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トマス・H・クック:『ローラ・フェイとの最後の会話』(早川書房) [book]

ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ 1852)

ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ 1852)

  • 作者: トマス・H・クック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 新書

内容(「BOOK」データベースより)
講演のためにセントルイスを訪れた歴史学者ルーク。しかし、会場には、再会するとは夢にも思わなかった人物が待ち受けていた。その名はローラ・フェイ・ギルロイ。20年前、遠い故郷でルークの家族に起きた悲劇のきっかけとなった女性だ。なぜいま会いに来たのか? ルークは疑念を抱きつつも、彼女とホテルのラウンジで話すことにした。だが、酒のグラス越しに交わされた会話は、ルークの現在を揺り動かし、過去さえも覆していく…。謎めいたローラ・フェイの言葉が導く驚愕の真実とは? 巨匠の新たなる代表作。

なんと、トマス・H・クックは初読。出始めの時期が、海外ミステリを読まなくなったのと同じだったからだろうか。今回は、初のポケミスでの刊行ということで手に取ったのだった。読了すると、良い小説を読んだという感慨はあるが、良いミステリとはいい難いかもしれないというのが率直な感想だ。

登場人物はほとんど二人きりの、いわば舞台劇のような構成だ。20年ぶりに会ったローラ・フェイという女性との会話と、それによって想起される主人公の回想で物語は進んでいく。

その会話の内容には、確かにミステリとしての謎はあるのだが、著者はその謎の解明に重きを置いていないように思われる。むしろ、米国南部の田舎町に生まれた少年とその後の行く末について、これでもかというほどの残酷さを振るう筆致に迫力がある。

暴き立てられる内容もまた、人間の残酷性だ。しかも、その残酷性は当方も含めた誰もが持っているものであり、そこにこの小説の恐ろしさがある。ちょっとした行き違いや勘違い、そしてちょっとした残酷さが生み出す悲劇を丹念に描いた作品だ。


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