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内田樹:『街場のメディア論』(光文社) [book]

街場のメディア論 (光文社新書)

街場のメディア論 (光文社新書)

弊blogでも何度か申し上げているように、当方は文芸学部の国文学科の出身。だから経済や財務のことなんかなんにも知らなかったし必要も感じていなかった。実際、10年前は貸借対照表と損益計算書の区別さえつかなかった。ところが、なんということでしょう、いまや決算書を見たらその企業がどんな企業かわかるようになったり、聞いた風な口調で財務分析をしたりするようになったりするのだ。


内容(「BOOKデータベースより)
テレビ視聴率の低下、新聞部数の激減、出版の不調―、未曾有の危機の原因はどこにあるのか? 「贈与と返礼」の人類学的地平からメディアの社会的存在意義を探り、危機の本質を見極める。内田樹が贈る、マニュアルのない未来を生き抜くすべての人に必要な「知」のレッスン。神戸女学院大学の人気講義を書籍化。

本書は、タイトルのように広い意味でのマスメディアの本質を抉っていく内容となっているのだが、まずは「仕事をするとはどういうことか」という命題から始まる。なぜなら、そもそもが同学院のキャリア教育プログラムの一環だから。そこで非常に感銘を受けた一文を引用しておこう。


(前略)繰り返し言うように、人間がその才能を爆発的に開花させるのは、「他人のため」に働くときだからです。人の役に立ちたいと願うときにこそ、人間の能力は伸びる。それが、「自分のしたいこと」であるかどうか、自分の「適性」に合うことかどうか、そんなことはどうだっていいんです。とにかく「これ、やってください」と懇願されて、他にやってくれそうな人がいないという状況で、「しかたないなあ、私がやるしかないのか」という立場に立ち至ったときに、人の能力は向上する。(後略)
(30ペ-ジ)
 

なるほど、と思う。向き不向きに関係なく、仕事上でこれをやらねばあかんわな、という状況に追い込まれるとなんとかなってしまう、ということは誰しも経験があると思う。冒頭に記したように、当方のような数字音痴でもなんとかなったのは著者の言うような状況に立ち至ったからにほかならない。

そんな個人的な経験とシンクロする部分はさておき、本書をはじめとする「街場」シリーズは著者お得意のblogコンピレーション本にはない新鮮さがある。 特に第六講の「読者はどこにいるのか」は、(当方には相容れられなかった部分はあるものの)この分野に言及した初めてのものではないか、と思う。

増田町に蔵を観に行ったときの往復3時間の電車内で読み切るほどに集中できるリーダビリティと内容の濃さがある。著者の近著ではもっともお奨めの一冊。


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