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久田恵:『ニッポン貧困最前線』(文藝春秋) [ebook]

ニッポン貧困最前線―ケースワーカーと呼ばれる人々 (文春文庫)

ニッポン貧困最前線―ケースワーカーと呼ばれる人々 (文春文庫)

  • 作者: 久田 恵
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫

「生活保護」をGoogleニュースで検索すると、その総額の増加、不正受給問題、そして生活保護を受けることなく亡くなった方の悲報などの検索結果が出てくる。

一方で、「働かざるもの喰うべからず」という考え方や、生活保護にフリーライドしているのではないかというある種の怨嗟がネット上では渦巻いているように思う。そんな状況を理解するために本書を手に取ったのだった。


内容(「BOOK」データベースより
政府の締めつけとマスコミによる福祉たたきの狭間で、貧困層と直接向き合ってきたケースワーカーたち。福祉事務所で働く彼らの悩み、怒り、喜びを通して、過剰な期待と誤解を受けてきた生活保護制度の実情を明らかにする。未曾有の発展をとげた戦後日本の「見えない貧困」を描き出した衝撃のルポルタージュ。

第一部は何人かのケースワーカーの群像とその仕事の内容について描くもの、第二部は「札幌・女性餓死事件」についての著者のルポルタージュ、そして第三部は北九州の地方都市の受給率の高さの経緯について記述したもの。

印象深いのは、ケースワーカーという職種で、一般に公務員という仕事に抱くイメージとは異なるものだということだった。特に精神的なきつさと、それをおしても職務遂行する人々には頭が下がるものがある。本書の単行本は1994年に刊行されているから、それ以降の社会・経済環境の激しい変化は、より彼らの職務を困難なものにしているにちがいない。

ここ数ヶ月の中でも、餓死事件の報道は相次いでいて、例によって「生活保護の相談に行ったが」というような言葉が枕詞のように付言されている。平たく言ってしまえば、「行政に落ち度はなかったのか」ということを言いたいんだろう。でも、行政を叩くことによって得られるメリットはなんだろうか。福祉行政のモチベーションを下げるだけじゃないのか、とそんなことを思わせる。

また、第三部で描かれる石炭から石油資源への移行に伴い、仕事を失ってしまった鉱夫たちが生活保護に縋ったという事実には考えさせられる。努力して仕事を見つければいいじゃないか、という声ももっともだし、保護に頼りっぱなしの依存体質ができてしまったということも事実だ。

しかしながら、地域の経済問題や教育水準から容易に就労機会がつくれないということもあるだろう。極端な話、当方だっていつそういった状況に追い込まれるかわからないのだから。ひとつ言えそうなのは、保護を受ける方の多くが、家族であるとか地域であるとかのコミュニティから分断されてしまったということだろう。 孤独であることが最大のリスクである時代なのだな。


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