした映画のパク……ゴホゴホ…オマージュと思われる部分があることから、著者は80年代の映画が好きなのではないかと推測している。

そんなブリコラージュのような小説ながら読み捨てのB級サスペンスに堕していないのは、脇を固める登場人物たちの魅力的なところ。女性検死科医とその女性上司や、署内政治では敵方の警察官たちを含め実にいきいきと描かれている。特に当方は主人公の上司と元相棒がお気に入り

あとがきで訳者が記している「全体を包む爽快さ」は上記のような要素もあってのことだろう。また、中盤を過ぎてからのストーリーテリングの冴えも素晴らしく、珍しく夜中の2時近くまで読むことを止められなかった。描かれる事件やあっとびっくりの結末も含め、格調高いミステリではないかもしれないけれど、読む価値のある快作/怪作だ。


コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。