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ケン・オーレッタ:『グーグル秘録』(文藝春秋) [book]

グーグル秘録

グーグル秘録

  • 作者: ケン・オーレッタ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/05/14
  • メディア: 単行本

ネット通販で買物のほとんどが済む当方にとって、送り状や納品書などの個人情報の記された帳票類の処分は悩みの種だった。 こんなものを買ったりだとかしてこまめに処理した時期もあったが、それも長くは続かなかった。爾来、割り切って、そのままクシャクシャにしてゴミ箱に放り込むことにしている。

というのも、当方ごときが自身の個人情報を漏洩したぐらいで、それをマメにチェックする個人や法人があるとは思えないことに気づいたからだ。 たとえば、数千人規模の名簿データにしたって、それを有効に活用するには相当な叡知が必要な気がするし、そもそもそんな叡知があるならば他のもっと生産的な方向に向かうような気がする。

世の中では監視カメラやらメールの検閲の恐怖におののく人々もいるようだが、それってむちゃくちゃにコストがかかるのは間違いないだろうし、そのコストに見合うリターンは、どれほどの大企業も得られないのではないか。本書でも米国Google社のプライバシーへの考え方に懸念が表明されているが、そこまで過敏になるのはある種のオブセッションのように思える。もちろん当方が脳天気なだけかもしれないけど。


内容紹介
最強にして最も危険なネット企業
グーグル。
すべての産業の基盤を破壊して、グーグルが創造する新たな世界とは?
グーグルによって存在を根底から揺さぶられる側にも徹底取材!
エリック・シュミット、サーゲイ・ブリン、ラリー・ペイジらはじめ
ほぼすべてのグーグル幹部に150回。
新聞、出版、音楽、テレビ……伝統メディア幹部150名。

エピソード満載。
・感情を理解しない科学者たちのグーグルの経営ぶり
・プライバシー、著作権の在り様も根底から疑うビジネス戦略
・広告代理店、巨大メディアの足元で進行する、ネットの「中抜き」
・伝統メディアのITへの鈍感ぶりと起死回生の生き残り策
ソニーの出井は、アップルのアイポッドを脅威と感じていなかった。
マイクロソフト、アップル、フェイスブック
……シリコンバレーの巨竜たちの激突の生々しさ
・進むグーグル幹部の人材流出

などなど。
ネットによって大変革がもたらされるこの時代に必読の書!


本書は大きく、Googleの歴史と創業者や幹部のインタビューによって構成された前半部と、同社の発展に反比例して衰退していく旧メディアに対する考察を記述した後半部に分かれる。特に興味深いのは前半部分で、創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンをはじめとした幹部たちの伝記的な要素と、これまでの同社の歴史を辿ったものとなっている。

創業者たちは、いずれも学者や研究者の両親を持ち、少年期の頃からその秀才ぶりが注目を集めていたようだ。やがて出会った二人が、検索エンジンという共通の興味を抱き、結果としてGoogleを創業するまでの過程が描かれる。本書でも記述されているように、米国マイクロソフト社が恐れていた「ガレージでまったく新しい何か」を、同じ米国アップル社と同様に生み出したわけだ。

このあたりの創業時の伝説的なエピソードは、どんな会社の話を聞いてもおもしろい。ましてやGoogle社ならなおさら、というところだ。また、CEOのラリー・シュミットやその他の幹部たちのエピソードなども豊富で、法人の歴史と創業者たちの群像をうまく描いていると思った。後半部は、Googleの成長に伴うその他のネット企業や旧メディアへの影響、そして自身が内包する課題への記述が展開される。まあ、これについては正直なところ、同様の知見や予測とそれほど大差はなく一般的ではある。

そして、勘違いしてはいけないと思ったのが、同社が前半部で語られたような特異性だけで成長している企業ではないということだ。それは「邪悪になるな」という理念であったり、ユーザーをできるだけ早く自社サイトから望みのサイトへ移動させるという検索サイトの役割を強化し続けるというユーザー本位の思想であったりする。そこには驚くほどブレがない。結局、企業を強くするのは理念だったりヴィジョンだったりするわけだ。そこのところを勘違いしていると、旧メディアはいずれにしても衰亡の途を辿らねばならなくなるのだろう。そんなことをあらためて感じさせる一冊だ。


◎関連エントリ

 ・佐々木俊尚:『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
 ・佐々木俊尚:『2011年新聞・テレビ消滅』(文藝春秋)
 ・クリス・アンダーソン:『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(日本放送出版協会)


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