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輪島裕介:『創られた「日本の心」神話』(光文社) [ebook]


内容(「BOOKデータベースより)
「演歌は日本の心」と聞いて、疑問に思う人は少ないだろう。落語や歌舞伎同様、近代化以前から受け継がれてきたものと認識されているかもしれない。ところが、それがたかだか四〇年程度の歴史しかない、ごく新しいものだとしたら? 本書では、明治の自由民権運動の中で現われ、昭和初期に衰退した「演歌」―当時は「歌による演説」を意味していた―が、一九六〇年代後半に別な文脈で復興し、やがて「真正な日本の文化」とみなされるようになった過程と意味を、膨大な資料と具体例によって論じる。いったい誰が、どういう目的で、「演歌」を創ったのか。

新書なら三時間あれば読み切る、と思っている当方が、本書には四日間もかけてしまった。それぐらい、新書というパッケージにしてはめずらしい読み応えがある作品だ。

さて、梗概にあるように、本書のテーマは「演歌」とその享受史を中心にした大衆文化論といっていい。そもそも「演歌」とは、現在つかわれている用法とは異なり、自由民権運動と同時期に発生した「演説を題材にした歌」という(当方にとっては)意外なトリヴィアから語り始められる。

その後、演歌がいわゆる「日本の心」を象徴すようになった経緯をひもといていく。また、そこに至るまでの戦後の「レコード歌謡」の変遷が語られたうえで、それらに我々が漠然と抱いている印象を一変させるという離れ業を演じている。

実は、演歌の正体は何か、ということよりも、そのレコード歌謡変遷史のほうがおもしろく思えたのだった。一例を挙げれば、藤圭子のプロモーション方法が、後のアイドルのそれの原型になっているなどの指摘には驚かされる。

もっと驚いたのは、著者が当方より年下の1974年生まれであること。本書で語られる歌手やその曲などを、全盛期にリアルタイムに聴いているのではないだろうが、その時代における位置づけを丁寧に解説してくれる手腕は見事。

惜しむらくは、読みやすい文章にも関わらずワンセンテンスが長めの傾向があるので、ときどき主旨を見失ってしまうというところか。それにしてもね、著者の筆によるアイドルの享受史なんてものを読んでみたくなってしまう、それくらいスリリングな書物であることはまちがいない。今後のさらなる活躍に期待。


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