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山田正紀:『人間競馬 悪魔のギャンブル』(角川書店) [book]

人間競馬  悪魔のギャンブル (角川ホラー文庫)

人間競馬 悪魔のギャンブル (角川ホラー文庫)


内容(「BOOKデータベースより)
新宿都心。ビルとビルの隙間にわずかな時間立ち現れる古い城郭。空の高みで人間競馬に興じるガーゴイルたち。下界では、三人の男と一人の女がパドックを周回する競走馬さながらに互いを尾行しあっている。タクシー運転手、保険外交員の女、少年、刑事。四人が四人ともいつ、どこで相手を殺すべきか、冷酷に計算を働かせている。殺らなければ自分が破滅するだけだ。最後に生き残るのは誰だ? デスゲーム×ダークファンタジー。

さすが、B級サスペンスを書かせたら超一流の著者ならでは、という作品。そして、感想を申し述べるのに困る作品ではある。30年近く著者のファンをやっているから、どんな作品でも愉しめてしまうのだが、生真面目な人が読んだら「なんのこっちゃ」となるだろうということも推測できてしまうのだ。

そもそも、梗概にあるガーゴイルと言う存在の登場が些か唐突すぎる。当方は、角川ホラー文庫というブランドに無理矢理当てはめるために挿入された設定と想像している。そんな設定がなくとも、奇妙な味の犯罪サスペンスとして良くできていると思うから。

登場する四人の男女はいずれもがちょっとした特異な能力を持っていて、それがこれまでの各自の生業を助けてきた。その能力自体は、超自然的なものというより特殊な技能といった程度に描かれているから、ホラーでなくても犯罪サスペンスとして成立するプロットとは言える。あ、タクシー運転手のだけは別か。あの能力なら当方も欲しい…。

閑話休題。そんな無関係だった四人が、奇妙な偶然から殺し合わなければならないように追いつめられる。この偶然はかなり強引なものだから、そう考えると人間以外のものの操作という設定をインポートせざるを得なかったのかもしれない。

冒頭に述べたB級サスペンス的味わいは、上記のような特異な設定や奇妙な味の物語という側面に加え、あちこちにばらまかれた伏線が丁寧に回収されるところにもある。この手際の巧さは著者ならではのものだ。その痛快さが、一方でお約束事めいた作り物の雰囲気を醸し出している結果、当方にはB級と認識されるのである(←わかりにくい)。ようするに、ケレン味のあるある小説ってことですね。だから、お金と暇とB級怪作を読んでしまっても怒らない人だけにお奨めしせざるを得ない。


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