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2010年7月の読書メーター [a day in the life]

7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2306ページ

経営戦略を問いなおす (ちくま新書)経営戦略を問いなおす (ちくま新書)
読了日:07月31日 著者:三品 和広
夏色ジャンクション夏色ジャンクション
読了日:07月20日 著者:福田 栄一
月神祭 (トクマ・ノベルズ)月神祭 (トクマ・ノベルズ)
読了日:07月14日 著者:夢枕獏
この国。 (ミステリー・リーグ)この国。 (ミステリー・リーグ)
読了日:07月11日 著者:石持 浅海
魔法使いの弟子たち魔法使いの弟子たち
読了日:07月03日 著者:井上 夢人
グーグル秘録グーグル秘録
読了日:07月02日 著者:ケン・オーレッタ

読書メーター
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『ラスト・ブラッド』 [dvd]

ラスト・ブラッド スペシャル・エディション [DVD]

ラスト・ブラッド スペシャル・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD

原題: Blood the Last Vampire
監督: クリス・ナオン
脚本: クリス・チョウ
音楽: クリント・マンセル
出演: チョン・ジヒョン、小雪、アリソン・ミラー、リーアム・カニンガム、J・J・フェイルド、コリン・サーモン、倉田保昭
製作国: 2009年香港・フランス合作映画
上映時間: 91分
映倫指定: R15+
配給: アスミック・エース


ストーリー
プロダクションI.Gのアニメ「BLOOD THE LAST VAMPAIRE」を、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン主演で実写化。16世紀から400年に渡って続いてきた人間と“オニ”と呼ばれる吸血鬼たちの戦い。日本刀でオニたちを斬る謎の少女サヤは、在日米軍基地で発生した殺人事件の陰に究極のオニと呼ばれる“オニゲン”の存在を感じ、基地内のアメリカ人学校に潜入するが…


小説でも映画でも、外国人からみた日本が描かれる作品は、どうあっても何かしらのトンデモ要素がある。そんな味わいが大好きだ。それは、当方のような日本人も諸外国をなんらかのフィルタを通してみているのと一緒なわけだ。どんなに世界経済がグローバル化しようとインターネットが隅々まで行き渡ろうと、そのあたりのギャップというか誤解というか、それはなくならないだろう。

本作で描かれる日本もまたしかり。冒頭の地下鉄シーンでは、どうみても丸ノ内線の車両が終点の浅草に着こうとしている。 というか、いくら夜中でも空きすぎだよ、あの地下鉄。また、主人公のサヤが隠れるホテルが「トゴシギンザ」にあったりとか、あのへんは住宅街と言っていいじゃないだろうか。そのあたりのギャップがおもしろい。もちろん、わざとやっているということも考えられるが。

ストーリーは至ってありがちな、ヴァンパイアと、その人間のハーフとの因縁復讐劇だ。チョン・ジヒョン演ずるサヤは、どうやら数百年を生きる不死身に近い存在。究極のオニたるオニゲンを演ずるのが小雪と、なんだかオニは女系のようだ。見所は、中盤における街中でのサヤの死闘で、オニをバッサバッサとなぎ倒す百人切り。ワイヤーアクション+CGで味気ないと言えばそうなんだけど、流血シーンが生臭くなくってよろしい。

内容について言えば、細かいツッコミどころを記述しはじめたらキリがない。なぜセーラー服なのかをはじめとし、ストーリーにおける整合性をまったく無視して突っ走っている。

ところが、だ。当方は本作を相当におもしろく鑑賞してしまった。もちろん、他人には奨めないよ。奨めようがない。やはり、異国の眼から描かれる日本の姿が気に入ったから。いや、もしかしたら、1970年の当時の日本はあんな姿だったのかもしれない。そんな、トリップ感を味わうことができる。

そういえば、サヤの家来のカトウ役で倉田保昭が出演。還暦を越しているのだが、味わい深いアクションシーンを披露している。このシーンもポイント高いかな。


◎原案の日本アニメ

BLOOD THE LAST VAMPIRE [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: アニプレックス
  • メディア: Blu-ray

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『(500)日のサマー』 [bd]

原題: (500) Days of Summer
監督: マーク・ウェブ
脚本: スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー
美術: ローラ・フォックス
音楽: マイケル・ダナ、ロブ・シモンセン
出演: ジョセフ・ゴードン=レビット、ズーイー・デシャネル、ジェフリー・エアンド、クロエ・グレース・モレッツ、マシュー・グレイ・ガブラー、クラーク・グレッグ、レイチェル・ボストン、ミンカ・ケリー
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 96分
配給: 20世紀フォックス映画


ストーリー
建築家を夢見つつもグリーティング・カード会社で働くトムは、社長秘書として入社してきたサマーに一目ぼれをする。運命の恋を信じるトムは果敢にアタックし、遂に一夜を共にするのだが、サマーにとってトムは運命の人ではなく、ただの「友だち」でしかなかった。そんな、トムとサマーの500日の出来事を軽快に描くビター・スウィートなラブコメディ。


開始早々におもしろいと思ったのは、サマーとの500日が1日目から始まらず、それ以降も時間軸がランダムに進行すること。冒頭で(謎の)語り手が「これはラブストーリーではない」とモノローグするが、ラブストーリーが時間軸に沿って描かれ、そのプロセスを観るものが愉しむという普通の構成を取らないという宣言なのかもしれない。

そして、この構成はジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるトムを鑑賞する者が、トムの感じてきたことを追体験できるという効果がある。恋の終焉(←おわりとルビを振りたいところ)とか中弛みの時期って、やはり楽しかったころを思い出すじゃないですか、あんな感じ。男だったらわかる人は多いと思う。四十ヅラ下げて言うことでもないが。

ランダムに500日間のあいだの時間をあっちこっちに行きかうので、どんな結末が待ち受けているのか先を読ませないということがある。そして鑑賞し終えた当方の解釈は、本作はやはりラブストーリーではなく、トムが成熟に向けて一歩踏み出す成長物語であるというものだった。いや、見当違いも甚だしいのかもしれないので気にしないでください。

主演の一人であるジョセフ・ゴードン=レヴィットは、痩身で線が細い青年だが存在感は抜群。『 BRICK‐ブリック‐ 』でもそうだったが、人を殴ると逆に殴り倒されてしまうシーンが似合う俳優としては当代随一。今後に期待。年齢的には同世代であるズーイー・デシャネルは美人だが、彼の童顔には少し大人っぽすぎたかも。そうそう、冒頭から登場する子役はトムとどんな関係なのかわからなかったが、妹なのね。

素直にラブコメディとして愉しめばいいだけかもしれないという一方で、何かしら奥が深いのかもしれないと思わせる、解釈の難しい映画。構えて観る必要はないが、相応に考えながら鑑賞するのが吉。単なるエンタテインメントとは言えなそうなヘンな深みを持っている映画だ。


◎画面分割の手法で以下の作品を思い出した…

カンバセーションズ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • メディア: DVD

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『ファイナル・デッドサーキット』 [dvd]

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原題: The Final Destination
監督: デヴィッド・エリス
脚本: エリック・ブレス
出演: ボビー・カンポ、シャンテル・バンサンテン、ヘイリー・ウェブ、クリスタ・アレン、リチャード・T・ジョーンズ、ニック・ザーノ
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 82分
配給: ギャガ


内容(「Oricon」データベースより)
死の運命を逃れた者たちに襲いかかる予測不可能な“死のトラップ”を描いた、人気ショッキング・ホラー・シリーズ第4弾。猛スピードで爆走するカーレースのサーキット場で、観客を巻き込む壮絶な大クラッシュが発生。スタンド席にいた若者ニックが見た予知夢のおかげで9人の男女が奇跡的に難を逃れるが、死の運命は彼らを見逃してはくれなかった…


「ファイナル・デスティネーション」シリーズも本作で4作目。さすがにネタ切れの感がなきにしもあらず。ただ、本作にはこれまでと少し異なるシチュエーションがある。前3作では、結果として生き残った人々は何らかのつながりができ団結して身を守るのだが、本作ではそれがない。生き残った人の多くは予知した人間から離れ普通の生活に戻っていく。

自分たちが生き残るためには、まず生き残った人を捜し出さなければならないというサスペンスが生じるわけだ。この新たなシチュエーションは、残念ながら効果的に使われず、探し出すべき人は比較的あっさりと見つけ出せるし、あっさりと死神の手にかかってしまう。

じゃあ、つまんないのかと言えば、このプロットは何度使い回しても悪くはないアイデアなんですね。ワンパターンのギャグがかえっておもしろかったりするのと同じように、このシリーズはこうじゃなきゃ、という不思議な愉しみ方ができる。だから、ここまでシリーズをご覧になってきた方は言われずとも鑑賞しているだろうし、未見の方には第一作から順番に鑑賞をお奨めしたい。


ファイナル・デッドサーキット スタンダード・エディション [DVD]

ファイナル・デッドサーキット スタンダード・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD

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『しあわせの隠れ場所』 [dvd]

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原題: The Blind Side
監督・脚本: ジョン・リー・ハンコック
音楽: カーター・バーウェル
出演: サンドラ・ブロック、ティム・マッグロウ、クィントン・アーロン、キャシー・ベイツ
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 126分
配給: ワーナー・ブラザース映画


ストーリー
全米アメリカンフットボール・リーグNFLのマイケル・オアー選手の激動の半生を追ったマイケル・ルイスのノンフィクション「ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟」を映画化。米南部ミシシッピのスラム街に生まれ、ホームレスのような生活を送っていた黒人青年マイケルが、裕福な白人女性リー・アンの一家に家族として迎え入れられ、アメフット選手としての才能を開花させていく姿を描く。


原題のBlind Sideとは「右利きのクォーターバックにとってパスを投げる際に死角となる左側のサイドのこと。レフトタックルの選手は相手ディフェンスの優れたパスラッシャーからクォーターバックを守るため重要視されている(Wikipediaより)」とのことで、よーするにアメフトの用語のようだが、アメフトのルールを知らない当方にとっては意味はまったくわからない。

本作で描かれるマイケル・オアーという人は現役の選手で実はまだ24歳。もう少し古い人の伝記モノかと思ったらつい最近のことなのだね。確かに、作中ではサンドラ・ブロックはバリバリにケータイを使ってるし。サンドラ・ブロックといえば、最初から最後までそのブロンドの髪の毛には違和感があったなあ。

閑話休題。いわゆる感動系ヒューマンドラマだが、そこここに作り物めいたところがあるのは事実だと思う。テューイ一家をはじめ悪意のある人たちは登場しない。マイケルがアメフトをはじめた時期も微妙に改変されている(テューイ夫妻と出会う前からアメフトをやっていたようだ)。

高校時代のアメフトのコーチが少しオマヌケに描かれているが実際には優秀なコーチだったらしいことも含め、都合の良い改変がされているのは、サンドラ・ブロックのアカデミー賞取りのためだ、などの批判もされている。あと、気になったのは、高校入学をお願いにきたおじさんは何ものだったのかとか同行していた少年はどうなったのか、レストランで会った兄とはその後どうなったのか、など、微妙に回収していないサイド・ストーリーがあったりするのも気になる。

それでも、と言っておこう。当方にはとても愉しめた映画だ。家族愛や目標達成への努力など、いまとなっては少し気恥ずかしいテーマを衒うことなく真っ当に描いているから。出演者については、子役のジェイ・ヘッド演じるSJが良い味出しているし、サンドラ・ブロックは鼻につくところはあるものの、さすが主演女優賞を取るだけのことはある演技だ。

原作も翻訳されているようだし機会があれば読んでみることにしよう。あまり細かいことにこだわらず、ヒューマンドラマを愉しみたい人にはお奨めできると思う。


しあわせの隠れ場所 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

しあわせの隠れ場所 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray

◎原作本(未読)

ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟

ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟

  • 作者: マイケル ルイス
  • 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
  • 発売日: 2009/11/25
  • メディア: 単行本

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『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』 [dvd]

映画『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』公式サイト

原題: Blue Gold: World Water Wars
監督: サム・ボッゾ
原作: モード・バーロウ、トニー・クラーク
ナレーション: マルコム・マクダウェル
製作国: 2008年アメリカ映画
上映時間: 90分
配給: アップリンク

■■■
当地にきて良かったのは水がうまいのと夏が涼しいこと。臭みがなく、ちょっと硬めの水。ブリタの浄水ポットを通せば、下手な市販のミネラルウォーターよりおいしい。お茶やコーヒーを淹れなくなってしまった。小型のマグポットに水を入れて出かけるようにもなった。

そしてわかったのは、水道料金って安いんだなということ。当方がシャワー派ということもあるのかもしれないが、一ヶ月あたりでは1,000円を超えない。ガスや電気のそれは低いときでも3,000円超だというのに。ちなみに当地は凶悪犯罪の発生率も低く、安全と水はタダ、を体現しているような土地柄だ。


解説・あらすじ
環境破壊や人口増加などにより地球規模で水不足が深刻化している現在、世界で起きているさまざまな“水戦争”の現状を追った社会派ドキュメンタリー。今や石油よりも貴重な天然資源となった水を巨大なビジネスチャンスとみなし、独占しようとするグローバル企業から、水をめぐる国家間の争い、海水淡水化による環境汚染など、世界の水資源問題を多角的に検証していく。


"ブルーゴールド"とは石油を意味する"ブラックゴールド"に対して、水が新たな戦略的資源になることを比喩した言葉のようだ。観賞すると、科学的もしくはジャーナリスティックな観点から水問題を扱ったものかと期待していたらそうではなかったというのが正直なところ。

環境汚染や民営水道事業会社の躍進とそれに関わる国家の利権・水道民営事業に反対するNGO、あるいは巨大な水源を擁する土地を買い漁る前米国大統領の一族への告発など、内容は多岐にわたる。その多岐さゆえにポイントが奈辺にあるのかぼやけてしまっている印象がある。ようするに整理されていないのだ。

本作は原作である『 「水」戦争の世紀 』を基に、著者たちのインタビューを中心に、その他NGOの指導者など「水は共有資源」という立場の人々の証言だけで構成されている。一方的、とは言わないが、たとえば民営水道事業会社の考え方が出てこないというのは少し公平ではないと感じた。著者やNGOのプロパガンダ映画と捉えられかねない危うさがある。

そんなことを気にしなければ、たとえば水は限りある資源で、経済のグローバル化に伴い水もまた食料や製品にカタチを変えて大陸や国家間を移動するようになった、という考え方はなるほどと思う。いずれ水も、二酸化炭素排出権と同様に証券化されていくのではないか、など想像してしまった。

科学的なアプローチの不足や、ほとんど一方的な主張のみで構成されている本作の内容を鵜呑みにするのは危険だと思うが、蛇口を捻れば水が出てくるという環境になれてしまっている日本人としては、世界の水の現状を知るために鑑賞するのも悪くはない。


◎原作本(当方は未読)

「水」戦争の世紀 (集英社新書)

「水」戦争の世紀 (集英社新書)

  • 作者: トニー・クラーク
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/11/14
  • メディア: 新書

 


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福田栄一:『夏色ジャンクション』(実業之日本社) [book]

夏色ジャンクション

夏色ジャンクション

  • 作者: 福田 栄一
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2010/05/20
  • メディア: 単行本

ブログを書いていて良かったと思うことの一つに、同じ著者の前作を読んだとき、どんな感想を当時の当方が持ったのかを確認できることだ。へえ、当時の当方はこんなことを感じていたのか、と意外に新鮮だったりする。ことほどさように、前作を読んで感想を書き記したときの当方は、当方のようであって当方ではない幻のような存在のようであったりする。もちろん、文章を書き記すこと一般に言えるのかもしれないけれど。


内容(「BOOK」データベースより)
親友と恋人に裏切られて借金を背負い、住まいを失った信之。ミニバンで寝起きする生活を送っていたが、ひょんな出会いから、七百万円の大金を所持する老人・勇を山形まで送り届けることに。高速道路を北へとひた走る信之は勇の金を奪おうと考えるが、ヒッチハイクで青森を目指すアメリカ娘・リサが加わり、その思惑を迷走しはじめ…。失意の青年、おちゃめな老人、アメリカ娘。三つの人生を乗せて駆け抜けた熱い夏の一週間。


先日、青森に行ったことは既にエントリしているが、本書の梗概にもあるように主人公たちは同県にも立ち寄る。そんなシンクロニシティもあり軽快に読み進める。

で、過去のエントリを繙いていくと、性善説に基づいた物語であることとか、適度のお節介が共生を生むなど、本作とも共通する感想を抱いているようだ。同じ著者だから当たり前ではあるが。

本作で、新機軸だと思ったのは打ち拉がれた男の再生を描いているところか。これまでの著者の青春小説の主人公は、一定程度の完成された人格を持っていたように思うが、本作で描かれるのは、どこにでもいそうな性弱説の男だ。

彼が変わっていく内面描写はそれほどページが割かれていないし、ある意味お約束の展開であることは陳腐とも言えるかもしれない。それでも、この再生と成長の物語はどことなく当方の胸を打つものがある。なんだかんだいって著者の小説が好きなんだろう。出版されているのを見逃していた『 蒼きサムライ 』も買っておくとするか。


◎関連エントリ
 ・福田栄一:『エンド・クレジットに最適な夏』(東京創元社)
 ・福田栄一『あかね雲の夏』(光文社)
 ・福田栄一:『メメントモリ』(徳間書店)
 ・福田栄一:『晴れた日は、お隣さんと。』(メディアファクトリー)


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『バッド・ルーテナント』 [dvd]

バッド・ルーテナント [DVD]

バッド・ルーテナント [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

原題: Bad Lieutenant: Port of Call New Orleans
監督: ベルナー・ヘルツォーク
製作: スティーブン・ベラフォンテ、アラン・ポルスキー、ケイブ・ポルスキー、ジョン・トンプソン、エドワード・R・プレスマン
製作総指揮: アビ・ラーナー、ダニー・ディムボート、トレバー・ショート、ボアズ・デビッドソン、エリオット・ルイス・ローゼンブラット、アレッサンドロ・ケイモン
脚本: ウィリアム・フィンケルスタイン
音楽: マーク・アイシャム
出演: ニコラス・ケイジ、エバ・メンデス、バル・キルマー
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 122分
配給: プレシディオ

■■■
本作でのニコラス・ケイジの役柄は悪徳刑事。あれ? どこかで見たようなシチュエーションだな…。本作でもカジノが舞台のシーンがあるのはもはや偶然とは思えない。悪徳警官役というのも同じだし。ちなみに「バッド・ルーテナント」は直訳すれば悪徳警部補という意味だ。

周知のように本作もリメイク作品であり、リメイク元は同じタイトルでハーヴェイ・カイテル主演の『バッド・ルーテナント』だ。監督のヴェルナー・ヘルツォークという人も名前くらいは知っていたが今回が初見。ニュー・ジャーマン・シネマの重鎮らしいが、本作ではリメイク元をどう料理するのか。


内容紹介
この男、正気か狂気か。
荒廃した街 ニューオリンズ。最悪な男が、躍動する。
ハリケーン・カトリーナが襲来した直後のニューオリンズ。逃げ遅れた囚人を救い出したことで表彰され、昇進を成し遂げた正義の刑事テレンス・マクドノー(ニコラス・ケイジ)。
しかし彼は賭博に興じ、恋人の高級娼婦フランキー(エヴァ・メンデス)と共にドラッグに手を染め、挙げ句の果てには警察が押収したドラッグを盗み出すという裏の顔を持っていた。ある日、不法移民の一家5人が惨殺されるという事件が起こる。テレンスはこの事件の陣頭指揮を執ることになるが、事態は思わぬ方向へと転がっていく。


といった勇ましい内容紹介ではあるが、物語自体は、悪徳刑事ものの映画の形式から大きくはみ出すものはない。悪徳刑事が徐々にのっぴきならない状況に追い込まれていくことがサスペンスを醸成する。そのサスペンス自体は、やっぱりありがちなものと言わざるをえない。

そんな本作での最大の見所はニコラス・ケイジの怪演。物語が進むに連れ酷くなっていく薬物依存のため顔色は青白くなり言動もおかしな様子になっていく。この手の追いつめられた男の狂気をギャグすれすれの演技でみせるのだからすごい。主人公をフィーチャーすることが監督の最大の目論見かとも思えるように、エヴァ・メンデスやヴァル・キルマーの出番は少しばかり冴えない。

そりゃなんでもそういうことになるのか、という結末まで含め刑事もののエンタテインメントと言うよりは、追いつめられていく男の狂気を描くことがテーマだといえる。でも、人間ドラマというカテゴリには入れられないなあ。見張り最中にイグアナの幻覚を視たりする刑事だし。今年の二月に恵比寿ガーデンシネマで上映したらしいが、観客層は合っていないように思える。

ところで、冒頭で主人公は水没した警察署に収監されていた容疑者を救い出す。その後、シーンが変わりレントゲン写真を見る医者。どうやら主人公は腰を痛めたらしいのだが、この救出劇が原因かどうかよくわからない。その後、ドラッグに依存していくのはその腰痛の痛み止めの意図からだったのだろうか。そこらへんからよくわからない。そういう解釈でいいんだろーか。


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青森市に行ってきた[その2] [travel]

初日は浅虫水族館から、何故か五所川原に移動。青森市内では宿が取れなかったのだ。こんなことでもないと一生行かない五所川原市に宿泊。晩ご飯は「くつろぎダイニング傳」へ。

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■カマンベールチーズのフライとワンタンの皮のピザ風
■スズキのフリッター。量が多い!



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落ち着いた雰囲気でよろし。

***

翌日は、再度青森市内に赴き、青森県立美術館を見学。常設展と、企画展は「ロボットと美術 機械×身体のビジュアルイメージ」というテーマ。当方としては、横山宏氏の「マシーネン・クリーガー」の1分の1フィギアと、『 バーサーカー赤方偏移の仮面 』の加藤直之版イラストのモデルがヒット。また、ショートショートのアニメが作品の一つとして上映されるなど意欲的な内容。お近くの方は是非にとお奨めしたい。

s-IMGP3613.jpg■美術館外観。白を基調としたデザインで、館内も白で統一されている。館内で表示されているフォントがステキ
s-IMGP3615.jpg■館内の美術品は当然、撮影は不可なのだが、あおもり犬だけは撮影が可能。かなりデカイ
s-IMGP3616.jpg■違った角度でもう一枚


お昼ご飯は同一敷地内の”cafe 4匹の猫”でいただく。結局、美術館で半日を過ごすことになった。見応えのある美術館。かなりお奨め。


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今回は、少し時間が足りなかったので急ぎ足になってしまった。いつか再度じっくり散策したい青森市だ。


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青森市に行ってきた[その1] [travel]

三連休ということもあり配偶者が当地にやってきた。無駄遣いのやましさを覆い隠すためにも接待せねばなるまいと青森県に出かけることにした。

s-IMGP3586.jpg■今回のレンタカーはSUZUKIのSWIFTだ。当方の知人に所有者が多く、評判の良さは聞いていたが、実際に乗ってみると加速がのっぺりとした印象。排気量の違いもあるのかもしれないが
s-IMGP3584.jpg■高速道路の津軽SAのリンゴ・ソフトを食す。シャーベット的なシャリシャリ感は好みではないが、これはリンゴをすり下ろしたせいに違いないとは配偶者の弁
s-IMGP3601.jpg■海鮮丼を食べるために青森駅近くのAUGAというビルへ赴く。見た目も中身もいわゆるファッションビルだが…
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 ■地下は何故か市場になっている
s-IMGP3595.jpg■今回は丸青食堂におじゃまする
s-IMGP3590.jpg ■当方は二色丼を食す
s-IMGP3592.jpg■配偶者はマグロ丼。マグロの中落ち丼は絶賛品切
s-IMGP3596.jpg■市場にはフジツボが売っている。食えるとは知らなかった
s-IMGP3597.jpg■「生まれて墨ませんべい」はイカスミのせんべい
s-IMGP3598.jpg■大間マグロカレーはそそるものがある
s-IMGP3600.jpg■シャコ好きなのだが今回は購入を断念


その後、浅虫水族館へ移動。

 
s-IMGP3603.jpg■外観
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■烏賊が踊っている
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■ウツボは相当に凶悪な面相

そして、先日購入したEX-FS10でハイスピード動画を撮影。


《続く》


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青森県立美術館に来ている [travel]

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あおもり犬鑑賞なう。
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五所川原に来ている [travel]

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とりあえずビール。


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夢枕獏:『月神祭』(徳間書房) [book]

月神祭 (トクマ・ノベルズ)

月神祭 (トクマ・ノベルズ)

  • 作者: 夢枕獏
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: 新書

内容(「BOOK」データベースより)
ほんにまあ、困ったものでございますなあ。世の中には、わざわざ飢えた魔の顎へ首を突っ込みたがるような輩が、本当にいるのでございますよ。我が殿アーモンさまも、そのおひとりでしてな。虎が人喰いをしたと聴けば、ふらりとお独りでそこへお出かけになるし、いつぞや、ナーガの森にさらされた沙門の首のあやかしとご対決あそばされた時などは、寿命の縮む思いをいたしました。かような所業も、全ては退屈から始まったこと。今回は人語を解する狼の話にいたく興味をもたれ、シヴァ神が舞い降りるというムリカンダ山へ出掛けたのでございます。そこは、月の種族が棲む地だと、人は怯えているのですが…。九十九乱蔵の原型キャラ、アーモンの活躍を描く『妖樹・あやかしのき』『月の王』の二冊を再編集。寺田克也イラストで、鮮やかに大復活。


内容にも記述があるように、本書は1987年と1989年に出版された作品の合本再刊版。1987年当時であれば、著者の作品のほとんどを購入・読破しているはずだが読んだ記憶がない。まさか、読んだのにまったく記憶をなくしているのではないかとビクビクしていたらそうではなかったのは慶賀の至り。

九十九乱蔵の原型と惹句にはあるが、乱蔵はもう少しワイルドなイメージがあるのでちょっと違うかな、という感じ。それに、主人公アーモンの従者である仙人ヴァシタが語り手の一人称であることも関係があるかもしれない。実は、そのヴァシタがもっともキャラクタが立っていると感じられたのは意外。幻術を操りつつ、体術もかなりの手練れ。キマイラ・シリーズの真壁雲斎と同系統のキャラクタだ。

古代インドを舞台にした巨体の王子と従者の呪術師の物語。おそらく、出版された当時であればワクワクしながら読み進めていたであろうが、いま読むと少しばかりの色褪せを感じざるをえない。どうしてなんだろうね。 著者の確立した説話的伝奇物語という切り口が一般的なものとして消費されてしまった、ということなのかもしれない。ともあれ、読み逃していた人はもちろん読んでみてほしい一冊といえる。


◎関連エントリ
 ・夢枕獏:『闇狩り師 黄石公の犬』(徳間書店)


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CASIO:EX-FS10がやってきた [gadget]

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いや、確かにカメラにみえるよ。実際、静止画も撮れるわけだから。
キミの言うように身体は一つしかないし、眼も二つしかないっていうのにカメラばかり買ってどうするんだという主張はわかる。
普通に考えれば当方が反論できる余地はないよね。

でもさ、当方が本機を購入したのは、静止画用途と言うよりはむしろ動画モードで使おうと思ったからなんだよ。
しかも、ハイスピードモードすなわちスローモーションが撮れるという普通じゃないカメラなんだ。
youtubeにも投稿しやすいフォーマットでも撮れるみたいだし。

それにね、発売された当初は希望小売価格が49,800円だったものが今回はお値打ち価格の1万円ちょいで買えたんだ。
つまり、4万円近く得したってことじゃないか。

あれ、どうしたの、いつのまにそんな角なんか生やしちゃって。
あれれ? 口から牙まで生えだしたよ…まさか怒ってるんじゃないよね。
ど、どうしたのそんな獰猛な顔して飛びかかりそうな体勢でうわなんだキミやめr

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杏里:『MEDITATION』 [music]


時効だから申し上げるが、当方が喫煙を開始したのは18歳も終わりのころ。吸い始めた当初はマイルドセブンとかあのあたりだったのだが、いつのころからか、薄荷煙草を吸い始めた。いまは生産中止になってしまったSomeTime Lightsだ。

そのきっかけの幾分かは、本アルバム所載の「LAST PICTURE SHOW」にあったと思う。いわゆるCMソングで、タイトルを動画で検索したら、そのCMはyoutubeあたりで視られるはずだ。いまでは考えられない、コインランドリーで喫煙する男性と、その恋人らしきカップルの映像が流れる。そんなこともあり、当時はこのアルバムをレンタルして、いまや涙が出るほど懐かしいカセットテープに録音し何度も繰り返し聴いたものだ。

あれからほぼ四半世紀。あのカセットテープはとっくにどこかに行ってしまったし、このアルバム自体も廃盤だ。そして、21世紀のいま、なんとなく宅配レンタルを検索してこの作品を見つけた当方は、仮住まいに着いたそのCDをCD-Rに焼いた後、iTunseでMP3化しサーバに納めた。

当方にとっては四半世紀などあっというまだったのに、二十歳前の当方からすればとんでもない未来の音楽鑑賞の方法のように思えるのではないか。そんな、どうってことのない進歩がいちばんの進歩で、かつ凄い進歩なのだと思う。

うーむ、益体もない文章を連ねてしまった。とにかく、本作はほぼ四半世紀を経たいま聴いても素晴らしい、お奨めの一枚だ。


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石持浅海:『この国。』(原書房) [book]

この国。 (ミステリー・リーグ)

この国。 (ミステリー・リーグ)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: 単行本

うーむ。半ば、著者のファン・ブログと化してきたな。いや、それくらい好きってことはある。ここ数年のミステリ作家のなかでは最も当方の嗜好に合っている。なぜか、ということについては、いつか分析せねばなるまい。


内容(「BOOK」データベースより)
一党独裁の管理国家であるこの国では国家に対する反逆はもっとも罪が重く、人材育成をなにより重要視するこの国では小学校卒業時に児童の将来が決められ、非戦平和を掲げるこの国では士官学校はたんなる公務員養成所となり、経済の豊かなこの国では多くの女性が売春婦としておとずれ、文化を愛するこの国では「カワイイ」をテーマに博覧会が開かれる。そこで起こる「事件」の真の犯人は、やはりこの国自身なのかもしれない―。


著者の作品群の特徴といえば、真相解明に至るまでのロジックやディスカッションのスリリングさと、もう一つ、その少し変わった(異常とも言う)倫理観が挙げられるだろう。当方も作品によっては、その倫理観に頭の中がグニャグニャするような不思議な違和感を持つことがある。

当方たちの住む世界の住人たちがそんな違和感を持つのだったら、いっそのこと異世界を構築してしまえばいい。と著者が思ったのかどうかはわからないが、本書は我々の住む世界とは少し違う世界が舞台。当然のことながら、その世界である「この国」とは当方の住むこの国がモデルに違いない。

「この国」は上記の内容にあるように、一般的な眼で見れば異常な世界だ。でもそれって、殺人を犯したと見られる人物の顔写真を堂々と公開するマスコミや、小学校どころか幼稚園から受験が始まり格差が拡大していくこと、そしてSelf Diffenceが主な役割の軍隊を持つ我々の住む世界とどこがちがうのだろう? 我々が普通だと思っている倫理観はこんなにもあやういものだ、と著者は言っているようだ。 そんなことを今更ながら想起させられてしまった。

様式としては連作長編の姿。クールで頭脳明晰な治安警察官を主人公にSF小説を思わせるifの世界を構築しながら、なおミステリとしてのアイデンティティを強固に持つ本作は、紛れもなくお奨めの一冊だ。


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『プレデターズ』 [movie]

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原題: Predators
監督: ニムロッド・アーントル
製作: ロバート・ロドリゲス、エリザベス・アベラン
製作総指揮: アレックス・ヤング
キャラクター創造: ジム・トーマス、ジョン・トーマス
脚本: アレックス・リトバク、マイケル・フィンチ
音楽: ジョン・デブニー
出演: エイドリアン・ブロディ、アリシー・ブラガ、トファー・グレイス、ルイ・オザワ、ウォルトン・ゴギンズ、オレッグ・タクタロフ、マハーシャラルハズバズ・アリ、ダニー・トレホ、ローレンス・フィッシュバーン
製作国: 2010年アメリカ映画
上映時間: 107分
配給: 20世紀フォックス映画

■■■
本シリーズ(?)の一作目がアーノルド・シュワルツェネッガー主演で封切りされたのが1987年。ほぼ四半世紀前の作品だ。もちろん当方は封切り直後に映画館で鑑賞している。その続編や『 エイリアンVS.プレデター 』、『 AVP2 エイリアンズVS.プレデター 』も劇場で鑑賞しているのだから、相当に好きなようだ。


ストーリー
目覚めると、傭兵である主人公は知らぬうちに落下傘降下していた。なんとか無事に降下すると、いきなり銃撃をうける。辛うじて意思疎通した結果、彼もまた自分と同様に知らぬ間にここに連れてこられたロシア特殊部隊員ようだ。その後、囚人・日本人のヤクザ・メキシコのマフィア・医者など続々と現れ、この戦闘集団を統率することになる。やがて、自分たちがプレデターの餌食として惑星に連れてこられたことが判明。生き残りをかけたプレデターとの壮絶な闘いが始まる。


ネタバレ回避のために出来合のあらすじをリライトしたのだが、まあ、よくもこんな無茶苦茶な導入を思いついたものだ。以降、主人公の傭兵(エイドリアン・ブロディ)をはじめ、登場人物たちの過去が回想されるシーンなどもなく、ただひたすらプレデターたちから逃れ、あるいは反攻するシークエンスの連続。

一応、当方が驚かされた人物の登場などもあるが、原則ネタバレをしない弊ブログにては詳述するのは避けよう。その他、なぜこの人が連れてこられたのかわからない人物の伏線の回収もあったりするが、それってどうなのよ、という感じで感心できなかった。

それはそうと、中盤でエイドリアン・ブロディが細マッチョであることに気づいたのだが、終盤ではなかなかの肉体美を銀幕に披露する。本作に併せて肉体改造した結果かもしれないけど、これはすごい。紅一点のガンナー役のアリシー・ブラガは『 アイ・アム・レジェンド 』にも登場していた。存在感は相応にあると思う。

うわ。散漫な文章でどうしようもないな。何が言いたいかというと、ストーリーに深みがあるわけでもなく、登場人物たちの個性が際立っているわけでもない、鑑賞する人によっては金返せ系映画といえなくもないということ。いや、当方は乗りかかった船だからしょうがないんだが。

ぜんぜん関係ないけど、プレデターの素顔を見ると、いつもツブ貝を思い出すのは当方だけだろうか。


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『海角七号/君想う、国境の南』 [dvd]

海角七号/君想う、国境の南 [DVD]

海角七号/君想う、国境の南 [DVD]

  • 出版社/メーカー: マクザム
  • メディア: DVD

原題: 海角七號
監督・脚本: ウェイ・ダーション
製作: ウェイ・ダーション、ホァン・ジーミン、リン・ティエングイ、ルー・ジュンイー、フー・ジョングァン、ジャン・チャンディー
撮影: チン・ディンチャン
音楽: リュ・ションフェイ、ルオ・ジーイー
編集: ライ・ホイジュエン、ニウナイ
出演: ファン・イーチェン、田中千絵、中孝介、シノ・リン、レイチェル・リャン
製作国: 2008年台湾映画
上映時間: 130分
配給: ザジフィルムズ、マグザム

■■■
海外旅行にはほとんど興味がないが、台湾だけは行ってみたいと思うことがある。なにしろPCのマザーボードのほとんどが同国のメーカーのものだ。興味を持たざるをえない。近そうだということも、喫煙者としては魅力的だ。


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
台湾の人気歌手、ファン・イーチェンと田中千絵共演による感動作。ミュージシャンの夢に破れ、郵便配達のバイトをしている青年・阿嘉は、ある日郵便物の中に60年前の“海角7号”宛の手紙を見付ける。そんな中、彼は中孝介のライブに駆り出され…


さて、本作は台湾で『タイタニック』に次ぐ興行成績を叩きだした作品。舞台となった恒春は台湾の最南端に位置し、本作のヒット後には観光地化したりしたそうだ。台湾映画といえば『 悲情城市 』くらいしか鑑賞したことはなかったが、一見、妙なタイトルに気が引かれ鑑賞することに。タイトルの海角七号とは住所のことで、直訳すれば"岬7号"くらいの感じだそうだ。 台北で夢破れ、郵便配達のアルバイトをしている主人公が思わず封を切ってしまった行先不明の手紙の宛先がそれだ。

物語は、その手紙の宛先人探しと地域興しのためのビーチライブで、前座の即席バンドのメンバーとなった人物たちの人間模様が並行して描かれる。当方は、どちらかといえばバンドの物語として鑑賞。主人公、台湾パイワン族の警察官、バイク修理工、地酒販売の営業マン、小学生、そして郵便配達員がメンバー。それぞれが良い味を出している。特に月琴を奏する郵便配達のおじいさんが実際に中国伝統楽器北管の国宝級奏者であることには驚いた。

この手の映画は、やはり終盤での本番演奏シーンがヤマ場で、その盛り上がり具合に成否があると思うのだが、本作では成功裏に終わっているといえる。メンバー全員に見せ場が与えられ重要な役割があるという真っ当な脚本だからだ。いや、正直ホロンときてしまったよ。

主人公の一人は日本人女性の田中千絵。ちなみに彼女の父は、「あなたのお名前なんてーの」のトニー谷じゃなくて、メイクアップアーティストのトニー・タナカだそうだ。いや、それはともかく、台湾が太平洋戦争時に日本統治下にあったことや、ラストの一曲が統治下時代のある唱歌であることとか、微妙に歴史的背景もあるが、当方には単純にバンドをテーマにした映画として愉しんだ。そこはかとなくお奨めしておきたい。


◎こちらのアーティストが本人役で出演

うがみうた~絆、その手に~

うがみうた~絆、その手に~

  • アーティスト:中 孝介
  • 出版社/メーカー: ERJ
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: CD

 


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『アルマズ・プロジェクト』 [dvd]

アルマズ・プロジェクト [DVD]

アルマズ・プロジェクト [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD
原題: Almaz Black Box
監督: クリスチャン・ジョンストン
製作国: 2007 年アメリカ映画
上映時間: 89分
配給: プレシディオ

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
ロシアの宇宙ステーション・アルマズ号の悲劇の謎に迫る異色のパニックスリラー。98年11月、アルマズ号がレーダーから姿を消した。ロシア政府は事件を闇に葬るが、ウクライナの過激派グループがブラックボックスを発見し…。


性懲りもなく広義のフェイク・ドキュメンタリ映画を鑑賞。やはり地方赴任後に公開されていたのだが、東京にいたら間違いなく鑑賞しに行くテーマや舞台設定だ。激しく期待しつつも、web上の感想では不穏な空気が漂っている。果たして地蔵の運命やいかに?

で、鑑賞したんだが、いやはや、これほどまでの作品だったとは思わなかった。残念ながらマイナスの意味合いである。眠かったのもあるが、鑑賞しながらコックリしてしまった。珍しいこともあるものだ。

まず、舞台が軌道上の宇宙ステーションで場面の変化に乏しい。まあ、それは舞台劇だと思って観ればいいのだからしょうがないにせよ、当然のことながらトラブルが発生した後には、照明がダウンする。それゆえ人の顔の区別がつけにくい。登場人物たちに明確な個性が与えられているなら良いけど、それもない。

欧州宇宙局(みたいな名前の団体、詳しくは忘れた…) から派遣された人物たちが、トラブルのもとになっているデータを消去せよ、と言っても、ステーションの隊員は譲らないのだが、そんなやり取りを90分近くダラダラとやっているのを観ている鑑賞者の身になってほしい。そして、結局はコンテンポラリな結末に至るのだが、とってつけた感が甚だしい。

というわけで、決して人に奨められない、100円レンタルでもどうかと思う内容だった。しかし、ある種の映画好きな人は、どんなに止められても自分で鑑賞し確認せねば済まない方もいると思う。そういう人はどんなことを言っても鑑賞するだろう。当方がそうであったように。


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『バベットの晩餐会』 [movie]

原題: Babette's Feast
製作: ユスツ・ベツァー、ボー・クリステンセン
監督・脚本: ガブリエル・アクセル
原作: カレン・ブリクセン
撮影: ヘニング・クリスチャンセン
音楽: ペア・ヌアゴー
製作国: 1987年デンマーク映画
上映時間: 102分


ストーリー
20世紀のデンマークを代表する女流作家カレン・ブリクセンの同名小説を映画化した心温まる群像劇。19世紀後半、デンマーク辺境の小さな漁村に質素な生活を送る初老を迎えたプロテスタントの姉妹がいた。そこにパリ・コミューンで家族を失ったフランス人女性バベットがやってくる。その後彼女は家政婦として長年姉妹に仕えるが、宝くじで大金を手にいれると、村人のために晩餐会を開きたいと申し出る。 87年度のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞した。


映画館での映画鑑賞の最大の特徴は途中退席が難しいことだと思う。いったん、上映が開始されれば、「こんなくだらねえの観てられっか」と映画館をあとにするのは相当に勇気がいるような気がする。当方はもちろんしたことがない。ケチだから、ってのもあるが。

なぜ、そんな話をするのかというと、いわゆる単館系ヒューマンドラマにありがちな、導入部分ののんびりさとか展開ののろさとかは自宅でのDVD鑑賞に適さないのではと思うから。面倒だから後回しにすると返却期日がきてしまったりする。映画館のシートに座っちまえば、多少の展開のかったるさも我慢せざるをえない。ようするに、否応なく鑑賞せざるを得なくなるということだ。

さて、本作はTOHOシネマズの新たな取組みの一つである「午前十時の映画祭」の対象作品。タイトルはやたらと有名なような気がするが、たまたまDVDが廃盤になっていたり、1,000円で鑑賞できたりしたので出かけたのだった。

何度か書いているように、ここ数年の映画の大出力振りには辟易することがある。かといって、四半世紀近く前の映画のゆったりさ加減が心地よいというほどには、大人の鑑賞者になっていないようだ。DVDで借りていたら、間違いなく返却期日前に鑑賞し終わらなかったと思う。

やはり、映画にもその時代の空気とシンクロして初めてその真価がわかるということがあると思う。だから、本エントリは本作を鑑賞しに行ったという記録とするだけにとどめたいと思う。


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『パラノーマル・アクティビティ』 [dvd]

パラノーマル・アクティビティ [DVD]

パラノーマル・アクティビティ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

原題: Paranormal Activity
監督・脚本・編集: オーレン・ペリ
製作: オーレン・ペリ、ジェイソン・ブラム
製作総指揮: スティーブン・シュナイダー
出演 ケイティ・フェザーストーン、ミカ・スロート
製作国: 2009年アメリカ映画
上映時間: 86分
配給: プレシディオ


内容紹介
平凡な一軒家で幸せに暮らす若いカップル。しかし毎晩寝付いた後に家の様子がいつもと変わっていることに気づく。
少女の頃から不可思議なことが起こり続けているケイティは、その原因が自分にあるのではないかと感じていた。
彼女の恋人であるミカは自分達の家に起こっている“何か”を突き止めるため、生活の一部始終をビデオカメラで撮影することにする。

真夜中、2人が眠りについた後、何か起きているのか―。

ビデオには衝撃の映像が映っていた・・・。


周知のように、制作費が1万5千ドルという低予算の自主制作映画。それが全世界で興行収入を153百万ドルたたき出したというのだから、投下資本が約 10,000倍になって還ってきたわけだ。ちなみに今日現在のレート1ドル87.96円で換算すると、132万円が134億円になったという次第。興行収入の半分程度が配給会社の取り分として仮に67億円程度。監督や出演者の取り分がどうだかわからないが、とてつもないスケールではある。

そんなジャックポッド映画を期待を込めて鑑賞したのだが、正直に言えば、こりゃ困ったというところ。広義でのフェイク・ドキュメンタリといって良い内容だから、当方が好むところではある。しかし、今ひとつノリ切れなかったというのが結論。

当方が最後まで違和感を拭いきれなかったのは、POV映画に必須の要素である「カメラを決して手放さず止めない人間」の存在。なにがそこまでおまえをそうさせるのだ、と問いつめてみたい。本作で言えば、登場するミカ(同棲カップルの男のほう)が、恋人であるケイティにどんな嫌みを言われようとカメラを手放さず止めない。ACアダプタがつながってるわけでもなさそうだし、どんな高性能のバッテリ積んでるんだよ、とつっこみの一つも入れたくなる。

そう、当方のような引きこもり系モバイラとしては、そんな高性能のバッテリがほしいということなのだ。いや、ちがう、話が逸れた。とにかく、その執拗さには辟易してしまうのである。フェイク・ドキュメンタリとPOVの手法とは分けて考えたほうがいいのかもしれない。『 クローバーフィールド/HAKAISHA 』も『 ダイアリー・オブ・ザ・デッド 』も本作も、いわゆるフェイク・ドキュメンタリではない、と個人的感覚で言い切っておこう(ちなみにPOVの嚆矢である『 ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』は未見)。

そして、最大の問題だったのは怖くなかったということ。音楽や効果音などがほとんどない点も影響しているには違いないし、当方の感覚に問題があるのかもしれない。ともかく恐怖のツボは刺激されなかった。ということで、積極的にお奨めできないという残念な結果になったのだった。


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ケン・オーレッタ:『グーグル秘録』(文藝春秋) [book]

グーグル秘録

グーグル秘録

  • 作者: ケン・オーレッタ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/05/14
  • メディア: 単行本

ネット通販で買物のほとんどが済む当方にとって、送り状や納品書などの個人情報の記された帳票類の処分は悩みの種だった。 こんなものを買ったりだとかしてこまめに処理した時期もあったが、それも長くは続かなかった。爾来、割り切って、そのままクシャクシャにしてゴミ箱に放り込むことにしている。

というのも、当方ごときが自身の個人情報を漏洩したぐらいで、それをマメにチェックする個人や法人があるとは思えないことに気づいたからだ。 たとえば、数千人規模の名簿データにしたって、それを有効に活用するには相当な叡知が必要な気がするし、そもそもそんな叡知があるならば他のもっと生産的な方向に向かうような気がする。

世の中では監視カメラやらメールの検閲の恐怖におののく人々もいるようだが、それってむちゃくちゃにコストがかかるのは間違いないだろうし、そのコストに見合うリターンは、どれほどの大企業も得られないのではないか。本書でも米国Google社のプライバシーへの考え方に懸念が表明されているが、そこまで過敏になるのはある種のオブセッションのように思える。もちろん当方が脳天気なだけかもしれないけど。


内容紹介
最強にして最も危険なネット企業
グーグル。
すべての産業の基盤を破壊して、グーグルが創造する新たな世界とは?
グーグルによって存在を根底から揺さぶられる側にも徹底取材!
エリック・シュミット、サーゲイ・ブリン、ラリー・ペイジらはじめ
ほぼすべてのグーグル幹部に150回。
新聞、出版、音楽、テレビ……伝統メディア幹部150名。

エピソード満載。
・感情を理解しない科学者たちのグーグルの経営ぶり
・プライバシー、著作権の在り様も根底から疑うビジネス戦略
・広告代理店、巨大メディアの足元で進行する、ネットの「中抜き」
・伝統メディアのITへの鈍感ぶりと起死回生の生き残り策
・ソニーの出井は、アップルのアイポッドを脅威と感じていなかった。
・マイクロソフト、アップル、フェイスブック
……シリコンバレーの巨竜たちの激突の生々しさ
・進むグーグル幹部の人材流出

などなど。
ネットによって大変革がもたらされるこの時代に必読の書!


本書は大きく、Googleの歴史と創業者や幹部のインタビューによって構成された前半部と、同社の発展に反比例して衰退していく旧メディアに対する考察を記述した後半部に分かれる。特に興味深いのは前半部分で、創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンをはじめとした幹部たちの伝記的な要素と、これまでの同社の歴史を辿ったものとなっている。

創業者たちは、いずれも学者や研究者の両親を持ち、少年期の頃からその秀才ぶりが注目を集めていたようだ。やがて出会った二人が、検索エンジンという共通の興味を抱き、結果としてGoogleを創業するまでの過程が描かれる。本書でも記述されているように、米国マイクロソフト社が恐れていた「ガレージでまったく新しい何か」を、同じ米国アップル社と同様に生み出したわけだ。

このあたりの創業時の伝説的なエピソードは、どんな会社の話を聞いてもおもしろい。ましてやGoogle社ならなおさら、というところだ。また、CEOのラリー・シュミットやその他の幹部たちのエピソードなども豊富で、法人の歴史と創業者たちの群像をうまく描いていると思った。後半部は、Googleの成長に伴うその他のネット企業や旧メディアへの影響、そして自身が内包する課題への記述が展開される。まあ、これについては正直なところ、同様の知見や予測とそれほど大差はなく一般的ではある。

そして、勘違いしてはいけないと思ったのが、同社が前半部で語られたような特異性だけで成長している企業ではないということだ。それは「邪悪になるな」という理念であったり、ユーザーをできるだけ早く自社サイトから望みのサイトへ移動させるという検索サイトの役割を強化し続けるというユーザー本位の思想であったりする。そこには驚くほどブレがない。結局、企業を強くするのは理念だったりヴィジョンだったりするわけだ。そこのところを勘違いしていると、旧メディアはいずれにしても衰亡の途を辿らねばならなくなるのだろう。そんなことをあらためて感じさせる一冊だ。


◎関連エントリ

 ・佐々木俊尚:『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
 ・佐々木俊尚:『2011年新聞・テレビ消滅』(文藝春秋)
 ・クリス・アンダーソン:『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(日本放送出版協会)


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『マイレージ、マイライフ』 [movie]

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原題: Up in the Air
監督: ジェイソン・ライトマン
製作: アイバン・ライトマン、ジェイソン・ライトマン、ダニエル・ダビッキ、ジェフリー・クリフォード
原作: ウォルター・キム
脚本: ジェイソン・ライトマン、シェルダン・ターナー
出演 ジョージ・クルーニー、ベラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック、ジェイソン・ベイトマン、エイミー・モートン、メラニー・リンスキー、J・K・シモンズ、サム・エリオット、ダニー・マクブライド
製作国: 2009 年アメリカ映画
上映時間: 109分
配給: パラマウント


ストーリー
リストラ請負人のライアンは、飛行機で全米を飛び回り、リストラ対象者に次々クビを言い渡す日々。出張の副産物・航空会社のマイレージも貯まる一方で、彼はいつしか1000万マイル獲得を目標に定め今日も前向きに機上の人となる。ところがある日、コスト削減のため出張は一切禁止という命令が下り、彼の野望に暗雲がたれこめる。


本作の監督であるジェイソン・ライトマンの作品を鑑賞するのは『 JUNO/ジュノ 』と『 サンキュー・スモーキング 』に続いて3作目。前2作はつまらなくはなかったにせよ、今ひとつノリ切れなかったというのが正直なところだった。そんなわけで本作もさして期待せずに鑑賞に赴いたところうれしい誤算、意外といけるじゃないですか。

いつもならクールでかっこいい役所のジョージ・クルーニーが、少し疲れた・ある種冴えない・ある種空気を読めないライアン・ビンガムを演じている。いや、もちろん、かっこいいんだけどさ。そんな彼は年間322日を出張するリストラ請負人。ところが新入社員のナタリー(アナ・ケンドリック)がネットTV電話活用によるリストラ宣告を提案する…。

中盤までは、生身での宣告に意義を見いだすビンガムとナタリーとの出張珍道中だが、合間には出張先で出会ったキャリア・ウーマンのアレックス(ヴェラ・ファーミガ)との恋模様などを織り交ぜつつ物語は進む。

かくのごとく、ストーリーにそれほど瞠目すべき点はない。おもしろみは、ライアン・ビンガムという男の個性にある。人との深いつきあいは避け、家やモノの所有を忌避し、独身で子どももいない。そんな彼のたった一つの目標はマイレージを1000万マイル貯めること。

当然のことながら、最終的にどのように彼が変わっていくのか、というのが本作の見所。実は、ラストシーンを観ての解釈は人それぞれ異なるに違いない。ただ、いえるのは変化の予感を感じさせるシーンが随所にあるところ。たとえば、妹の結婚式の当日に結婚をやめたいと言い出した婚約者に対しビンガムは説得に向かう。

結果として翻意させたビンガムに、彼の姉は家族に対し幽霊のような存在だった彼に"Welcome home"と声をかける。字幕では「やっと家族の一員ね」というような訳だったが、ここではやはり「おかえりなさい」なのだろう。

そう、本作ではありふれているがゆえに誰もが抱える思い、「仕事とはなにか」、「家族とはなにか」、「恋愛とは」、「孤独とは」…etc いろいろなテーマが重層的になっている映画といえる。そして、それらのことって結局、「生きるとはどういうことか」というテーマに収斂されていくわけだ。

いや、まあ、大袈裟に考え過ぎか。それでも、鑑賞する人によって様々なテーマを見いだせるという意味で存外に奥が深い映画だとはいえる。そしてなにかが不思議と心に響くのだ。劇場公開はほぼ終わりに近づいているので、気になる人はDVDでどうぞ、と、控えめにお奨めしたい佳作。


マイレージ、マイライフ [DVD]

マイレージ、マイライフ [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川映画
  • メディア: DVD


マイレージ、マイライフ (小学館文庫)

マイレージ、マイライフ (小学館文庫)

  • 作者: ウォルター・カーン
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/01/08
  • メディア: 文庫

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井上夢人:『魔法使いの弟子たち』(講談社) [book]

魔法使いの弟子たち

魔法使いの弟子たち

  • 作者: 井上 夢人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/04/02
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。生還者のウィルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の“竜脳炎”感染者で意識が戻ったのは、三名だけだった。病院内での隔離生活を続ける彼ら三名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。壮大なる井上ワールド、驚愕の終末―。


著者の13年ぶりの長編は期待を裏切らない達者振りで、まさに巻置く能わず。従来からの読者はもちろん、著者初体験の人は騙されたと思って手にとってほしい。とても充実した読書になるに違いない。2010年上半期お奨めの一冊だ。

以上、といきたいところだが、少しばかり所感は記しておかねばならないだろう。あらすじにあるようなバイオハザードサスペンス的な物語は、冒頭の数十ページで終了。川端裕人の『 エピデミック 』と比べるとあまりにも素っ気ない。もちろん、ウィルスの感染拡大への恐怖が物語の主題ではないことが徐々に明らかになってくる。

致死率百パーセント近い疫病から生還した3人の男女が不思議な力を持つようになる…。言ってしまえばありふれたアイデアであり新しさはまったくない。実際、中盤を読み進めながら感じたのはスティーヴン・キングの『 ファイアスターター 』と『 デッド・ゾーン 』との相似。主人公が能力を操るときの"押す"という表現とかね。

もちろん、それが悪いと言っているのではない。逆に、同じようなアイデアが、なぜこのように違う物語になっていくのかという不思議さがある。無理矢理にジャンルで括るなら、キングの物語がSF寄りに振られているのに対し、本書はミステリ寄りであるということか。

中盤以降、さらに意外な事実が明らかになるのだが、そこは読んで確認してもらおう。とにもかくにも読者の興味を手繰り寄せる著者のストーリーテリングの冴えには脱帽。繰り返しになってしまうが、語られるアイデア自体は使い古されたものであるし、強烈な個性を持った人物が登場するわけでもない。にもかかわらず、ページをめくる手がもどかしくなってしまうのだ。

著者のこれまでの『 ダレカガナカニイル… 』を代表とするリリカルな部分と、『 パワー・オフ 』の終末観が綯い交ぜになった集大成的な作品。手にとって、その魔術的なストーリーテリングを堪能してほしい。


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